極めて順当に進化したキヤノン「EOS Kiss X」、4K動画撮影に親指AFも
新型コロナウイルスの影響はカメラ界にも及んでおり、2月のカメラ見本市「CP+2020」が中止になった他、5月にドイツのケルンで開催予定だった「photokina」(フォトキナ)も中止、6月に横浜で行われるはずだった「PHOTONEXT」は秋に延期となったわけである。
そして新製品にも発売延期となったものがいくつかある。その1つがキヤノンの「EOS Kiss X10i」。4月下旬発売だったこの製品、6月下旬に延びたのである。
確かにエントリー向けの製品を緊急事態宣言期間中に出してもしょうがないよね、旅行にも行けないしイベントも中止だし。
でも、ここに一足早く実機が届いたので、発売まで間があるけれども紹介したい。
●順当に進化したEOS Kiss X
キヤノンのエントリー向け一眼レフEOS Kiss X10iは、極めて順当に進化したEOS Kissである。前モデルのX9iから3年。基本的なところはあまり変わらないものの、映像エンジンが「DIGIC 7」から8になり、4K動画を撮れるようになった。
APS-Cサイズクラスのセンサーは約2410万画素。
デザインもX9iを踏襲しているが、撮影モードがシンプルになり、ストロボ発光禁止モード、ポートレートや風景モードなどがなくなった。おそらく、利用する人が減ってきたのだろう。
各シーンはシーンモードの中に入ったし、ストロボはポップアップが手動式になったことで、わざわざ発光禁止モードを設ける必要がなくなったからだ。
あとは微妙なボタン配置の違いなどはあるが、X9iを踏襲しているといっていい。
旧ユーザーがチェックすべきなのはAF-ONボタンが付いたこと。俗にいう“親指AF”(右手の親指でAF-ONボタンを押してピントを合わせる手法)に使える。
ズームキットのレンズは18-55mm F4-5.6だ。これは軽くて扱いやすいレンズだが、エントリー向けのレンズだけあって解像感はそれほど高くない。
残念なのは焦点距離かな。昔はエントリー向けズームといえば35mm判換算の28mmスタートが当たり前だったけど、最近はもうちょっと広角から始まるズームレンズが一般的になりつつあるからだ。
AF測距点はX9iや上位モデルの「90D」と同じ45点。このクラスなら実用十分といっていいだろう。
AF速度も速く、連写も秒6コマから7コマへとちょっと速くなった。
光学ファインダーの視野率は約95%。残念ながら100%にはならなかった。
EOS Kiss系は一眼レフでありながらライブビューで使う人を多く見かけるのも特徴かと思う。デュアルピクセルCMOSセンサーを採用していることもあり、ライブビュー時のAFも快適だ。
ライブビュー時は、AF固定なら約秒7.5コマだがサーボAF時は約秒4.5コマに落ちる。
今回光学ファインダー時も人物の顔を検知する顔優先AFが可能になった。22万画素の測光センサーを用いた顔検知を行えるのは画期的だ。ただ測距点は45点で周辺部はサポートしてないため、あくまでも45点の範囲内での顔優先となる。
対してライブビュー時は瞳検出にも対応。人を撮るときはやはりこちらが有利だ。
で、ここで人物作例が入るタイミングであるが、今回非常事態宣言中で人との接触を避ける必要もあるため、人物撮影はしてないのである。残念ながら。
ライブビューで使う背面モニターはバリアングル式でタッチパネル対応。レスポンスは良く、ライブビューモードにするとミラーレス一眼のように使える。
ローアングル作例とハイアングル作例をどうぞ。
シャッタースピードは最高で1/4000秒。
ISO感度はISO100から25600で拡張ISO感度としてISO51200まで上げられるというのは前モデルと同じだ。
高感度時の画質はAPS-Cサイズのセンサーとしては最高とはいえない……要するにもうちょっと頑張ってほしい感はある。被写体にもよるがISO6400くらいまでかなという感じだ。高感度時のざらつきや彩度の低下がちょっと気になる。
ダブルズームキットにはさらに55-250mmの望遠ズームレンズもセットになる。
軽くて細い望遠レンズなので役立つだろう。
●EOS Kissはどこへ行く?
さて、エントリー向けのEOS Kissは4モデルある。
一眼レフとして上位のKiss X10i、小型軽量の「Kiss X10」、安さの「Kiss X90」。そしてミラーレスの「Kiss M」だ。
何世代も前の映像エンジン(DIGIC 4+)を搭載したX90はまあおいとくとして(おすすめしない)、残りは3モデル。
性能でいえばX10iが一番よく、光学ファインダーをのぞいて撮ることが多いならおすすめ。一眼レフだけどライブビューで撮ることが多いなら安くて小さくて軽いX10がいい。これがKiss Xの主力モデルでもOKだと思う。でもライブビュー撮影がメインなら、ミラーレス一眼のKiss Mの方が理にかなってるし小さくて使いやすいんじゃないか。
悩ましいところである。個人的にはX10iよりもKiss Mの後継機を見たかった。Kiss Mの発売から2年。今後、ミラーレス一眼が主流になっていくことを考えると、そろそろ出すべきじゃなかろうかと思う。
