メルセデスベンツ『EQS』に「AMGライン」、EVセダン初のスポーティ仕様を欧州設定
AMGラインらしいスポーティな内外装
141cmのワイド画面「MBUXハイパースクリーン」
AIが20以上の機能を自動的に提示
助手席前方にエンターテインメント用ディスプレイ
メルセデスベンツは4月15日、新型EVサルーンの『EQS』(Mercedes-Benz EQS)に、「AMGライン」を欧州で設定すると発表した。
AMGラインはメルセデスベンツ各車に広くラインナップされているスポーティ仕様だ。EQSにも、メルセデスベンツのEVセダンとしては初めて、AMGラインが用意される。
AMGラインらしいスポーティな内外装
EQSのAMGラインの外装では、フロントバンパーが専用デザインだ。ハイグロスブラックとクロームトリムのAウィング、ハイグロスクロームのフロントスプリッター、クロームトリム付きハイグロスブラックのエアインテークフリック&フィンが特長となる。
リアバンパーも専用デザイン。ハイグロスブラックのディフューザールックインサート、クロームのダブルトリムストリップ、ブラックフリックが装備されている。サイドスカートは、グロスブラック&クロームのドアトリムストリップ仕様となる。
足元には、19インチまたは20インチのAMGの5本スポークアルミホイールが装着できる。19インチはバナジウムシルバーで塗装されており、エアロエレメントがマットタンタルグレーとなる。20インチはブラック塗装で、エアロエレメントをマットタンタルグレーで仕上げている。
AMGラインのインテリアには、スポーツシートが装備される。このスポーツシートは、スリムな形状が特長。レザーシートの表面は、ドレープをかけた毛布のような「レイヤリング」仕上げとした。
141cmのワイド画面「MBUXハイパースクリーン」
メルセデスベンツEQSに、初めてオプション設定されるのが、「MBUXハイパースクリーン」。「MBUX(メルセデスベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)」は、新世代のインフォテインメントシステムだ。MBUXの最新バージョンを搭載するMBUXハイパースクリーンは、人工知能(AI)を利用して、インフォテインメント、快適性、車両機能の操作と表示を、新しいレベルに引き上げているのが特長。大きく湾曲したスクリーンユニットが、ダッシュボードの横幅いっぱいに配置される。これにより、直感的で簡単かつ、感情的なデジタル体験を可能にするという。
MBUXハイパースクリーンは、デジタルとアナログデザインの融合の一例という。印象的な湾曲したスクリーンは、複数のディスプレイがシームレスに融合しているように見える。エアダクトは、この大型デジタルディスプレイと一体設計された。スクリーンの幅は141cmに達する。ディスプレイの有効面積は2432.11平方cmだ。
MBUXハイパースクリーンは、プラスチック製のフレームに囲まれている。「シルバーシャドウ」と呼ばれる3層コーティングシステムは、非常に薄い中間層を持ち、高品質の表示を実現するという。MBUXハイパースクリーンの下部にはアンビエント照明が組み込まれており、ディスプレイユニットがインストルメントパネルに浮かんでいるように見える。
AIが20以上の機能を自動的に提示
EQS向けの最新MBUXシステムでは、マッサージプログラムから誕生日のリマインダー、やることリストの提案まで、20以上の機能が人工知能(AI)の助けを借りて自動的に提示される。
学習可能なソフトウェアにより、表示や操作がユーザーに適応し、インフォテインメント、快適装備、車両機能について、ユーザーに最適な提案を行う。いわゆる「ゼロレイヤー」(最も重要なアプリケーションにアクセスするには、0のメニューレベルをスクロールする必要がある)のおかげで、サブメニューをスクロールしたり、音声コマンドを実行したりする必要がない。最も重要なアプリケーションは、常に状況に応じてトップレベルに表示される。
ユーザーは、ワンクリックでMBUXの提案を承認したり拒否したりできる。例えば火曜日の夜、帰宅途中に決まった友人に電話をかける場合、その曜日とこの時間帯に対応する電話をかけるように提案する。連絡先情報が記載されたアドレスが表示され、保存されている場合はその画像が表示される。すべてのMBUXの提案は、ユーザーのプロファイルにリンクされている。他のユーザーが火曜日の夜にEQSを運転する場合、この提案は行われない。他のユーザーの好みに応じた別の提案を行う。
助手席前方にエンターテインメント用ディスプレイ
MBUXハイパースクリーンは、最大7つのプロファイルでコンテンツをカスタマイズできる。助手席前方のディスプレイには、エンターテインメント機能がある。助手席に乗員がいない場合、メルセデスベンツのパターンとして、アニメーション化された星が表示される。
鮮やかな表示を追求するために、OLEDテクノロジーが中央と助手席側のディスプレイに使用されている。すべてのグラフィックには、青とオレンジの配色が使われた。
MBUXハイパースクリーンは、直感的な操作を可能にする。EVモードで走行している場合、ブーストや回生などのEVパワートレインの状態が、クラスプを使用した新しい方法で視覚化される、としている。
メルセデスベンツ『EQS』、航続は最大770kmに…EVパワートレインを先行発表
モーターは最大出力523hpで最大トルク87.2kgm
バッテリーの蓄電容量は107.8kWhでEQCよりも26%大容量化
前面空気抵抗を示すCd値は量産車世界最高の0.206
メルセデスベンツ(Mercedes-Benz)は4月3日、4月15日にデジタルワールドプレミアする予定の新型EV、『EQS』(Mercedes-Benz EQS)のパワートレインを先行発表した。
EQSはコンセプトカーの『ヴィジョンEQS』の市販バージョンとなる大型EVサルーンで、新型『Sクラス』のEVバージョンに位置付けられる。EQSは、ラグジュアリーカーおよびエグゼクティブセグメントのEVに、メルセデスベンツの新しい電動アーキテクチャの「EVA」を採用した最初のモデルだ。
EQSによって、ラグジュアリーセグメントの顧客は、スペースとデザインに関して、フル電動アーキテクチャのすべての利点を充分に活用できるという。例えば、1回の充電での航続は最大770km(WLTP計測)となり、EQSはこの点でも、Sクラスセグメントのサルーンのニーズを満たしているという。
モーターは最大出力523hpで最大トルク87.2kgm
欧州での発売当初、「EQS 450 +」と「EQS 580 4MATIC +」の2グレードが設定される予定だ。2WD(後輪駆動)のEQS 450 +は、リアアクスルに電動パワートレインの「eATS」を搭載する。4WDの「4MATIC」となるEQS 580 4MATIC +では、フロントアクスルにもeATSがレイアウトされる。
EQS 450 +の場合、モーターは最大出力333hp、最大トルク57.9kgmを発生する。EQS 580 4MATIC +の場合、モーターは最大出力523hp、最大トルク87.2kgmを引き出す。両グレードともに、最高速はリミッターにより、210km/hに制限される。NEDC(新欧州サイクル)による100km走行あたりの電力消費量(複合モード)は、EQS 450 +が19.1~16.0kWh、EQS 580 4MATIC +が20.0~16.9kWhと発表されている。
バッテリーの蓄電容量は107.8kWhでEQCよりも26%大容量化
4MATICには、トルクシフト機能が付き、フロントアクスルとリアアクスルの間で駆動トルクをインテリジェントかつ継続的に配分する。機械式の4WDよりも、優れたレスポンスを可能にしているという。 回生ブレーキは、ステアリングホイールのパドルシフトによって、ドライバーが3段階で調整できる。
EQSは、騒音や振動などのNVH性能に対する高い要求を満たすという。ローター内の磁石は、最適なNVH対策を施した。eATSは、特殊なフォームマットで覆われている。インバーターのカバーは、3つの金属とプラスチックの層で作られたサンドイッチ構造とした。ホワイトボディには吸音フォーム素材を多く使用。テールゲートの2つの仕切りがノイズを低減するという。
EQSには、エネルギー密度を高めた新世代のバッテリーが搭載される。 2種類のバッテリーのうち、大容量なのが蓄電容量107.8kWh仕様だ。『EQC』よりも約26%容量を増やしているという。もうひとつのバッテリーは、蓄電容量が90kWhとした。
前面空気抵抗を示すCd値は量産車世界最高の0.206
航続を高めるために、前面空気抵抗を示すCd値を0.206とした。メルセデスベンツによると、EQSは量産車として、世界最高のエアロダイナミクス性能を備えているという。この優れたエアロダイナミクス性能は、騒音を抑えて快適性を引き上げる効果も発揮する、と自負する
また、フラットなフロントガラスを装備しており、ルーフラインはクーペのような形状とした。エンジンではなくモーターを搭載するEVでは、冷却用の空気を取り入れる必要性が低いことから、フロントのルーバーは多くの場合で閉じられているという。
空力性能を追求したデザインのエアロホイールは、19、20、21インチサイズが用意されている。低転がり抵抗タイヤを組み合わせた。前後のホイールスポイラー、アンダーボディパネル、リフトとエアドラッグを最適化するリアスポイラーも装備されている。