新型「iPhone」今年は値下げ 価格勝負を意識か、価格競争に巻き込まれる懸念も アップル「値ごろ感」打ち出す

新型「iPhone」今年は値下げ 価格勝負を意識か

 米Appleは9月10日(米国時間)、iPhoneの新モデル「iPhone 11」「iPhone 11 Pro」「iPhone 11 Pro Max」を発表した。それぞれ2018年に発表された「iPhone XR」「iPhone XS」「iPhone XS Max」の後継モデルとなるが、いずれも値下げした。特にiPhone 11は7万4800円(税別、以下同)からと、発表時のiPhone XR(8万4800円から)よりも1万円以上安くなっており、消費増税後も税込10万円以下で購入できる。値上げを続けていたiPhoneだが、ついにAppleも価格勝負を意識し始めた。

 新モデル3種は9月13日から予約を受け付け、20日に発売する。「iPhone 11」は、64GBモデルが7万4800円、128GBモデルが7万9800円、256GBモデルが9万800円となっている。

 iPhone XSの後続モデルである「iPhone 11 Pro」は、64GBモデルが10万6800円、256GBモデルが12万2800円、512GBモデルが14万4800円、それぞれ6000円以上値下げした。

 iPhone XS Maxの後続モデルとなる「iPhone 11 Pro Max」は、64GBモデルが11万9800円、256GBモデルが13万5800円、512GBモデルが15万7800円と、こちらも前モデルからそれぞれ5000円以上値下げしている。

 新モデル発表により、9月11日(日本時間)現在、Appleの直販で購入できるiPhoneは新モデル3種とiPhone XR、iPhone 8のみ。iPhone XRとiPhone 8も大幅に値下げされており、iPhone XRは6万4800円から、iPhone 8は5万2800円からとなっている。iPhone 7、iPhone XS、iPhone XS Maxはラインアップから外された。

iPhone、価格競争に巻き込まれる懸念も アップル「値ごろ感」打ち出す

 米アップルが発表した新たなスマートフォンや動画配信サービスは、高いブランド力を誇る同社には異質といえる低めの価格帯を打ち出し、競合他社への対抗姿勢をにじませた。米中貿易戦争に巻き込まれた同社の一部製品は、米制裁関税の対象とされ逆風にさらされる。従来の新製品より値ごろな高機能スマホはアップル愛好家を射止めそうだが、価格競争の消耗戦に巻き込まれる懸念もある。

 「私たちがアイフォーンの改善の手を緩めることはない」

 カリフォルニア州クパチーノのアップル本社で10日開かれた発表会で、クック最高経営責任者(CEO)がそう語ると、集まった報道陣から拍手がわいた。

 もっとも、同様に大歓声が上がったのはスマホ「iPhone(アイフォーン)」や、動画配信サービス「アップルTV+(プラス)」の価格が発表された瞬間だった。新型アイフォーンで最低価格の「11」は昨年発売の「XR」の後継機だが、XRの当初価格より1万円安くなった。上位機も価格帯を5千円程度引き下げた。

 誰もが持つようになったスマホ市場で、アップルは昨年まで高機能化を進めて中国や韓国勢と差別化し、価格帯を上げてきた。今回の価格引き下げは従来路線からの転換にも映るが、XRの売れ行きがよかったことを受けた価格戦略の修正のようだ。

 市場動向を分析するアナリストからは、同社が旧型機からの買い替え需要を掘り起こして、新モデルの販売台数が最大2億台に達するとの試算も出ていた。

 また、動画配信サービスは月額600円に設定し、先行するネットフリックスやアマゾン・コムなどに対抗。独自コンテンツにも多額の制作費を投入する。

 アップルは売上高の6割近くをスマホが稼ぎ出し、収益の多角化が課題だ。このところ音楽配信などのサービス部門が伸びており、コンテンツ関連事業を強化したい戦略がうかがえる。

 一方、米政府が発動した対中制裁関税では、時計型端末「アップルウオッチ」などが対象とされ、アイフォーンも12月中旬からの新たな制裁関税が適用される予定だ。価格面で値ごろ感を訴える同社に対しては、ライバルの対抗策も想定される。動画配信ではディズニーやHuluなど新旧勢力がしのぎを削っており、アップルの新機軸が奏功するかは見通せない。(クパチーノ 塩原永久)

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