破格「1千円~」の宿も、急落する京都のホテル宿泊料の事情 新型コロナとダブル苦境
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う観光需要の急減を受け、京都のホテル経営が苦境に直面している。インターネットの大手宿泊予約サイトをみると、京都市内の宿の宿泊料は「1千円~」「2千円~」など驚きの価格が並ぶ。
京都市内では近年、宿泊施設の急増に伴う競争激化で、客室稼働率や宿泊料の低下が続いていた。この傾向は新型コロナによる2月以降の観光客の落ち込みでさらに拍車が掛かっている。
実際に宿泊料は、どの程度下がっているのか。ネット上で公開されている各ホテルの月別平均客室単価(ADR)と、大手予約サイトで検索した10日現在の宿泊料を比べた。
下京区の阪急烏丸駅に近い四条通沿いのホテルは、昨年3月のADRが約9100円。予約サイトをみると、今月前半の平日に素泊まりプラン(2人)を利用すれば、1室1泊の宿泊料は半額以下の約3500円だった。
四条通沿いの別のホテルは、昨年3月のADRが約1万2千円。同じくサイトでは、今月中旬までの朝食付きスタンダードプラン(2人)が、平日で1泊1室7~8千円台まで落ち込んでいる。
京都駅周辺でも傾向は似ている。八条口に近いホテルは昨年3月のADRが約1万1千円だったが、サイトで今月中旬の素泊まりプラン(2人)をみると、平日は1泊1室7千円台前半が並ぶ。
京都市観光協会の稲地利彦副会長は「もともと京都は新規開業の増加で宿泊料は下がる傾向があり、新型コロナの影響がダブルで効いている」と現状を分析。「大阪などほかにもホテルが増えている地域はあり、どんな解決策を示せるかが観光業界の大きな課題だ」と話す。