高コスパ「iPhone SE」と「iPhone 11」どちらを選ぶ? スペックから性能まで徹底比較

高コスパ「iPhone SE」と「iPhone 11」どちらを選ぶ? スペックから性能まで徹底比較

 テレワークやネットサービスの利用が増える中、iPhoneをより快適に使える最新モデルへ買い替えたいと考えている人は多いはず。

 そこで注目を集めているのが、4万円台から買える「iPhone SE(第2世代※以下略)」と、7万円台で買える大画面の「iPhone 11」だ。いずれも10万円以上するハイエンドの「iPhone 11 Pro」と同じ高性能プロセッサ「A13 Bionic」を搭載しており、スマートフォン全体で見ても安価かつ高性能、コストパフォーマンスの高いモデルとなっている。

 だがiPhone SEとiPhone 11を比べてみると、価格から画面サイズ、機能面まで大きく異なっており、iPhoneの利用スタイルによってどちらを買うべきかが変わる。そこで、筆者が両モデルとも発売日に自腹購入して利用し続けたレビューをもとに、どちらのモデルを買うべきか見ていこう。

●iPhone 11とiPhone SEの基本仕様と価格をチェック

 まずは両モデルの基本仕様と価格だ。販売はドコモ、au、ソフトバンク他、Apple Storeや量販店のSIMロックフリーモデルがあるのだが、ここでは目安としてApple Storeの価格を紹介する。

 iPhone 11は6.1型ディスプレイを搭載した、現iPhoneの看板機種だ。大画面でバッテリー持ちがよく、ネット動画やアプリの使いやすさを重視した今どきのモデルとなっている。この他、デュアルカメラや高品質なステレオスピーカーも搭載。生体認証は顔認証のFace IDのみとなる。

 価格は税別きで、64GBモデルが7万4800円、128GBモデルが7万9800円、256GBモデルが9万800円。iPhone SEと比べると3万円高いが、そのぶん多くの機能はワンランク上の仕様となっている。このモデルを買う人は動画やアプリの利用や、カメラ撮影の機会が多いと思われるので、128GB以上のモデルを選ぶのが無難だ。

 iPhone SEは、iPhone 6からiPhone 8まで引き継がれた4.7型ディスプレイ搭載のスリムな形状や、指紋認証のTouch ID搭載といった基本コンセプトをそのままに、iPhone 11シリーズと同じ最新ハイエンドチップのA13 Bionicを搭載したモデル。税別だと5万円を切る価格も魅力だ。

 価格は税別で、64GBモデルが4万4800円、128GBモデルが4万9800円、256GBモデルが6万800円となる。LINEやSNSだけなら64GBモデルでも使えるが、高性能を生かして複数のアプリやゲームも楽しむなら128GBモデル以上を選びたい。

 この他、SuicaやiDなどFeliCaを利用した非接触IC決済、防水・防塵(じん)仕様、eSIM対応、ステレオスピーカー内蔵(イヤフォン端子は非搭載)、別売りのUSB-C - LightningケーブルとUSB PD対応充電器による急速充電、ワイヤレス充電対応、これらの機能は両モデルとも搭載している。

 次からは、気になる各機能についてより詳しく見ていこう。

●マスク装着時のロック解除はiPhone SEが圧倒的に便利

 iPhone SEの発売で話題になったのが、マスク装着時の指紋認証 Touch IDの便利さだ。iPhone 11をはじめとする近年のiPhoneは顔認証のFace IDを標準搭載しているが、マスク装着時は顔を認識できずパスコード入力が必要と、かなり不便な状態になっている。

 マスク装着が推奨される外出時には、顔認証は使いづらい。特に、店頭でのキャッシュレス決済利用時は、iDなどの非接触IC、アプリのコード決済のどちらを利用するにせよ、ロック解除で手間がかかるのは不便だ。iPhone 11で楽にキャッシュレス決済を利用するには、認証のいらないエクスプレスカードとして登録したSuicaで支払うしかない。

 実際に、筆者の手作業でロック解除からホーム画面表示までの時間を計測してみた。パスコードは6桁で、iPhone 11はパスコード入力画面への移行が早くなったiOS 13.5でテストしている。

 iPhone SEの指紋認証はホームボタンを押すと一瞬でホーム画面が表示される。一方、iPhone 11などの顔認証のモデルは、顔認識後にスライド操作をしないとホーム画面が表示されない。マスク装着時はパスコード入力が必要となり、余計に時間がかかる。

 この他、iPhoneで横画面表示のアプリを操作中にロックがかかった場合、指紋認証は横持ちのまま指を触れてもロック解除できるが、顔認証はiPhoneを一度顔に対して縦に向けないとロック解除できないという違いもある。

 当面この状況は続くとみられるので、次期iPhoneは多くのAndroidスマートフォンのように、顔認証と指紋認証の両対応になることを期待したい。

●動画やSNSの見やすさは圧倒的にiPhone 11、音質も良好

 動画視聴や、アプリの利用時に気になる画面サイズや解像感はiPhone 11の方が上だ。iPhone 11は6.1型(828×1792ピクセル)液晶を搭載、iPhone SEは4.7型(750×1334ピクセル)液晶を搭載。一般的な画面比率16:9の映像を見る際も、画面サイズが一回り大きいと見やすさがかなり違う。また、内蔵ステレオスピーカーの音質もiPhone 11の砲が高音から低音まで滑らかに響く。

 iPhoneで気軽にお気に入りのアーティストのライブやスポーツを楽しみたい、高画質な映画配信を楽しみたいならiPhone 11をオススメする。なお、両モデルとも画面の最大輝度は同じで、HDRの動画再生にも対応している。

 普段のアプリの操作でも、iPhone 11は画面が大きいぶんメニュー画面や、SNSやWebサイトの内容をより多く表示でき使いやすい。アプリ自体もiPhone 11など最近の大画面モデルを前提に設計したものが増えており、iPhone SEを使っていると「もう少し画面が縦長なら……」と感じるシーンは多い。

●SEは軽く持ちやすいが、バッテリー持ちは11の方が良好

 iPhone SEの横幅は67.3mmで重量は148gと、横幅がスリムかつ軽量だ。片手親指だけでの操作もしやすい。一方、iPhone 11は横幅75.7mm、重量194gと大型で重たく、長時間操作する際は自然と両手で持つことになる。

 iPhone 6から8までのサイズ感が気に入っている人にとって、片手で使いやすくスーツの胸ポケットに入れても違和感の少ないiPhone SEは待望のモデルといえる。

 だが、バッテリー持ちについては大型のiPhone 11の方が有利だ。Appleのスペック情報でも、オーディオ再生時間はiPhone SEが最大40時間に対し、iPhone 11は最大65時間と1.5倍以上の差がある。この情報だけでも、実際のバッテリー容量にかなりの差があることが推測できる。

 実際に筆者が両モデルを8時間持ち歩き合計2時間ほどTwitterなどのアプリを利用したところ、iPhone SEはバッテリーを28%消費したのに対し、iPhone 11は20%しか消費しなかった。ちょうど1.4倍の差だ。

 普段の使用感でも、写真撮影やゲームを含めたややヘビーな利用だと、iPhone 11なら10時間程度の外出でバッテリー不足になることは少ないが、iPhone SEだとバッテリー不足の警告が出るまで減ることもある。

 スマホはコンパクトかつ軽い方がよく、利用が通話やメール、SNS中心ならiPhone SEがマッチする。だが、本体サイズよりもバッテリーの持ちを重視する人や、動画視聴やアプリ利用の多い人はバッテリー持ちの良いiPhone 11の方が快適だろう。

●処理性能の差は少ない、ゲームの快適さは最適な画面サイズしだい

 処理性能は、いずれもAppleの最新チップ「A13 Bionic」を搭載。ハイエンドスマートフォンとして非常に高い処理性能を実現している。ベンチマークで若干差が出ているのは、搭載するメインメモリがiPhone 11が4GB、iPhone SEが3GBというスペック差が出ているものとみられる。iPhone SEは今どきのスマホとしては、画面の解像度が低い割に処理性能が非常に高く、3Dグラフィックを多用したゲームも少ない発熱で快適に動かせる。

 一般アプリの動作は両モデルとも快適で、あとは「画面サイズ」か「軽さ」のどちらを取るかという程度の差しかない。3Dグラフィックを利用するゲームアプリの場合は、解像度の高いiPhone 11で動かさないと高いCPUやGPU性能がもったいないという印象だ。

 もう少し細かい話をすると、映像画質やバトルロイヤル系アクションゲームの操作性を求めるなら、大画面で高画質なiPhone 11が有利。一方、片手操作だけで遊べるゲームや、ソシャゲRPGの周回作業ならiPhone SEの方がバッテリー持ちを無視すれば手軽だ。音楽ゲームは最近だと大画面での操作性を重視したものもあるので、どちらが楽かはアプリの内容による。

●カメラ性能はiPhone 11、超広角撮影と夜景性能に大きな差が

 カメラ性能は、iPhone 11が超広角を含むデュアルカメラで、iPhone SEはシングルカメラ、いずれも約1200万画素だ。いずれも光学式手ブレ補正や、次世代のスマートHDR撮影対応。ビデオ撮影は4K/60fpsや1080p/240fpsのスローモーション撮影も利用できる。

 iPhone 11でのみ利用できる機能は、超広角撮影や、人物以外の被写体のぼかし、夜景を明るく撮れるナイトモード、ビデオ撮影時の収録音のオーディオズームぐらいだ。

 インカメラはiPhone 11が約1200万画素で、次世代のスマートHDR撮影対応や、4K/60fpsのビデオ撮影に対応。iPhone SEは約700万画素で動画撮影は1080p/30fpsに限られる。

 実際に撮影したところ、日中屋外や明るい室内の絵作りはそこまで違いは見られなかった。違いはiPhone SEと比べ、iPhone 11の方が標準のカメラで比べてもやや広角な点ぐらいだ。下記の撮影例ではiPhone 11の方がやや解像感が優れているが、普段の撮影ではそこまで違いを感じられない。超広角撮影はiPhone 11の特権となる。

 一番大きい違いは、ナイトモードの有無だろう。iPhone 11の場合、暗い夜景にカメラを向けると手持ちで数秒のロングシャッター撮影となり、撮影後には明るく手ブレのない夜景を撮影できる。

 カメラ撮影にこだわるなら、少々高くてもiPhone 11を選ぶ方がいいだろう。写真表示も画面が大きく解像度が高いぶん、より見やすい。

●ライト利用はiPhone SE、エンタメならiPhone 11だが、マスク装着や在宅利用の変化も考慮しよう

 ここまでiPhone 11とiPhone SEと比較してきた。基本的には、通話やメール、SNS中心のライトな使い方ならiPhone SEがいい。カメラやネット動画、ゲームなどスマホをヘビーに使うなら大画面でバッテリー持ちのいいiPhone 11がオススメだ。

 ただ、現在はここにマスク装着時の快適さという要素が加わってくる。

 現状でも毎日仕事で外出が多い、特に外回りでスマホを利用することが多いなら本来はiPhone 11が最適であったとしても、現状はマスク装着時も使いやすいiPhone SEとモバイルバッテリーを持ち歩く方が快適な場合がある。

 一方、在宅での仕事が増え、ネットサービス利用の機会も増えてきたなら、iPhone SEが好みでも、慣れてくるとiPhone 11の方が快適に感じる場合もある。ビデオ会議も、大画面かつインカメラが高性能なiPhone 11の方が便利だ。

 現状は単純に2モデルから選ぶのではなく、これからの使い方も想定しつつ選んだ方がいいだろう。幸い、これらのモデルは安価な上に、iPhoneは中古ショップの買い取り価格が極端には下がりにくい。1年や半年で新モデルに買い替えるという選択肢も頭の隅に置きつつ、今便利なモデルを買ってしまうのも1つの考え方だ。

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