PCなしでiPhoneのデータ移行やってみた!SuicaやLINEユーザーは気を付けて

PCなしでiPhoneのデータ移行やってみた!SuicaやLINEユーザーは気を付けて

 2019年9月、毎年恒例の新しいiPhoneが発表、発売されました。筆者は毎年、発表された直後には「さほど変わってないなあ」と言いつつ、発売当日には手に入れているというサイクルを繰り返しています。今回は広角カメラの魅力に負け、iPhone 11を購入しました。

 細かい機能に関してはここで取り上げませんが、今回の機種変更で初めて「iPhoneからiPhoneへ直接データを転送する」という機能を試してみました。大変便利ながら、少しだけ気を付ける必要があるな……というのが、率直な感想でした。

●データ移行は機種変更時の「儀式」

 かつて、機種変更に伴うデータ移行は、とても面倒なことでした。例えば、2009年に発売された第3世代「iPhone 3GS」の頃、iPhoneはほとんどPCの周辺機器のような扱いで、iTunesをインストールした“母艦”のPCで、データを”同期”する必要がありました。しかし現在、PCを持たないiPhoneユーザーは珍しくありません。それに合わせてか、今では”母艦”も”同期”も聞かなくなるくらい、データ移行の仕組みは便利になっています。

 また、現在のスマートフォンは、もはや「クラウドのビュワー」のような立ち位置にあります。新しい端末を購入して、同じアカウントでログインすれば、ほぼそのまま利用が始められるでしょう。Androidはかなり早い段階でそのような状況でしたので、iPhoneが「やっと追いついた」といえるかもしれません。

 これまでは、iTunesを使ってバックアップを暗号化し、その後iTunesを経由して復元するのが最も確実な移行方法でした。その後iCloudバックアップからの復元が可能になり、現在ではそれに加えて、端末から端末への直接移行が可能になっています。

 最後の「iPhoneからiPhoneへ」は、2019年7月に公開されたiOS 12.4以降の機能です。新しいiPhoneを購入したら、これまで利用していたiPhoneを近づけるだけで、データ移行を始められるというもの。私も今回が初めての経験でしたが、思った以上に簡単にできました。

●「移行できないデータ」に注意!

 ただし、移行できないデータもあります。その筆頭は「Suica」。Suicaだけではなく、「Wallet」アプリに保管されている「Apple Pay」の情報は、そのままでは移行できません。また、多くの人が毎日利用している「LINE」についても、旧機種側での操作が必要になります。私の環境では、それ以外に、幾つかの銀行系アプリで再設定が必要でした。

 「せっかく移行が簡単になったのだから、これらの機能もきれいに移せればいいのに」と言いたくなってしまうところですが、これらは共通して機微なデータを扱うアプリです。

 おそらく、これらのアプリは、ユーザーIDに加えて「端末そのもの」で縛ってサービスを提供すべきもので、簡単に移行できるのはリスクだと考えられているのかもしれません。LINEのようなメッセージアプリが勝手に「機種変更」され、メッセージがのぞけるようになっては困りますからね。

 これは、銀行口座も同様です。最近では振込処理のタイミングでトランザクション署名するような銀行もあるので、移行処理が面倒に思えたとしても、金銭的な損害をこうむるよりはずっといいと考えられます。

●スマホも「バックアップ端末」が必要な時代?

 今回の機種変更は、わずか2時間弱でほぼ問題なく完了しました。今回はiOSの話を紹介しましたが、Android端末も移行にはほとんど支障がないはず。本当に便利な時代になったと思います。

 ただ、この方法はあくまで「旧機種が手元にあること」が条件になります。大手キャリアの中には、携帯電話を買い換える際に「現在の機種を下取りに出せば新機種が安く手に入る」「現在の機種を返却すれば残債がなくなる」などの方法で、データ移行前に返却させられてしまう場合があります。実は「新機種への移行後、一定期間以内に返却すればいい」などの細かい条件があるはずなので、利用しているキャリアのキャンペーンはよく確認してみましょう。

 スマートフォンはもはやライフラインの一つです。本当は、一つ前の世代の端末くらいはずっと手元に置き、故障時のバックアップとしたいところです。そういったことがしにくくなっている現状の施策は、個人的には厳しくなったなあ、と思うわけですが。

●著者紹介:宮田健(みやた・たけし)

元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。

2019年2月1日に2冊目の本『Q&Aで考えるセキュリティ入門 「木曜日のフルット」と学ぼう!〈漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ〉』(エムディエヌコーポレーション)が発売。スマートフォンやPCにある大切なデータや個人情報を、インターネット上の「悪意ある攻撃」などから守るための基本知識をQ&Aのクイズ形式で楽しく学べる。

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