【#自宅より愛をこめて】外出自粛だからこそ お米オタクに学ぶ「おいしい白米の楽しみ方」

【#自宅より愛をこめて】外出自粛だからこそ お米オタクに学ぶ「おいしい白米の楽しみ方」

外出自粛により、自宅で毎日三食を食べることが増えた今、最も用意することが多いものといったら「白米」ではないだろうか。白米がおいしければ、食事の満足度も高まるもの。そこで、数年間にわたってほぼお米だけを食べて生きていたこともある無類の米好きのお米ライター・柏木智帆氏に、コロナ禍の今こそ試してほしい、お米をよりおいしく楽しむコツを教えてもらった。

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もともとは新聞記者だった私ですが、お米と米食文化への敬愛が募りに募って、稲作の現場に立つために営農組合に転職。お米を作りながらDIYキッチンカーでケータリングおむすび屋を運営しました。あまりにもお米への愛が強すぎて、数年間にわたってパンを一口も食べず、おかずや調味料を食べず、ほぼお米だけを食べて生きていたこともあります(ウソのような本当の話です)。

ですから、1日3食の主食はお米が当たり前。時々うどんや素麺などを食べると「ああ、お米が食べたい…」と落ち着きません。自宅で素麺を食べるときにはおむすびも食べたり、店でナポリタンを食べるときは白飯を持参したり(店主の了解済み)、店でうどんを食べるときはライスも注文したり。たとえおかずがちょっとしかなくても、おいしいお米さえあれば満足。私1人だけでも5kgのお米は10日も持ちません。

買い占めでおいしさ減の可能性も

新型コロナウイルスの影響で一部地域ではお米の買い占めが起きましたが、精米した白米は大量に買っても劣化して古米化していきます。たとえ玄米で購入しても、温度と湿度が適した環境で保管しないと劣化しますし、精米は家庭用よりも米屋(あるいは一部の直販農家)の機械のほうがお米を良い状態で白米にしてくれます。

できるだけ外出を控えたい昨今ですが、おいしいお米を食べ続けたいのであれば、多くても家族が2週間ほどで食べ切ることができる量を目安に購入することをおすすめします(わが家の場合は夫婦で16kg)。

購入したお米はすぐに密閉した容器に入れて冷蔵庫へ。ジッパー付きのビニール袋や空のペットボトルなどがおすすめです。

とは言え、「冷蔵庫に10kgのお米を入れるスペースなんてない!」という人は多いと思います。その場合は入る分量だけを冷蔵庫へ入れる方法もあります。たとえば5kgずつお米を購入している母は、2lの空のペットボトル2本にお米を入れて冷蔵庫へ入れ、残りのお米は冷暗所に保管しています。食べる順番は冷暗所に置いているお米から。こうすればお米の劣化を緩やかにさせることができます。

「お米がおいしくない」と思っている人は、もしかしたらお米が劣化しているのかもしれません。おいしいごはんのためには、まずは保管が重要です。

丁寧な炊飯を楽しむ

そして、外出自粛の今こそ丁寧にごはんを炊いてみるのはいかがでしょうか。炊飯にはさまざまな流儀がありますので、これが正解ではありません。あくまで参考にしてみてください。

お米の計量は1合150g、キッチンスケールを使って正確に。お米を量り終えた状態でキッチンスケールの目盛りを0にすれば、その後に入れる水もそのまま計量できます。

計量したお米は冷水を張ったボウルに投入して、さっとお米を動かしたらすぐに水を捨てます。さっと動かすのは、米粒の周りに付いている気泡を散らすためです。気泡が付いたままだと米粒が浮いてしまい、水を流すときにお米も一緒に流れてしまいます。

水をボウルに入れたら、米粒を両手で数回優しくこすり合わせて、数回水を替えます(お米の量によってこすり合わせる回数や水を替える回数は変わります。お米の品質によって違いますが、私は3合の場合は4~5回こすり合わせ、水を3回替えることが多いです)。

最近の精米は糠切れが良いので研ぐ必要はないと言われていますが、精米後の経過日数や精米方法などによっては米粒の表面の糠を落としたほうが良いため、こすり合わせて洗うことをおすすめします。「おいしくないなあ」と感じたお米は、こすり合わせる回数や水を替える回数を増やしてみてください。

水の量はお米1合につき200mlを目安に、何度か炊いて好みの分量を見つけてください。浸漬(お米を浸水させること)した水にはお米の旨みが流れているため、浸漬水ごと炊飯します。

お米に水が入っていく様子を観察

浸漬は長時間をおすすめします。たとえば、朝や昼に炊飯するならば、前日の就寝前に浸漬。昼に炊飯するならば、当日の早朝に浸漬。夜に炊飯するならば、当日の朝か昼に浸漬というふうに、最低でも6時間、余裕があれば半日以上浸漬すると、米粒の中心まで水が入ってふっくらと炊くことができます。

ぜひ冷蔵庫で浸漬してほしいのですが、「そんなスペースない!」という場合は、重ねられるふた付きのタッパーやジッパー付きビニール袋などに入れて浸漬させてみてはいかがでしょうか。

余裕があれば、炊飯するお米とは別に、濃い色の皿に20粒ほどの米粒を出して冷水を入れてみてください。ごはんは白いですが、生米は白色ではなく透きとおっています。生のお米に水が入っていくと、徐々に白色に変化していくのが分かります。もしかしたら、水が入るにつれてヒビが入ってしまうお米もあるかもしれません。

水が入った米粒は、指で潰すと簡単に砕けます。普段食べているお米がどういうふうに変化していくのか、お子様と観察してみてはいかがでしょうか。

家族でお米の食味を分かち合う

浸漬したお米は浸漬水ごと土鍋やアルミ鍋などで炊きます。「炊飯できる鍋がない!」という場合は、炊飯器の早炊きモードをおすすめします。鍋とは炊き上がりが変わりますが、たっぷりと浸漬して早炊きすると、そのお米の持ち味を引き出したごはんが炊けると思います。鍋の場合は10分ほど蒸らしてからしゃもじで飯切り、早炊きの場合はしゃもじで飯切りをしてから7~8分ほど蒸らしてください。

炊けたごはんはまずは香りを楽しみ、それから舌触りや粘りや甘さや旨みなどを味わいます。「こんな香りがする」「よく噛むとじわじわと甘い」「のどの奥で旨みを感じる」など、家族で食味について感想を言い合うと楽しいです。

さらに日本酒やワインといった嗜好品のように、「草のような」「甘酒みたいな」「トウモロコシみたいな」などと、何かに例えて食味を表現し合ってみると、家族で感じ方が全く違ったり、「確かに言われてみればそう感じる」という発見があったり、なかなかおもしろいものです。丁寧にごはんを炊き、味わう。家族と食べるごはんが、より楽しくおいしくなること間違いなしですよ。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏