「サブスク」サービスはなぜ人気なのか メリット、デメリットを分かり易く解説
この数年、サブスクリプション(以下、サブスク)が隆盛を誇っている。サブスクとは、製品やサービスなどの一定期間の利用に対して代金を支払う方式のことで、音楽ではApple MusicやSpotify、映像ではNetflixやHuluがその最たるものだ。ニュースメディアでもサブスクを導入するところが増えており、今後もますます各業界に普及していくだろう。そんなサブスクのメリット・デメリットを整理しつつ、今後の展望をITジャーナリストの三上洋氏に聞いた。
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まずは、サブスクリプションの歩みを紹介していこう。認知が広がったきっかけは、デジタルの分野からだったと三上氏は語る。
「サブスクが一気に広まったのは米Adobe社の成功からでしょう。それまで同社は売り切り型でPhotoshopなどのソフトを販売していましたが、2011年からのサブスク、つまり月額課金モデルへの移行が成功し、好調を維持しています。そこからマイクロソフトのOffice 365、AppleのApple Music、Netflixとデジタル分野から次々にサブスク型のビジネスモデルが現れました」
こうしたビジネスが誕生した背景には、ネットの普及が大きく関係している。なぜなら、ネットで決済と申し込みが手軽にできるようになったからだ。
また、社会環境の変化も、サブスクの人気に寄与しているところが大きいという。
「現代人のライフスタイルは、所有から利用になっています。これには、いくら仕事を頑張ってもなかなか上がらない賃金、非正規雇用などの社会的問題が根底にあり、高いものを買ったり、所有したりする余裕がない。そんな中で、毎月少額でサービスを利用できるサブスクは、そうした現代人の心理にフィットしたのでしょう」
Amazonプライムなどのデジタル系サービスはもちろん、近年はアナログビジネスにおいても、バラエティに富むサブスクサービスが続々と登場している。フード系では、野郎ラーメンが月額8600円で食べ放題サービスを始め、いくつかのカフェでは月額でコーヒーの飲み放題も行っている。
「日本で最も成功しているのは、コンタクトレンズのメニコンの『メルスプラン』です。これは、月額1800円からコンタクトレンズを使用できるというサービス。その他には、女性向けファッションレンタルサービス『airCloset』や、ワイシャツの宅配サービス『YClean』も人気があります」
YCleanは、毎月1カ月分のワイシャツ(20枚)が届き、月1回返却すれば、翌月も同じように届く。それも他人が着たシャツではなく、自分のワイシャツがクリーニングされた状態で届けられるというわけだ。価格は8800円から24,800円(税別)まで、シャツの質に合わせた3つのプランがある。
ブスクの口コミはアフィリエイトだらけ
では、サブスクのメリットとは何だろうか。
「ユーザーにとっては、前述のように毎月少額でサービスを受けられること。高額な時計やバッグのレンタルサービスなどを、ユーザーは必要なときだけ利用できるという利点があります。企業にとっては会員数から収益の予測が立てられることです。また、なかにはサービスを利用せずに登録だけしている“幽霊ユーザー”もいるため、彼らから望める収益も大きいのでしょう」
一方で、企業側のデメリットもある。
「サブスクを展開する多くの企業は、初期費用がかさんだり会員集めに苦労するようです。例えば、かつて『スーツのAOKI』は、スーツレンタルのサブスクリプション『suitsbox』を展開しましたが、会員獲得にかかる広告費が莫大な上、初期費用で高額なスーツを契約者分集めなければなりませんでした。それを回収できずにサービスを終了したため大きな損を出しました。このように企業がサブスクを始めるリスクは大きいといえます」
また、サブスクを利用する消費者にもデメリットはある。ユーザーが重視するのは口コミだが、サブスクの情報収集は困難を極めるという。
「ネット上で、サブスクの口コミを書いているブログはごまんとありますが、そのほとんどがアフィリエイトです。サブスクはアフィリエイターが儲かる商材なため、ユーザーは正確な口コミを探すのが難しい。また、ファッション系のサブスクサービスも判断が難しい。この手のサービスでは、自分の好みに合わせた洋服を定期的に送ってきてくれることになっていますが、送られてきた洋服が全然好みと違う、なんてこともありえるでしょう」
サブスクサービスは、実際に利用してみないと分からないというリスクがあり、それが元でトラブルになった事例もある。例えばTSUTAYAが始めた動画サービス「TSUTAYA TV」は月額933円で見放題と謳いながら、実際は全作品の27%しかその対象ではなかった。その結果、TSUTAYAは消費者庁に景品表示法違反に当たると指摘され、課徴金1億円以上を請求された。
企業がサブスクに頼りすぎるのは危険
デジタルやフード、ファッションにまで裾野を広げてきたサブスクだが、三上氏は、今後は消耗品の分野のサービスが増えていくだろうと予想する。
「新品下着の配達、定食屋や牛丼でもサブスクが出てくるかもしれません。というのも、デジタルのサブスクサービスは飽和状態だからです。たとえば映画やドラマなどは24時間365日ひっきりなしに放送されていますが、ユーザーがそれらの作品を全部見ることは不可能なわけですし、各サービスでは視聴者をめぐるパイの取り合いが行われているのです。そうした事情から、今後は消耗品のサービスが人気になってくると思います」
去年はまさに新興のサブスクサービスが多く立ち上がって「サブスクバブル」が起こったが、現在はそのブームもやや落ち着きを見せている。三上氏によれば、企業がサブスクサービスを成功させるためには“必須の条件”があるという。
「一概に、サブスクに特化したビジネスはおすすめしません。初期費用の問題と、会員数が減ればすぐに赤字だからです。これからサブスクを始める企業は、豊富な在庫を抱え、会員数が見込める程度のブランド力があり、多額の広告費をつぎ込む余力がないと展開は難しいでしょう」
これからもますます増えるであろうサブスクモデル。我々は安易に登録せず、企業も参入を慎重に行うべきなのかもしれない。
