ノートPC的高機能が貪欲に取り入れられた「iPadOS」の注目機能10個

ノートPC的高機能が貪欲に取り入れられた「iPadOS」の注目機能10個

 9月25日、iPad向けに新OS「iPadOS」の提供が開始されました。「iOS 12」まで、iPhone、iPod touch、iPadに共通のOSが提供されていましたが、今秋のアップデートからiPhone、iPod touchには「iOS 13」、iPadにはiPadOS(バージョン名は「iPadOS 13.1」)と名称の異なるOSが用意されました。

 iPadOSはiOS 13と同じ基盤を元に構築され、タブレットに特化したユーザーインターフェースや機能を採用。そのためiOS 13の機能の多くはそのまま実装されています。iOS 13についてはすでに「ダークモードや新マップ、iOS 13の注目の新機能を実際に試してみました」でレビューをお届けしているので、この記事ではiPadOSの独自ユーザーインターフェースや機能について、実際に使った感想を交えつつ解説していきます。

【iPadOSの注目機能 その1】

ホーム画面のデザインが変更

ウィジェットも表示可能に

 iPadのホーム画面といえば、画面の広さのわりに表示できるアイコン数が少ないためにスカスカなレイアウトが不評でしたが、iPadOSでは小さめのアイコンを30個(6×5)表示するか、大きめのアイコンを20個(5×4)表示するかを選べるようになりました。また「今日の表示」のウィジェットをホーム画面に表示できるようになったのもうれしいところ。

 ただし「今日の表示」のウィジェットが表示されるのはホーム画面の最初のページだけ。2ページ目以降はアイコンの間隔が離れてしまいます。ページごとにアイコンの間隔が変わるのはかなりの違和感です。「今日の表示」のウィジェットはすべてのページに表示して、アイコンだけがページめくりされるような実装のほうが個人的には好みです。

【iPadOSの注目機能 その2】

Slide Overに複数アプリをセット可能に

 アプリに重ねてふたつ目のアプリを表示できる「Slide Over」は複数アプリの格納に対応。よく使う情報や機能に素早くアクセス可能になりました。操作にはやや慣れが必要ですが、マスターすれば作業効率が大きく向上します。筆者はDropboxを格納しておいて、iPad内の画像をアップロードする際のトリガーに利用しています。iPadOSでぜひ最初に試していただきたい進化点です。

【iPadOSの注目機能 その3】

Split Viewで同じアプリを起動可能に

 Split Viewの進化点はひとつのアプリで複数のウインドウを開けるようになったこと。「Pages」でふたつの書類を見比べたり、「ファイル」でファイルをドラッグ&ドロップできるのはPCライクで快適です。ただし、すべてのアプリが対応しているわけではないのでご注意を。

【iPadOSの注目機能 その4】

デスクトップPCクラスのウェブ表示機能を備えたSafari

 iPadOSでは標準ブラウザー「Safari」が大幅に機能強化。アップルは「デスクトップクラスのネットサーフィン」と表現しています。今回試した限りでは、デスクトップ版「Googleドキュメント」も正常に動作していました。インストールするアプリを最低限に留めたい方は、アプリ版Googleドキュメントをインストールする必要はなさそうです。

【iPadOSの注目機能 その5】

ファイルアプリが

外付けドライブやファイルサーバーに対応

 ファイルアプリが外付けドライブ(USBメモリー、SDメモリーカード、モバイルストレージ)やファイルサーバーへのアクセスに対応しました。フォルダーの階層を下って、直接アクセス可能になったのです。フォルダーも作れるし、ZIPファイルの展開・圧縮も可能なので、使い勝手はWindowsやMacのファイル管理ソフトにかなり近づきましたね。

 なお、外付けドライブに2バイト文字が使われていると、ドライブ名に「ERRORNAME」と表示されます。これが仕様なのか不具合なのかは不明ですが、当面の間はiPadOSで使う外付けドライブに英数字を使ったほうがよさそうです。

【iPadOSの注目機能 その6】

念願のマウスをついに利用可能に!

 Androidタブレットでは以前から利用可能だったマウスが、ついにiPadでも使えるようになりました。ただし、今回はあくまでもアクセシビリティーのイチ機能として実装されたので、MacやWindowsのマウスとまったく同じようには使えません。

 とはいえ、タブレットのすべての操作をマウスに置き換える必要はありません。カーソルは円形で大きめですが、中心の点でボタンなどを押せるので、まずは細かな操作が必要なアプリでマウスとの相性を試してみてはいかがでしょう? 筆者が今回試した限りでは、デスクトップ版「Googleドキュメント」のインデントの移動などは指よりマウスのほうが操作しやすかったです。

【iPadOSの注目機能 その7】

キーボードショートカットを大量追加

 Smart Keyboardなどのキーボードを使っている方に歓迎されること間違いなしの改善がキーボードショートカットの大量追加。たとえばSafariでは、36種類ものキーボードショートカットを利用可能となりました。ちょっと数が多すぎていっぺんには覚えづらいですが、「command」キー長押しでアプリごとのキーボードショートカットが表示されるので、少しずつ使いこなしていきましょう。

【iPadOSの注目機能 その8】

好きな場所に配置できるフローティングキーボード

 大きなiPad……特に12.9型のiPad Proで立ったまま横持ちで文字入力するのは至難の業。そこで便利なのがフローティングキーボード。ソフトウェアキーボードが表示されている状態で、ピンチインするとフローティングキーボードに、ピンチアウトすると通常キーボードに切り替わります。フリック入力のフローティングキーボードに切り替えれば、狭い場所でもスマホ感覚で文字入力可能。混んだ電車の中で文字入力する際に重宝しました。

【iPadOSの注目機能 その9】

AirPodsを使ったオーディオ共有

 これはiPadOSだけの新機能ではないのですが、iOS 13の記事の際には試せなかったので今回ご紹介させてください。iOS 13、iPadOSではふたつのAirPods(Powerbeats Pro含む)を同時に接続し、ふたり一緒に音楽や映画を楽しめます。筆者は家族と電車で旅行に行くときに、AirPodsを片方ずつ使いながらNetflixなどを鑑賞していたのですが、この新機能のおかげで今後はステレオサウンドで映画やドラマを楽しめます。作品への没入感が深まりそうですね。

【iPadOSの注目機能 その10】

実は一番楽しみなmacOS CatalinaのSidecar

 記事執筆時点で「macOS Catalina」がリリースされていないので試せていませんが、iPadOSとのコンビで実現するデュアルディスプレー機能「Sidecar」は実は一番楽しみにしています。Macにはタッチパネルディスプレーは搭載されていませんが、Sidecarを使うことでApple Pencilに対応したアプリケーションで描画、スケッチ、書き込みが可能です。

 絵心のない筆者でもワクワクする機能なのですから、イラスト、漫画を描く方々にとっては、リリースまで気絶していたいほど待ち望んでいる機能ではないでしょうか? 多くのアプリがSidecarへ完全対応することに期待したいところです。

【まとめ】ノートPC的高機能を取り入れつつ

いかにシンプルさを残すかが課題

 iPadOSには数多くの新機能が追加されました。しかし、3本指ピンチインでコピー、3本指ピンチアウトでペーストなど、今回紹介した以外にも新たなジェスチャーなどが追加され、初めて購入された方がすぐに使いこなせる製品ではなくなってしまったなと正直思います。

 しかし、マスターすれば、たしかにアップル風の表現であれば魔法を駆使しているような、一般的な表現であればマジックを披露しているような操作で、効率的に作業が可能です。ノートPC的高機能を取り入れているiPadOSにとって、いかにシンプルさを残していくかが、今後最も大事な課題になるのではと感じました。

 さて、9月25日に「iPadOS 13.1」がリリースされたあと、9月28日に「iPadOS 13.1.1」、10月1日に「iPadOS 13.1.2」とアップデートが続いています。筆者自身も、特定のアプリが急に起動できなくなるなどいくつかの不具合に遭遇しています。仕事用のiPadにインストールするのはもう少し様子を見たほうがいいかもしれません。新OSは楽しいですけども!

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