「悲願が実ってホッ」奈良県産の生柿 米国に初めて輸出 厳しい検疫条件クリア
奈良県五條市西吉野町で柿や桃などを栽培する果樹農家、西岡英史さん(46)が丹精込めて作った「刀根早生(とねわせ)」の生柿が6日、関西空港から米国に向けて飛び立った。県産生柿の米輸出は初。米国向けに約20アールの専用農場を準備し、使用農薬などの厳しい条件もクリア。25年ほど前に米国で農業研修に参加したことがある西岡さんは「甘くて果肉も柔らかいので、米国でも喜んでもらえると思う」と話した。【萱原健一】
米国向けの柿の輸出は日本政府が1986年に要請して、2017年にようやく解禁された。日本政府への事前登録が必要な他、害虫駆除や使用農薬など米国側の厳しい検疫条件をクリアする必要がある。和歌山県産の柿が全国に先駆けて輸出されてきたが、奈良県内では進んでこなかった。
西岡さんは20歳の頃に公益社団法人・国際農業者交流協会を通じて米ワシントン州のリンゴ農家で2年間、研修を受けた経験がある。漠然と憧れていた米国で中南米からの出稼ぎ労働者らと一緒に取り組んだ現実の農作業は「今の自分の人生の原点」という。
帰国後、農家の3代目として柿作りを始めた。当初は家業という義務感の方が強かったが、やがて「他の人よりいいものを」と考えるようになり、やりがいを覚えるようになった。
「自分の原点である米国に農作物を輸出したい」。西岡さんは、数年前に五條市商工会に所属した頃から具体的に考えるようになった。使用農薬のリストアップや商談会の設定では県や商工会の協力を得て、昨年11月には関係団体と打ち合わせをした。発生したカメムシなどで柿の3割ほどが被害に遭ったこともあったが、「もうけ度外視」と腹をくくってまい進した。
今月5日の朝一番で、一箱10キロの段ボール箱を13箱分梱包(こんぽう)し、関西空港に運んだ。米国での検疫もクリアし、7日(現地時間)にはカリフォルニアの日系スーパーに西岡さんの柿が並んだという。西岡さんは「悲願が実ってホッとした」と顔をほころばせた。
