新型「BRZ」がキープコンセプトで登場した理由

新型「BRZ」がキープコンセプトで登場した理由

 2020年11月18日、スバルは新型となった「BRZ(アメリカ仕様)」をオンラインで発表した。発売はアメリカにおいては2021年秋だという。BRZは、トヨタと共同開発した車種で、トヨタ版は「86」として発売されている。

 2012年に初代モデルが発売され、今回で第2世代となった。初代モデルは7月末で生産終了となっていたから、待望の新型登場である。

 先にスバルのBRZが発表されたが、そう遠くないうちにトヨタ版の「86」もお披露目されるだろう。

 では、新型となったBRZは何が変わったのだろうか?  そして変わらないものはあるのだろうか?  先代モデルから変わったところ、変わらなかったところを分析してみよう

■パワーアップとアイサイト採用がトピック

 ひと目でわかる変化は、エクステリアのデザインだ。ヘッドライトの形状が変わり、スバルのアイデンティティでもあるヘキサゴン(六角形)グリルは、より大きくなった。そして、フロントフェンダーの前輪後方に追加されたエアアウトレットが、迫力を生み出している。

 室内で大きく変わったのは、7インチTFT液晶パネルとセグメント液晶パネルを組み合わせたデジタルメーターを採用したことだ。また、AppleのCarPlayやAndroid Autoに対応したマルチメディアインフォテインメントシステムを導入。万一の事故を通報するコネクテッドサービスも用意されている。

 機能面での大きな変化は、水平対向4気筒エンジンの排気量アップと、それにともなう出力の向上だ。

 エンジン排気量は2リッターから2.4リッターとなり、最高出力・最大トルクともにアップ。今回、発表されたのがアメリカ仕様のため、公開されたスペックもアメリカ式の表記だが、最高出力は205hpから228hpになり、最大トルクは156lb-ftから184lb-ftへと、ともに10~15%ほどアップしている。

 ボディは、インナーフレーム構造や構造用接着剤などを採用し、先代モデルよりもフロント横剛性を約60%、ねじり剛性を約50%アップ。剛性がアップするとサスペンションがよく働くようになるため、走行性能向上の一助となるはずだ。

 また、エンジンフード、ルーフ、フロントフェンダーにアルミ材を採用することで、排気量アップなどの重量増を相殺。18インチタイヤには、ミシュランの高性能タイヤであるパイロットスポーツ4を採用している。

 そして、最も大きな変更点と言えるのが、AT仕様車に運転支援システム「アイサイト」を採用したことだ。プリクラッシュセーフティや全車速追従機能付きクルーズコントロールが使えるようになり、現代的な水準の安全機能を得ている。

■プラットフォームは継続使用

 続いては、変わらなかったことを紹介したい。まず、重要なのは、基本コンセプトが踏襲されていることだ。

 スバルが「BOXER(ボクサー)」と呼ぶ低重心の水平対向エンジンを搭載した、FR(後輪駆動)の4座クーペであること。軽量で低重心、そしてコンパクトな水平対向エンジンを、低い位置に置くことによる優れたハンドリング性能を得るという、BRZの根っこの部分はそのままだ。これは従来のBRZファンにとっては朗報だろう。

 その代りと言っては何だが、「インプレッサ」や「レヴォーグ」で導入されたスバルの新世代プラットフォーム「SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)」は採用されなかった。公式なアナウンスはないが、プラットフォームは初代モデルから踏襲されていると見ていいだろう。

 車体寸法は初代の全長166.7×全幅69.9×全高52インチ(アメリカ表記)から、新型167.9×69.9×51.6インチと変更はミニマム。ホイールベースは旧型の101.2インチから101.4インチへとわずかな延長にとどまる。このことからも、プラットフォームはキャリーオーバーであると見て間違いない。

 サスペンション形式とタイヤ寸法も、旧型からの踏襲だ。フロントがストラット、リヤがダブルウィッシュボーンというサスペンション形式は、スポーツカーの定番。タイヤ銘柄は変更されたが、215/45R17と215/40R18というタイヤサイズは変わっていない。なお、今回のアメリカ仕様では、Premiumが17インチ、Limitedが18インチとなっている。

 サスペンションやタイヤサイズがそのままということは、BRZのカスタムをしていた初代オーナーや社外品メーカーにとっては朗報だろう。旧型のカスタムで培ってきた知見がそのまま生かせるからだ。初代BRZは、そうしたカスタムも魅力の1つであった。

 毎年、富士スピードウェイで開催される「FUJI 86 STYLE with BRZ」には、1つとして同じ仕様がないと言えるほど、さまざまなカスタマイズが施された86/BRZが全国からやってくる。新型BRZに進化するにあたっても同じサイズを維持したことは、そうしたカスタムの配慮もあるだろう。

 基本コンセプトとプラットフォームとサスペンションまわり、そしてタイヤサイズが同じであることから、新型BRZの走りの特性も、旧型の延長線上にあることが予想できる。

■基本を守りながら磨き上げたフルモデルチェンジ

 新型BRZの変わったところと、変わらないところを列挙してみれば、以下のようなものとなる。

 <変更点>

・内外装のデザイン変更

・エンジンの排気量拡大による出力向上

・ボディ剛性の向上

・デジタルメーター、最新インフォテインメント採用

・AT仕様車にアイサイトを採用

 <変更しなかった点>

・低重心のハンドリングマシンというコンセプト

・プラットフォーム

・サスペンション形式とタイヤサイズ

 つまりは、クルマの根幹となる部分はそのままに、BRZらしさを磨き上げ、さらに最新インフォテインメント機器とアイサイトを追加した、ということ。基本性能を引き上げたうえで、安心という付加価値を追加したのが、今回のフルモデルチェンジだ。

 これまでの延長線上にあるため、大きく販売台数を伸ばすことは考えにくいが、これまでと同様に一定のファンを獲得し続けることができるはず。そういう意味では、堅実なフルモデルチェンジと言えるのではないか。

 ただし、個人的には、MT車にもアイサイトを採用するべきだったと思う。ここだけは、新型BRZで唯一、残念な部分だ。今後の年次改良での採用を望む。

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