マクドナルドの「スマイル0円」Uber Eatsで頼んだらどうなる?

マクドナルドの「スマイル0円」Uber Eatsで頼んだらどうなる?

 消費増税に伴う中食・デリバリー需要の増加、そして「STAY HOME」期間の影響で利用者が増え続けているUber Eats。そんなUber Eatsでマクドナルドの配達を頼む際に、「スマイル0円」も注文できるということをご存知だろうか。

 お届けするのはマクドナルド店員ではなく、Uber Eats配達員である。代わりにスマイルを投げかけてくれるのだろうか。それとも……?

 今回はそんな疑問を検証すべく、実際に「スマイル」をUber Eatsで頼んでみながら、マクドナルド広報を直撃した!

Uber Eats配達員に「スマイル」を託すマクドナルド店員

 ある日、筆者がマクドナルドのレジで自分の注文した商品が渡されるのを待っていると、店員のお姉さんがレジ横にUber Eats配達用の商品を受け取りに来たUber Eatsの配達員にこう伝えた。

「注文にスマイル3つ、と書いてあるのでスマイル3つもお届けお願いしますね!(ニコッ)」

 Uber Eatsで「スマイル」もデリバリーできることに驚き、Uber Eatsのマクドナルド注文ページを確認してみると……。

 どうやら店舗と同様、注文をすることができるようだ。しかもその「数量」は無限に追加できる。では、「スマイル100個」が注文された場合はどうするのだろうか。

 しかし、店舗であればマクドナルドの教育を受けた店員がスマイルを投げかけることができるだろうが、配達を委託しているUber Eatsの配達員が「スマイルの配達もする」といったことなどあり得るのだろうか。

 時間との戦いがしばしば話題となる配達員にとって、例えば「100回笑う」といった業務はいささか無理ゲーにも思える。しかも無料で……。

実際にUber Eatsで「スマイル0円」を5つ頼んでみた

 そこで実際に、スマイルを注文してみることにした。いくら無限に数量を入力できるとはいえ、さすがに100はやりすぎだろうということで、数量は「5」としてみる。

 注文から10分後、Uber Eats配達員が到着した。

 スマイルを5回投げかけてくれるのか? と思いきや、ぶ厚めのマフラーのようなものを口元に巻き、眼鏡もかけている。コロナ対策か……あるいは花粉症だったのか……そのマフラーの奥にスマイルを浮かべているのかもしれないが、その表情はまったくうかがい知ることはできなかった。商品を手渡し、「またよろしくお願いいたします!」と言い残すその声は心なしか優し気だった気もするが気のせいか。

 配達員が届けてくれた商品は通常、マクドナルドで持ち帰る時と同じだ。

 ん……? 袋に何か書いてある。

 「Smile」と書かれた文字を囲むように、5つの笑顔のイラストが描かれている。トラのイラストのクオリティが高い。これがUber Eats版「スマイル×5」……!

 領収書にも「スマイル SMILE 0円」と書かれている。

 つまり、Uber Eats配達員がスマイルを代替するわけではなく、袋に描かれたイラストがマクドナルド店員の「スマイル」を届けてくれているということだったのだ。

Uber Eats配達員に心情を聞いてみると…

 本当はその場でその配達員に「スマイルの配達」についてヒアリングしたかったのだが、配達員は颯爽と去ってしまった。そこで、これまで3000回以上Uber Eatsの配達を経験し、マクドナルドのデリバリーも幾度も行ったことがあるという散歩くん Uber Eats自転車に乗る人(Twitter@sanpokun69)に話を聞いてみた。

「UberEatsで3000回以上配達をしたことがありますが、お客様から玄関先で『スマイルしてください』なんて要求されることはないですね(笑)。さらっとした態度のお客さんがほとんどですから」(散歩くん Uber Eats自転車に乗る人さん)

 散歩くん Uber Eats自転車に乗る人さんによれば、Uber Eatsの配達で稼ぐためには、移動時間を速くし、無駄な時間をそぎ落とし、配達件数をこなすことができるかがカギなのだそうだ。

 つまり、とにかく時間との戦いに挑んでいる配達員にとって、無償で笑えというのは無理があるだろう。そして客もまた、淡泊な関係性を求めているらしい。

真意をマクドナルド社に直撃!

 とはいえ、これまで接客コンテストに力を入れるなど対面でのサービスにこだわってきたマクドナルド。

 今回の真意を問い合わせてみると、広報担当者がそもそも「スマイル0円」というサービスを始めた経緯を説明する。

「お客様をどんなときにあっても笑顔でお迎えし、『マクドナルドを利用されるお客様に、笑顔になってもらいたい』というマクドナルドスタッフ全員の思いを代表し考案され、それが具現化されたものです。1970年代の後半から1980年代前半頃に店舗からのアイディアで始まったと聞いております」(マクドナルド広報、以下同)

 では、自社の人間ではない「配達員」が商品を運搬するUberEatsにまで「スマイル0円」のメニューを追加したのはなぜなのだろうか?

「マクドナルドのスマイル0円は、『お客様を最高の笑顔でおもてなしする』『お客様に、笑顔になってもらいたい』というマクドナルドの思いを象徴する存在です。ひとりでも多くのお客様にスマイルを届けたい思いから、2017年7月より新しく『スマイル0円』もデリバリーのメニューに加わりました。クルーが直接お会いできないデリバリーをご利用のお客様にもスマイルをお届けする方法として、スマイルやメッセージなどを描いております」

 たとえデリバリーでも欠かせなかったサービスのようだ。そのため、UberEatsだけでなくマクドナルドのデリバリーサービス「マックデリバリー」でも「スマイル0円」をメニューから選択し注文することができる。それだけこだわりがあるということは、配達員にスマイルをしてもらうという選択肢もあったのでは、と思ったが……。

「UbeEats様はデリバリースタッフへの評価システムもあり、常に質の高いサービスをご提供できるよう取り組まれていますので、紙バッグに書かれたマクドナルドクルーによるメッセージとともに心のこもったサービスのご提供が可能と考えております」

 ちなみに、紙バッグに描かれる「スマイル」は、各クルーに任されているため、スマイルの場合だったり、メッセージだったり、さまざまなパターンがあるのだそう。

 現在マクドナルドでは新型コロナウイルスへの対策を行いつつ通常営業を行っている。クルーごとに異なる「スマイル」を楽しんでほしいが、くれぐれも業務の負担をかけることのないように、最小限の「スマイル」を注文するようにしたい。<取材・文/松本果歩>

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏