【夏の危険サバイバル】蚊よけ、叩き損ねても効果あり、虫よけスプレーなみ

【夏の危険サバイバル】蚊よけ、叩き損ねても効果あり、虫よけスプレーなみ

蚊は叩こうとした人を覚えてさける、攻撃を加えた人の匂いを学習

 今年もあの季節がやってきた。か細い声で鳴きながらジグザグと飛び回り、人の気配がするとしつこく追いかけてくる蚊の季節だ。

 今度、蚊が血を吸おうと腕に止まっているのを見つけたら、絶対によく狙った方がいい。もし叩き損ねたとしても、蚊は死にそうになった体験とその人の匂いを結びつけて覚え、次にあなたを狙わなくなる可能性があるからだ。

 蚊は、人間などの獲物から漂う美味しい匂いに引き寄せられる。そこで、ある研究チームが蚊には非常に魅力的な人間の匂いが漂う中で、腕を叩いたときと同じ振動を繰り返し与え、ネッタイシマカを20分間にわたり邪魔し続ける実験を行った。

 すると、蚊はその後24時間以上もこの匂いをさけるようになることがわかった。これは強力な虫よけ剤であるディート(DEET)入りの虫よけスプレーと同じくらいの効果だ。研究結果は、2018年に学術誌「Current Biology」に発表されている。

「学習能力のおかげで、蚊は信じられないほど柔軟に行動しています」と、米ワシントン大学の神経生態学者で論文の著者であるジェフ・リッフェル氏は言う。「蚊は、刺されるのを防ぐのがうまい人とそうでない人を学習できます。もしその仕組みがわかって、逆手にとることができれば、もっと効率よく蚊を追い払えるようになるでしょう」

重大な病気を媒介するヤブカたち

 ネッタイシマカはヤブカの仲間で、デング熱、チクングニア熱、ジカ熱など、人間の重大な病気を媒介することが知られている。日本には定着していないが、やはりヤブカの仲間で日本に生息しているヒトスジシマカも同じ病気を媒介する。

 デング熱はまれに重症化して死に至る病気で、日本では2014年におよそ70年ぶりに患者が確認された。海外渡航歴のない人が都内で感染し、大きな話題になったから、覚えている人もいるだろう。

 致死性はないものの、チクングニア熱は発熱と痛みを伴うつらい病気だ。痛みはときに慢性化して、数年続くこともある。日本国内での感染例はないが、日本は感染するリスクのある国だと世界保健機構(WHO)は2015年に発表した。

 ジカ熱も国内での発生例はない。感染しても、たいていは軽症で済む。ただし、ギラン・バレー症候群や脊髄炎などの合併症の原因になったり、妊娠中の女性が刺されると、胎児に小頭症などの脳障害を引き起こしたりする。2015年には南米で大流行したのは記憶に新しい。なお、日本人渡航者が海外で感染した例はある。

 米国海軍の昆虫学者を退役後、米国蚊防除協会の技術顧問と広報を務めているジョセフ・M・コンロン氏によれば、蚊が媒介する病気の脅威が拡大しているのは、地球温暖化よりもグローバル化の影響によるところが大きいという。貿易と輸送によってはるかかなたの地がつながり、互いの有害生物も行き来するようになったと、コンロン氏は説明する。

蚊をうまくよけるためのアドバイス

 現在、生息地の縮小(例えば、子供用のプールなど蚊が繁殖できる水場を減らすこと)や自然由来の幼虫駆除剤など、さまざまな方法で蚊の駆除が行われている。

 ただし、すべての蚊と幼虫を簡単に駆除できるわけではない。コンロン氏によれば、ヒトスジシマカなどの種は捨てられたポテトチップスの袋やペットボトルのキャップのような小さな水場でも繁殖できるという。蚊の防除の専門家が庭をきれいにし、あらゆる容器の水を抜くよう助言するのはそのためだ。

 蚊から身を守りたい人には、やはりディート入りの「虫よけがおすすめ」だとコンロン氏は話す。米環境保護局は1998年に安全性の見直しを行い、「商品ラベルの指示に従って適切な予防策を講じれば、DEET入りの虫よけが健康問題を引き起こす心配はない」と結論づけている。

 蚊の学習能力を利用する方法も、もちろん有効だ。今回研究の対象となった蚊の種類だけにしかない可能性もあるが、さしあたり、今のところは単純に動き続けることだとリッフェル氏はアドバイスする。

「屋外でバーベキューをする場合、叩こうとしたら蚊はあなたを覚えるでしょう。踊って、活発に動いて! そうすれば、蚊は誰か他の人のところに行きますよ」

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