政府機関、中国製ドローン新規購入を排除 情報漏えい・乗っ取り防止を義務化

政府機関、中国製ドローン新規購入を排除 情報漏えい・乗っ取り防止を義務化

 政府は、ドローン(無人機)が集めたデータなどが盗み取られるのを防ぐため、2021年度から政府が購入するドローンのセキュリティー強化策を決めた。運航記録や撮影した写真の外部漏えい、サイバー攻撃による乗っ取りを防ぐ機能を備えた機体の購入を義務付ける。全省庁、すべての独立行政法人が対象となる。これにより、中国製ドローンの新規購入が事実上、排除されることになる。

 政府機関などはドローンを購入する際、内閣官房に計画書を提出し審査を受けることが義務付けられる。対象となるのは、公共の安全と秩序維持に関する業務に支障が生じる恐れがある場合などとし、具体的には①安全保障に関わるもの②犯罪捜査③発電所や鉄道などの重要インフラの点検④人命救助――などを想定する。外部に業務委託した場合も対象になる。すでに保有済みの機体も1~2年内に置き換えるよう求めた。ただ、飛行訓練などセキュリティーが高くない業務に使用するものは対象にならないと見られる。

 ドローンは、スマートフォンと同じように通信機器やカメラ、全地球測位システム(GPS)を搭載しているため「空飛ぶスマホ」と呼ばれる。外部のネットワークに接続しながら飛行するため、セキュリティー対策が弱いドローンの場合、データを抜き取られ悪用される危険が伴う。重要施設の点検内容などが外部に漏れれば、テロリストや犯罪集団に狙われる恐れがある。

 政府は18年に中央省庁などが購入する製品・サービスから、中国の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の製品を事実上排除する仕組みを整備した。その時も2社を名指しせずに、安全保障上の脅威などがある場合は制限できるという制度とした。外交問題に発展することを避けるためで、今回も特定の国やメーカー名を示さない形を踏襲した。

 中国製のドローンは、個人が使うホビー用を含め全世界で8割近いシェアがある。ただ、セキュリティー上の懸念があるとして米陸軍が17年8月に中国製ドローンの運用を停止。米政府は19年に中国製ドローンの使用禁止を政府機関に義務付ける新たな規制を制定した。国防総省は今年8月、中国メーカーに代わる5社の米企業を選定するなど「脱中国」を図っている。

 日本でも、約30機のドローンを保有し、その大半が中国製という海上保安庁は、安全保障に関する業務や捜査には一度も中国製ドローンを使用していない。約800機を保有する防衛省も「セキュリティーに気を使った運用をしている」と説明する。

 一方、経済産業省は19年度補正予算に「安全安心なドローン基盤技術開発事業費」として約16億円を計上、国産メーカーの支援を本格化させた。「中国製ドローンが安全だと言い切れない部分がある」(次世代空モビリティ政策室)と話し、幅広い分野で使える小型機を今年度中に作り上げる計画だ。早ければ来年度の政府購入での採用を目指す。【永山悦子、会川晴之】

 ◇ドローン

 遠隔操作や自動制御で飛ぶ無人航空機。軍事用のほか、民生用でも上空から撮影する趣味用や、農薬散布など農業分野に広がった。最近は、カメラや操縦技術が向上し、測量、警備、送電線や橋など重要インフラの点検に使われる。今後は物流、人を乗せる空飛ぶ車などの実現が見込まれる。一般的な航空機が飛ばない高度150メートル未満の空域は産業に利用されてこなかったことから、新たな市場が生まれる「空の産業革命」につながると期待される。

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