首相、回答「控える」100回 安倍氏63回 丁寧な説明も回避 自民内にあきれ、国会運営不安視

首相、回答「控える」100回 安倍氏63回 丁寧な説明も回避 自民内にあきれ、国会運営不安視

 「答えを差し控える」を乱発し、短い受け答えを多用する―。菅義偉首相にとって就任後初の論戦となった昨年の臨時国会の答弁を読み解くと、そんな傾向が浮かぶ。回答を「控える」と拒否したのは100回と過去の首相を大きく上回る。18日召集の通常国会は長丁場で「木で鼻をくくったような答弁で持ちこたえられるのか」との声は自民党内でも上がる。専門家は「自分の言葉で国民に語りかける努力が足りない」と指摘する。

 国会会議録などを北海道新聞が集計したところ、与野党の質問に対し、首相が答弁で「控え(る)」と述べたのは計100回。過去の臨時国会での首相答弁と比較すると、会期はおおよそ同じにもかかわらず、旧民主党政権時代の2011年の野田佳彦氏の11回の9・1倍、19年の安倍晋三氏の63回と比べても1・6倍と、突出して多かった。

 前半は、日本学術会議の会員任命拒否の理由や経緯を問われ、「人事に関することだ」として答弁を拒否する場面が目立った。後半は、安倍前首相の「桜を見る会」前日の夕食会費補填(ほてん)問題を巡る質問について「捜査中」を理由に答えないことが多かった。

 一問一答形式の予算委員会では1文のみの素っ気ない答弁も多い。11月2日の衆院予算委で、学術会議の任命拒否問題が学問の自由を侵害していないかと聞かれ「全く侵されていないと思います」とだけ述べた。「先ほど申し上げた通りです」「大臣が申し上げた通り」などの発言が散見され、より詳しく丁寧に説明することを避ける傾向も強い。

 昨年の臨時国会で首相が答弁や演説に立ったのは41日間の会期中15回。通常国会は延長されなければ150日間で、首相の国会出席は例年50回を超える。自民党幹部は「答弁がしどろもどろ。通常国会が思いやられる」と不安視。別のベテランも「大臣と同じ、と言ってしまっては何のための首相答弁か」とあきれる。説明を尽くさない首相の姿勢は国会内外で顕著だ。新型コロナウイルス感染拡大を受けた緊急事態宣言の発令に先立ち、7日に衆参両院で開かれた議院運営委員会には、野党の求めにもかかわらず出席しなかった。年頭記者会見で指名されなかった北海道新聞はその後の質問状で、コロナ対策の自己評価をたずねたが、「気温の低下に加え、飲食をする場面が主な感染拡大の要因と承知している」と回答をはぐらかした。

 政治家の言葉に詳しい信州大の都築勉名誉教授(政治学)は「官房長官時代の切って捨てるような答弁は日本の針路を示すべき首相としてはふさわしくなく、国民にも伝わらない。コロナ禍という危機にこそ、首相には短くても国民の心をつかむ言葉が必要だ」と指摘している。

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