中国への不信感、新型肺炎対応で改めて浮き彫りに
中国が新型コロナウイルスの感染拡大という難敵に、この対応ぶりで勝利することはある意味、あり得ない。中国指導部の新型肺炎抑え込みに向けた取り組みは、ほとんどの国がなんとか実行できるよりも強硬だ。しかし、上の言うことに異議を唱えないイエスマンの文化は、初動段階で感染拡大を許してしまった。こうした事態は、中国の台頭によって利益を脅かされている人たちや、中国の約束が信用できないと分かっている者たちにとって、格好の攻撃材料となっている。
世界保健機関(WHO)によると、2日時点で新型コロナウイルスによる死者は300人を超え、1人を除けば死亡例は全て中国内で発生した。世界全体の感染者数は1万4500人を上回った。感染拡大の深刻さがはっきりしてくるとともに、中国は移動その他さまざまな制限を導入。人権問題の観点から批判の声も聞かれるが、これらの措置がさらなる感染拡大を減らすのは間違いないだろう。
WHOはこれまでの中国指導部の対応や、例えば2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)流行時よりもずっと高度になった情報共有体制を称賛している。
まさに03年からの変化に重要な意味があるのだ。つまり中国を行き来する人はずっと多くなり、同国の世界経済における比重もはるかに
大きくなった。世界全体の国内総生産(GDP)に占める中国経済の割合は当時のおよそ4%から、足元で20%まで上がった。
そういうわけで、たとえ中国が米国と貿易だけでなくさまざまな分野で摩擦を起こしていても、中国と、ほかの残りの世界は互いに前向きの関係を維持していかなければならない。ポンペオ米国務長官は先週、中国共産党を「現代の中心的な脅威」と呼んだが、巨大企業のアップル(AAPL.O)から小さな衣料品店まであらゆる企業が、新型肺炎の拡大とそれに伴う世界的な交通の混乱を通じて明確に悟ったのは、サプライチェーンをたった1つの大国に過度に依存する危うさだ。
一方で次第に詳細な報道が出るようになって、昨年12月に新型コロナウイルスによる肺炎が初めて確認された中国武漢市で、当局の対応がまずく、潜在的な危険性が隠蔽されていたという状況が分かってきた。恐らくそれは、中央指導部によって市当局の行動に手かせ足かせがはめられていたことも一因とみられる。
中央と地方の政府対立は、どこの国でも起きる。そうだとしても、首脳部が何かを望んだときに複雑な官僚機構が行動力を弱めてしまう中国の陥穽(かんせい)は、肝に銘じる必要がある。だから諸外国との競争で市場を開放するといった中国の約束は、中国が内心では不承不承
なことも踏まえると、本当に実現するのか新たな疑念が起きるのは至極当然だ。
