「自画撮り」被害増 休校延長で子供のSNSに注意

「自画撮り」被害増 休校延長で子供のSNSに注意

 新型コロナウイルスの感染拡大の終息が見通せず、学校の休校措置の延長が相次いでいる。そんな状況で子供の利用頻度が高まっているとされるのがSNS(会員制交流サイト)だ。会えない友人らとつながれる貴重なツールだが、気を付けたいのが犯罪被害などのトラブル。特に裸の写真などを送信させられる「自画撮り」被害は近年増加傾向で、警察が注意を呼び掛けている。(西山瑞穂)

 ■GW前に大阪府警が啓発

 「実際に警察が取り扱った被害をもとに一緒に考えましょう」。大阪府岸和田市のケーブルテレビ局「テレビ岸和田」のスタジオで4月末、大阪府警岸和田少年サポートセンターの男性職員がカメラに向かってこう呼びかけた。

 新型コロナの影響で開催が難しくなった小中学校での犯罪被害や非行の防止教室に代わり、府警が「テレビ岸和田」で今月6日まで放送する動画の収録。動画は現在、同テレビ局のホームページでも公開されている。

 職員は、少女がSNSで大学生と知り合い、「嫌われたくない」といった理由で裸の写真を送った事例を紹介。一度送ると「写真をばらまくぞ」などと少女への脅迫が始まり、さらに写真を要求されるように。写真は結局インターネット上で拡散されたと説明し、「交際相手でもこうした写真を送らせることは児童ポルノ法や府の条例で禁止されています」と訴えた。

 ■5年間で2倍、表面化しないケースも

 イラストを交えた15分間の動画では大麻の危険性なども取り上げるが、中でも府警が「長期休校中の被害が懸念される」とするのがこうした自画撮り被害だ。

 昨年全国で摘発された児童ポルノ事件の被害児童のうち、自画撮り被害は約4割の584人で、5年間で約2倍に増加。内訳は高校生242人、中学生290人、小学生41人などで、SNSがきっかけの被害が多かった。被害届が出されず、表面化しないケースも合わせると被害はさらに広まっているとみられる。

 全国の警察はホームページなどでSNS被害への注意を呼び掛けるが、三重県警は夏休みなどに無料通信アプリ「ライン」で配信していた啓発広告を急(きゅう)遽(きょ)、4月22日から配信。広告は同県の小中学生や高校生とみられる利用者が対象で、自画撮りなどのSNS被害について、クイズ形式や動画で伝える県警の特設サイトにつながる仕組みだ。

 県警少年課の担当者は「SNSを使いたくなる気持ちは分かるが、一歩間違うと被害に遭うと知ってほしい」と話している。

■狙われるのは小学生、男児も被害者に

 自画撮りなどのSNS被害は懸念にとどまらず、休校が続く中で実際に起きているとの指摘もある。

 子供とインターネットの問題に詳しい兵庫県立大の竹内和雄准教授のもとには、多くの学校が休校になった3月以降、教員や保護者から約20件の相談が寄せられた。中には小学生の女児がSNSで知り合った人に「ラインスタンプをあげる」といわれ、裸の写真を送ったなどの自画撮り被害も数件あったという。

 竹内准教授によると、休校や外出自粛が続くことで子供がSNSを長時間利用するようになったほか、新たにスマートフォンやタブレットを渡して子供を遊ばせる家庭が増え、利用が低年齢化。小学生は裸への抵抗が薄く、男児の被害も目立つといい、「今狙われているのは小学生。無防備な状態でネットにさらされている」と指摘する。

 では、親はどう対応するのがいいのか。竹内准教授は、子供にSNSの危険性を伝える▽各警察本部につながる相談専用電話「♯9110」などの窓口を教える▽トラブルに遭った場合は責めたり騒いだりせず、子供の悩みを受け止めて相談にのる-の3点をあげ、こう訴えている。

 「ネットは正しく怖がらせ、賢く使うことが重要。『SNSはやるな』ではなく、こんなときだからこそ親子で話し合い、一緒にルールを考えてほしい」

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