トースターの売れ行き好調、炊飯器を上回る 「冷凍パン」が失敗なく焼ける製品も登場 パナソニックが発売した「ビストロ NT-D700」

トースターの売れ行き好調、炊飯器を上回る 「冷凍パン」が失敗なく焼ける製品も登場

コロナ禍で調理家電の売れ行きが好調だ。日本電機工業会(JEMA)によると、2020年(20年1月~12月)はホットプレート、電子レンジ、ジャー炊飯器などの販売台数が前年実績を上回った。特にホットプレートの販売台数は前年比で1.45倍となった。おうち時間の増加によって「内食」が増え、家庭内で食事をおいしく楽しみたいという需要で盛り上がった。

販売好調な調理家電の一つにトースターがある。JEMAの調べによると、トースターの販売台数は、前年比16.0%増の292万6000台となり、電子レンジやジャー炊飯器を上回る高い伸びをみせている。

メーカー各社も、高火力の実現や微妙な温度制御、独自ヒーターやスチーム技術の採用、焼き時間のコントロールといった工夫を凝らしている。これにより「表面サクサク、中は熱々」といった焼き上がりを実現し、ふわっとした食感や香りを楽しめるトースターが量販店や電子商取引(EC)サイトには並ぶ。

■冷凍パンをおいしく焼きたい

こうした中、ユニークな視点で商品を開発したのがパナソニックだ。21年2月1日に発売したオーブントースター「ビストロ NT-D700」では、食パンを冷凍保存する人が増えていることに着目。冷凍保存したパンを、失敗なく焼くことができ、おいしく食べられることに力を注いだ。

パナソニックが20~60代の男女500人を対象に実施した調査によると、ほぼ4人に3人となる72.1%の人が食パンを冷凍保存したことがあるという。その一方で、冷凍保存した食パンをトースターで焼いた際に「焦がしてしまった」「中が冷たいままだった」という経験をした人が少なからずいた。パン冷凍経験者の約8割がトースターで失敗したことがあるという。

冷凍保存した食パンをトースターで焼く方法については、「解凍せずに冷凍のまま、トースターで常温の食パンを焼くときと同じ設定で焼く」という回答が最も多い。つまり冷凍保存したパンのうまく焼く方法を見いだせていない現状が浮き彫りになった。

■保存方法に難

調査結果をもう少し詳しく見てみると、興味深い傾向が出ている。

食パンを冷凍保存したことがある人のうち、51.0%の人が4枚切や5枚切といった厚切りの食パンを食べている。また冷凍保存の方法は、「買ってきたときの包装のまま、冷凍している」という人が34.8%と最も多かった。

専門家によると「そのまま冷凍する」という保存方法は、パンの水分が失われ、風味を落としてしまうため、お勧めできないとのこと。事前に食べたい大きさにカットし、一つずつラップに包んで、ジッパー付き保存袋に入れて、空気を抜いて封をして冷凍するのが最適という。

つまり、中まで熱を通さなくてはならない厚切りのパンを、パンの風味を落としてしまう環境で保存している人が最も多く、トースターにはこれをおいしく「リベイク」するという難題が課せられているともいえる。

■おまかせでおいしく焼き上げ

今回、パナソニックが発売した「ビストロ NT-D700」は、厚切りや薄切りのパン、常温や冷凍保存したパンなど、さまざまな食パンを最適に焼いてくれる「失敗がない」オーブントースターを目指した。「焼くのが難しい冷凍厚切り食パンも、焼き時間や温度を自動で設定し、おまかせでおいしく焼き上げることができる」と、同社は自信をみせる。

「遠近トリプルヒーター」では、上部と下部に配置した2本の遠赤外線ヒーターで、表面をこんがり、サクッと焼き上げる。同時に上部に1本配置したパナソニック独自の近赤外線ヒーターで、中までふんわりあつあつに加熱する。

また、「インテリジェント制御」によって、厚み(厚切り/薄切り)や温度(常温/冷凍)といった食パンの状態や、庫内温度、電圧などの周辺環境に応じた1800のパターンと7200通りの個別プログラムによって、トースターまかせで最適に焼き上げられるという。

さらに具材をのせた「アレンジトースト」、ハード系パンを焼くのに最適な「フランスパン」、女性にも人気の「じっくり焼きいも」の3つのメニューを新たに加えた全15種類のオートメニューを用意。オーブン機能によって、揚げ物や総菜などのあたため、カップケーキやチーズケーキなどのスイーツづくり、高温で焼き上げるグラタンやピザなど、幅広いメニューが楽しめるとしている。

庫内センサーで120~260度まで、8段階の温度設定が可能。一般的なオーブンに比べて庫内が小さいため、すぐに温まり、予熱不要で手軽にオーブン調理ができるのも特徴だ。

家庭における食生活の変化やまとめ買いの増加とともに、高級生食パン店の人気などによって、パンの喫食頻度が高まっている。そのため、パンをおいしく「リベイク」することも製品選びの大切な要素だ。

おうち時間が増えた今だからこそ、日々のパンをおいしく食べたい人も多いのでは。最新家電の力を借りれば、それを実現するのもそれほど難しくはないだろう。

大河原克行

ジャーナリスト。30年以上にわたって、IT・家電、エレクトロニクス業界を取材。ウェブ媒体やビジネス誌などで数多くの連載を持つほか、電機業界に関する著書も多数ある。

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