CPUって何?PCを初めて購入する人でも安心、話題のAMD製Ryzen搭載BTO PC選びのイロハ

CPUって何?PCを初めて購入する人でも安心、話題のAMD製Ryzen搭載BTO PC選びのイロハ

 仕事や学校の授業でパソコン(以下、PC)が必要になり、初めてPCを購入しようとした際、どれを購入していいか分からない、そんな悩みを抱えている人は、たくさんいるのではないだろうか。家電量販店やPC専門ショップに行って、詳しい店員に聞いてしまえばイイと思う人もいるだろうが、できれば自分である程度選び方を分かっておきたい。

 今回はそんな人のために、ここ最近急激にシェア拡大を続けているAMD製のCPUを中心とした主に自宅で使う据え置きのデスクトップ(卓上型)PCの選び方から、拡張方法、初めてPCを自作する際のパーツの選び方、自作PCの入門までを連載形式で紹介していきたい。

コア&スレッドが多いほど、データ処理がより並列に行なわれ速い!

 さて、第1回目となる本稿は、PCの主要パーツの簡単解説と、入門機ともいえるPCの紹介を中心にお伝えしたい。PCはいろんなパーツで構成されているが、最も重要なパーツはPC全体の処理能力を決定する「CPU」(Central Processing Unit)と呼ばれるパーツだ。PCのCPUは、大別してAMD(エーエムディー)とIntel(インテル)の2メーカーの製品がある。今、PC市場で話題となっているのは、AMDの「Ryzen(ライゼン)」と呼ばれるCPUだ。

 PCショップのPCの商品説明などには、CPUの名称と性能が必ず記載されている。たとえば、

「Ryzen 9 3950X」

(16コア/32スレッド、ベースクロック3.5GHz、最大ブーストクロック4.7GHz)

などと記載されている。コアとは、CPUの核となる処理を担っている部分で、データの処理をその数(ソフトによって異なる)だけ並列に処理できる。それはよく作業員に例えられる。ともすれば、9年前くらいに主流だったデュアルコア(2コア)は、コアが2つだったが、AMDの一般向けCPUの最上位「Ryzen 9 3950X」は16コアと、その8倍ものコアを搭載する。

 では、スレッドとは何だろうか。スレッドとは、物理的に入っているコアが1つでもPCを動作させるOS(Operating System)と呼ばれるソフトウェアであるWindowsに、仮想的に2つあるように思わせる技術。イラストを例にいえば、1人の作業員が同時に2つの作業を行なう、または分身して作業する、とでも考えて貰えばイイだろう。

クロックも数値が大きいほど性能が高い

 次にクロックだが、PCパーツが動作するタイミングのようなもの。パーツの世代による設計、種類によっても性能が変わるため、この数値のみでCPUの性能を比較できる訳ではなく、一概に絶対とは言えないが、基本的に数値が大きいほど高速に動作する。前述のイラストを用いていえば、ひとりひとりの作業員の動作の速さを数値化したものとでも考えておくといいだろう。

 さらに、ベースクロックとは、そのCPUの基本のクロック数で、最大ブーストクロックとはメーカーが定めた動作を保証する最大クロック数。CPUはクロックを高める程に熱を持ち、クロックを上げ過ぎると破損の原因になる。要するに、普段は余力を持って動作し、負荷がかかる作業時には自動的に上がる最大値が最大ブーストクロックという訳だ。

 まとめると、よりコア&スレッド数が多く、動作クロックが高いと、より高性能となる。もちろん、AMDとIntelとメーカーが異なり、同じメーカーでも新旧とCPUの構造の世代が異なれば、この数値のみで性能の比較はできないので、あくまでPCを購入する際の目安と考えて欲しい。

 また、CPUの名称である型番を見れば、性能の違いが分かる。Ryzenの後に続く数値がそれで、Ryzen 9が最もハイエンドで、その次がRyzen 7、Ryzen 5と続き、最後にRyzen 3とラインアップがそろっている。とても簡単に言えば、以下のような人向けと覚えておいて欲しい。

Ryzen 9:とにかく最も高い性能が欲しい人

Ryzen 7:PCゲームや動画編集などを快適に行ないたい人

Ryzen 5:比較的快適でコスパを求める人

Ryzen 3:性能よりも価格を抑えたい人

価格を可能な限り抑えたいならGPUを内蔵する

APU搭載のPCが入門機としてオススメ

 次に、PCの性能に関わる重要なパーツとしては、画像処理用の演算装置である「GPU」(Graphics Processing Unit)だ。このパーツがないと、PCは映像をディスプレーに出力できない。

 ただし、「Ryzen 9 3950X」などのAMD製CPUは、このGPUを内蔵していない。その代わりにライバルであるIntel製CPUの同価格帯CPUよりも、コア&スレッド数が多くコストパフォーマンスに優れている。

 AMD製CPUを使う際は、GPUを内蔵するビデオカードと呼ばれるパーツが必要になる。しかし、AMDにもGPUを内蔵する「APU」(Accelerated Processing Unit)と呼ばれる製品がある。「Ryzen 5 3400G」などがそれにあたる。Ryzen世代のAPUの見分け方は簡単で、型番の最後に「G」が付いていればGPUを内蔵している。

 ビデオカードは大別してNVIDIAの「GeForce」と、AMDの「Radeon」があり、AMDは唯一CPUとGPUの両方を販売している。そして、同価格帯のGPU内蔵CPU(AMD製のみAPUと呼ぶ)では、AMDのAPUはIntel製CPUよりも高いGPU性能を有している。

 そのため、ウェブサイト視聴やウェブ動画視聴、メール、文書作成といった一般的な作業のほか、動作の軽いPCゲーム、レトロゲーム、2D格闘ゲーム、シューティング、ブラウザーゲームなどをフルHDで遊ぶといった人には、APU搭載PCがオススメできる。

 ちなみに蛇足だが、現行のゲーム機であるソニー・インタラクティブエンタテインメントの「PlayStation 4」(PS4)やMicrosoftの「Xbox One」もAMD製のCPUおよびGPUを搭載している。また、次世代機である「PlayStation 5」「Xbox Series X」もAMD製のCPUおよびGPUを採用している。そのためゲーマーであれば、割と身近に感じるのではないだろうか。

8GB以上デュアルチャンネルが肝

 CPUとGPUとともに確認しておきたいのがストレージとメモリーだ。ストレージはすべてのデータを保存するためのパーツで、大別してHDDやSSDと2種類あり、すごく簡単に言えば、遅いが大容量で安いのがHDD、高速だが大容量になると高いのがSSDである。

 HDDとSSDは構造自体が異なり、SSDは接続方法によって速度が異なる。この辺りの話は、以降のPC自作編でもっと詳しく紹介するので、気になる人はそちらを待って欲しい。

 ひと昔前は、HDDのみを搭載しているPCもあったが、OSをインストールして、PCの起動速度に関わるメインストレージのほとんどがSSDになっているので、後は自分がどれぐらいの容量を必要としているかで選ぶとイイ。

 MMORPGや最新のFPSゲームのようなPCゲームなどは何10GBと容量を使うので、そうしたゲームを複数入れて容量不足になりたくない場合は、1TB以上が必要だが、好きなゲーム1本、そのほかは一般的な作業のみ、といったような使い方なら256GBでも問題ないだろう。

 次にメモリーだが、これはCPUが処理を行なうデータを一時的に記憶する場所で、複数のアプリを起動した際の快適度などに関わる。前述のCPUを説明する際のイメージイラストを思い出して欲しいが、あの作業員たちの作業台のようなものと考えて欲しい。数値が大きく大容量なほど、作業台が大きく作業がしやすくなるため、より高速に処理が行なえる。

 さらにメモリーで重要なポイントがデュアルチャンネルであるかどうか。デュアルチャンネルとは、同じ規格・容量のメモリーを2枚挿すことで、CPUやメモリーのデータ処理を高速化する技術。

 イラスト例に簡単に説明すると、メモリー容量は一度のデータを保存できる作業台の広さ。メモリーに保存したデータをCPUに運ぶ道が、メモリーが1枚なら1本、2枚でデュアルチャンネルなら2本(一度に運べるデータ量は一定)になり、より速く多くのデータが送れる。

 PCのスペック表のメモリーの項目を例に説明すると、

8GB(4GB×2)

となっていたりするが、最初の8GBが最大容量で、カッコ内の4GB×2がメモリー1枚の容量と枚数になる。つまりは、カッコ内のメモリー枚数が×2となっていればデュアルチャンネルであることが分かる。

 メモリーがデュアルチャンネルでないと、それがボトルネックになり、CPUの処理性能が落ちたり、PCゲームの快適度が下がったりするので、メモリーはデュアルチャンネルの方が望ましい。

最後の決め手は用途に合わせたサイズや見た目

 ここまでは、PCの主要なパーツの解説をしてきたが、PCの購入際に考えるのはスペックだけではない。自分の部屋に置くなら、サイズや見た目も重要だ。

 PCのサイズはケースに依存し、ケースのサイズによってフルタワー、ミドルタワー、ミニタワー、スリム、キューブといろいろある。フルタワーとはハイエンドPCやサーバー用との最も大きいサイズで、高さ500mm以上、大きいものなら成人の腰上ぐらいまでと、とても卓上では使えない大きさ。これは、初めてPCを購入する人は忘れていいサイズ。

 ミドルタワーは高性能なゲーミングPCやクリエイター向けPCなど、拡張性の高いPC用のサイズ。PCケースの高さが400mm以上くらいで、やはり卓上に置くと邪魔になるくらいの大きさなので、机の下などに置いて使うのが一般的だ。

 ミニタワーやマイクロタワーなどと呼ばれるサイズが、コスパが高く、拡張性もそこそこあるPCケースのサイズ。高さが300mm台。

 スリムなPCケースを採用するタイプは、幅が100mm前後、液晶ディスプレーの横や後ろに置いて卓上でも邪魔にならないサイズ。省スペースだが、幅がないためハイエンドなビデオカード(背の低いロープロファイルなら入る場合も)などの拡張ができないのがネック。

 また、モノによってはさらに小型で手のひらサイズの製品もある。そうした小型PCは、拡張性が乏しい代わりに液晶ディスプレーの背面に取り付けたり、卓上に置いても邪魔にならず、場合によってはテレビとつなげて、家族共有のPCとして活用が期待できる。

 スペックよりも置き場所と、置く場所に合う見た目という人は、まずはサイズや見た目を考えてからPCを選ぶとイイだろう。

PCをより安く、イイものを購入するなら

専門店で購入するのがオススメ

 これまでの解説に基き、まず話題のRyzen搭載のPCの入門機として、APUである「Ryzen 5 3400G」を搭載したPCをオススメしたい。

 最近では、オンラインショップでもPCを気軽に購入できるが、オンラインではどうしてもPCのサイズ感や見た目などがつかみ辛いので、できればPC専門の実店舗で購入するのを推奨したい。

 大手家電量販店では、主要PCメーカーのブランドを手広く扱っているがデスクトップPCなどのラインアップは少なめだ。そのため、コスパのいいPCを購入したい人には、全国に店舗を構えるBTO PCショップをオススメしたい。

 受注生産であるBTO(Build To Order)PCを扱う店舗は、ドスパラやTSUKUMO、パソコン工房、マウスコンピューターなどがあり、たとえば全国の主要都市に22店舗を構えるドスパラの「ドスパラ秋葉原本店」を例にとると、1階にBTO PCがズラリと並び、即納モデルも豊富に用意されている。

 店舗によって大きな違いはないが、たとえばお店ごとの延長保証やサポート体制に若干の違いがある。24時間365日電話サポートや気軽に問い合わせできるLINEサポートなどを行なっていたりと、細かな違いはあるが、PCを初めて購入し、トラブルが不安という人なら、BTO PCを扱う専門店で購入するのが安心だ。

 もちろん、その他の店舗でも豊富な知識を持つスタッフがいるので、初めてPCを購入する際は安心だ。

普段使いも快適なRyzen APU搭載モデル

 最後に、前述した現行最も新しいRyzen APUの「Ryzen 5 3400G」や「Ryzen 3 3200G」を備えたオススメのPCをご紹介。中古を除くとデスクトップPCで最も安価なのは、AMDの「Athlon」、Intelの「Celeron」など、ローエンドのCPUを搭載したモデル。

 ローエンドのCPUでもウェブサイト視聴や文書作成くらいは問題ないが、ウェブ動画を見ながら、SNSを見たりといった複数の作業を同時に行なったり、ちょっとした写真編集などをした際の快適度が大分変る。普段使いでできるだけ長く使いたいなら、Ryzen APU搭載機のコストパフォーマンスはかなり高い。

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