京都アニメーション(京アニ)爆殺犯を死なせてはいけない…「吐きそうになりながら」治療を続ける医師たち

京アニ爆殺犯を死なせてはいけない…「吐きそうになりながら」治療を続ける医師たち

 35人が犠牲になった「京都アニメーション」(京アニ)の放火殺人事件。容疑者である青葉真司(41)は自らも重度のやけどを負ったが、彼が命を落とすと、事件の真相は永遠に闇の中だ。最悪の結末を避けるため、医師たちは懸命の治療を続けている。葛藤と戦いながら。

 事件の9日後、津田伸一さん(69)は娘の幸恵(さちえ)さん(41)の遺体と対面した。

「その前日に遺体を引き取っていたのですが、焼死の遺体がどれほどのものなのか聞いてはいましたから、すぐに対面することは出来ませんでした」

 と、伸一さんは言葉を絞り出す。

「翌日、通夜の日の朝に家族で唯一私だけが対面しました。だけどね……聞いていた以上で……とてもじっと見られる状態ではありませんでした。でも、やっと帰ってきた。ずいぶんかかったけど、やっと幸恵が帰ってきた、と思いました」

 幸恵さんを含む35人の命はなぜ奪われなければならなかったのか――。

 殺人事件として戦後最悪の犠牲者数となった今回の惨劇を引き起こした青葉真司容疑者は、自らも重度のやけどを負った。7月27日までに意識は回復したものの、依然重篤な状態が続いており、本人の口から動機が語られるのはまだ先のことになりそうだ。しかし無論、捜査を行う京都府警とて青葉容疑者の容態が回復するのをただ手をこまねいて待っているわけではない。徐々に分かってきた事件直前の青葉容疑者の足取り。そこから見えてきたのは、ある京アニ作品との「接点」だ。

 埼玉県さいたま市で暮らしていた青葉容疑者が新幹線で京都に入ったのは、7月15日のことだった。

「青葉は16日の午後、宇治市の宇治橋西詰交差点やJR宇治駅、宇治橋通り商店街の西端などに出没していたことが防犯カメラの映像で分かっていますが、これらはいずれも、京アニが制作した人気アニメの『聖地』とされた場所だったのです。アニメゆかりの場所を巡る行為、いわゆる『聖地巡礼』をしていたものと見られます」(捜査関係者)

 その人気アニメは、「響け! ユーフォニアム」。「北宇治高校」の吹奏楽部を舞台にした物語だけに宇治市内に「聖地」が多いのだが、その中には、土地勘がなければ立ち寄るのが難しい場所もある。

「青葉はスマートフォンや地図なしで行動していたと見られています。それでも、入り組んだ場所にある『聖地』に辿りつけており、このアニメのことを熟知している可能性がある」(同)

 17日にJR宇治駅近くのホームセンターでガソリンの携行缶や台車を購入。そして、翌18日午前10時半頃、京アニの第1スタジオに玄関から侵入した青葉容疑者は、バケツでガソリンをまいて火を付けた。

 事件を起こしたことによって自らも生死の境を彷徨うはめになった青葉容疑者が意識を取り戻した、とのニュースが流れた際、〈良いことだが、複雑〉といった声がネット上で散見された。しかし、「容疑者の死」こそが最悪の結末であることは言うまでもない。真相究明の機会が永久に失われ、「何があったのか知りたい」という遺族の希望に応えられなくなってしまうからである。

 しかも今回の事件では、青葉容疑者の行く末にはすでに、「死刑」の2文字がちらついている。事件を起こしたことによって自らも命を落とすのと、法の裁きによって命を奪われることは、同じ死でも全く意味が違う。遺族が望むのが後者であることは自明だ。

 では、青葉容疑者を生きながらえさせるために、病院では何が行われているのか。

「やけどの深さは大きく分けるとI度からIII度に分類される。青葉はIII度で、皮下組織まで傷害が及んだ状態。やけどを負った範囲は、体の表面積の10%以上。事件直後は京都市内の病院に運ばれましたが、その後、重症熱傷の治療経験が豊富な大阪の大学病院に移り、皮膚移植などの治療を受けている」(同)

 日本熱傷学会代表理事で東京女子医大教授の櫻井裕之氏が言う。

「重症の患者は、受傷直後はやけどの患部から水分やタンパク成分などがどんどん失われていき、脱水状態になる。それらを補うために大量に輸液する。そうしないと体内の血液の量が減少してショック状態となり、命に関わるのです」

 ただし、事件からすでに2週間以上が経過しており、治療は「次の段階」に進んでいると見られる。

「やけどした部分は組織が死んでしまっているため、細菌が繁殖する。だから、手術を行い、死んでしまった組織を取り除き、さらに、皮膚を移植してその部分を閉じる必要があります」

 と、櫻井氏。

「本人の意識が戻ったといっても、予断を許さない状況であることには変わりないと思います。熱傷創の閉鎖が完全に終わらない限り感染症のリスクはつきまとう。急変し、命を落とす可能性も十分にある」

吐きそうになりながら…

 凶悪犯罪の容疑者、犯人に対する医療行為というテーマを取り上げたドラマや漫画を見つけるのはそれほど難しくない。例えば、アメリカの人気ドラマ「グレイズ・アナトミー」には、銃乱射事件を起こして自らも重傷を負った犯人に対峙する医師の苦悩を描いた回がある。手塚治虫の「ブラック・ジャック」では、父親を殺した後に自殺を図り、主人公の手術で一命を取り留めるも、最後は死刑によって命を奪われる少年の姿が描かれる。

 では、フィクションの世界ではなく、現実世界で青葉容疑者と対峙している医師の心情はいかなるものなのか。

「今回の容疑者を治療するスタッフは、毎日吐きそうになりながら頑張っているのかもしれません」

 そう話すのは、『医者の本音』の著者で総合南東北病院外科医長の中山祐次郎氏。事件後、ウェブメディアに〈京アニ放火事件の容疑者を治療するということ 葛藤と苦悩〉との記事を投稿した中山氏は複数回、「容疑者」という立場の人間を治療したことがある。

「プロであるなら淡々と治療すべきだという考え方はもちろん理解しています。しかし私の場合、感情が全く入らなかったかと言えば嘘になります」

 中山氏はそう“告白”し、こう続けるのだ。

「そうした患者さんにも当然、治療を施すわけですが、『なぜ、私はこの人を助けなければならないのか』『悪いことをした人になぜ尽くさなければならないのか』といった気持ちになってしまうのです」

 その後、医者としてのキャリアを積むことで、“病気を憎んで人を憎まず”といった考えに至ったという中山氏。

「医療者は、神様でも裁判官でもありません。ただただ人の命を救うべき存在です。しかし、現実的には苦悩と葛藤を押し殺しながら治療にあたっている医療者もいる。それを書くことが、今、病院で容疑者の治療にあたっている医療者への声援になると考えました」

 まだ青葉容疑者は重篤な状態を脱していない。緊迫と葛藤の集中治療室では、今この瞬間も懸命の治療が行われている――。

京アニ爆殺犯の死刑に立ちはだかる「刑法39条」の壁

 殺人事件として戦後最悪の犠牲者数を記録してしまった京都アニメーションの惨劇。青葉真司容疑者(41)の行く末に、すでに「死刑」の2文字がちらついていることは言うまでもないが、気になることが一つ。京都府警の捜査1課長は記者会見した際、こう述べたのだ。「(青葉容疑者に)精神的な疾患があるとの情報を把握している」――。

 全国紙社会部デスクはこう語る。

「取材の中で出てきたのは、青葉は統合失調症ではないか、という情報。あと、精神障害2級と判定されていた、という話もあります」

 精神障害者保健福祉手帳の障害等級には1級から3級まである。

「精神障害者手帳は、この病気なら何級、と分類されるものではありません。ごく簡潔に言えば、2級は、適切な食事摂取、通院・服薬、他者との適切な意思伝達などで援助を必要とする人に交付されます」

 と、精神科医の片田珠美氏は言う。

「統合失調症は、かつては精神分裂病と呼ばれていましたが、家族会や患者会から、病名がネガティブな印象を与えると抗議があり、呼称が変わりました。統合失調症になると、幻覚・妄想といった病的体験が出現し、自我境界が曖昧になり、自分自身の行為が他人に操られていると感じるなど、自我障害が現れます」

 青葉容疑者の言動からは、統合失調症のいくつかの症状が見て取れると言う。

「まず、思考奪取。“自分の考えが奪われた、盗まれた”と感じてしまう症状で、そのせいで彼は“小説をパクられた”という被害妄想を抱いたのでしょう。被害妄想があると仕返しとしての攻撃を正当化しがちです。さらに、幻聴。幻聴を大きな音でかき消そうとしていたため、近隣住民との騒音トラブルが起こっていたのかもしれません」(同)

用意周到

 元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏の話。

「彼が統合失調症を患っていて精神障害者手帳2級を持っており、責任能力に問題があるかもしれない、となれば、まずは精神鑑定を行うことになります」

 そこで、犯行時の青葉容疑者が「心神喪失」あるいは「心神耗弱」の状態にあったか否かが判断され、前者だと認められると、刑法第39条により、無罪となる可能性も。

「責任能力とは、『物事の善悪の区別が出来る』ことと、『やってはいけないことをやらないという判断が出来る』ことです」

 そう語るのは、甲南大学法科大学院教授の渡辺修氏。

「青葉容疑者の場合、犯行は用意周到でした。包丁やハンマー、携行缶を用意し、事前にガソリンを購入している。さらに、犯行時には“死ね”と言っている。犯行のために意味のある行動をし、善悪を判断出来た上で行動していると思います。心神耗弱と言えるかすらも怪しく、死刑の余地は十分にあるでしょう」

 しかし、仮に心神耗弱が認められれば無期懲役になる恐れもある。

 先の若狭氏はこう話す。

「青葉容疑者への刑罰を巡る考え方のスタート地点は、やはり死刑でしょう。私の考えを言えば、今回の事件はいくら容疑者が統合失調症だったとしても、彼が病気に支配されて犯行に及んだわけではないと思う。犯行は計画的だし、警察官に確保された際も、『火をつけた』など、受け答えが出来ていますから」

 犠牲者の家族が望むのは、極刑以外にはあり得まい。

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京アニ容疑者 一時的に意識回復「痛い」

 京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」(京アニ、本社・京都府宇治市)第1スタジオで起きた放火殺人事件で、京都府警が殺人などの容疑で逮捕状を取得した青葉真司容疑者(41)が一時的に意識を回復し、「痛い」などの言葉を話すようになっていることが9日、関係者への取材で分かった。

 関係者によると、青葉容疑者は全身麻酔の状態が続いているが、麻酔を緩めると意識を回復し、「痛い」などと言葉を発するようになっているという。視力や聴力もあるとみられる。今後、皮膚移植などの治療を受ける予定で、治療の進展次第で回復する可能性が出てきたという。

 ただ、症状は依然として重く、容体が回復したとしても、逮捕までにはまだ時間がかかる見通し。

 事件は7月18日午前10時半ごろ発生。青葉容疑者が侵入してガソリンをまいた後に爆発が起こり、鉄筋コンクリート3階建てが全焼、35人が死亡し、33人が負傷した。

 青葉容疑者も全身にやけどを負い、より高度な治療を受けさせるため、同20日に京都市内の病院から大阪府内の病院に転院、治療を受けていた。

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重篤続く容疑者、京アニに執着なぜ 警察は掲示板に注目

 京都アニメーション第1スタジオで35人が死亡した放火殺人事件は18日で発生から1カ月。殺人や現住建造物等放火などの容疑で逮捕状が出ている青葉真司容疑者(41)は全身をやけどし、皮膚移植の手術を繰り返し、呼びかけに反応は示すものの、なお重篤な状態が続く。なぜ京アニを狙い、破壊的な行動に至ったのか。謎は残ったままだ。

 青葉容疑者はなぜ、京アニを襲ったのか。

 「(小説を)パクりやがって」。警察官に取り押さえられた後、まだ意識があった青葉容疑者は周囲にそう叫んだという。

 京アニは2009年から京都アニメーション大賞を設け、アニメ化や文庫化を前提に小説やシナリオを公募してきた。当初、京アニ側は青葉容疑者からの応募を「確認されていない」としていたが、さいたま市見沼区の住所が報道され再確認したところ、同姓同名の人物からの応募があった。

 京都府警は青葉容疑者自身が書いた小説を応募したとみて、京アニ側から作品を入手。捜査関係者によると、小説はストーリーを伴い、「ちゃんとした小説になっている」という。

 一方、京アニの代理人弁護士は形式面で一次審査を通過しなかったとし、「これまで制作された作品との間に類似の点はないと確信している」としている。

 青葉容疑者の京アニへの関心の高さは府警の家宅捜索でも裏付けられた。アニメ「響け!ユーフォニアム」の色紙のほか、関連書籍、映画のパンフレットなど京アニの関連商品を複数、押収した。事件3日前に京都入りした後の足取りの捜査でも、青葉容疑者が「響け!」の舞台となり、ファンの間で「聖地」とされる京都府宇治市や京都市伏見区のゆかりの地を歩いてもいた。

 ただ、京アニへの関心がどこで恨みに切り替わったのかは謎に包まれている。

 府警が着目するのがネット掲示板への書き込みだ。

 昨年9~11月、「小説をパクられた」「最初から原稿を叩(たた)き落とし裏切る気だった」「絶対に許さん」「爆発物もって京アニ突っ込む」「無差別テロ」などと京アニを名指しし、一方的に恨みを募らせた書き込みが断続的に続いた。府警は青葉容疑者の自宅から押収したタブレットやスマホなどの解析を進めるが、誰が書き込んだのかまだ特定はされていない。

 ただ、捜査関係者の一人は「書き込みには青葉容疑者しか知らないことが含まれている」と関心を寄せる。書き込みをたどると、応募した小説が審査で落とされ、京アニへの恨みを増幅させていった姿が浮かぶ。だが、なぜ「小説を盗まれた」とまで思うに至ったのか。府警幹部は言う。「動機の核心は本人に話を聴かないとわからない」(川村貴大、本多由佳)

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容疑者、記憶に薄れ 入院の長期化影響か 京アニ放火

 京都アニメーション第1スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件で、殺人容疑で逮捕された青葉真司容疑者(42)の事件当時の記憶が一部、薄れていることが30日、捜査関係者への取材で分かった。

 捜査員とのやりとりの中でようやく思い出す場面などもあるといい、京都府警は当時の状況を詳細に裏付けるなどして、動機解明を急ぐ。

 青葉容疑者は昨年7月18日、第1スタジオの玄関付近にガソリンをまいて放火し、36人を殺害するなどした疑いが持たれている。

 捜査関係者によると、青葉容疑者は事件について頭を整理できていない部分があるとみられ、出来事の細部などについて、思い出せない部分もある。

 一方で、今月28日に本格的に始まった取り調べには丁寧に対応し、これまでに精神的な動揺も見られないという。

 青葉容疑者は事件で大やけどを負い、一時、命を危ぶまれたが、皮膚移植手術を繰り返すなどして徐々に回復。府警は容体が安定したと判断し、約10カ月間の入院を経て同27日に逮捕した。

 ただ、今も一人で座ったり食事をしたりできない状態で、ストレッチャーに横たわったまま取り調べを受けている。

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京アニ放火事件から1年、18日に追悼映像で黙祷 現地への来訪控えるよう呼びかけ

 京都アニメーションは3日、昨年の放火事件から1年が経つ7月18日の午前10時半より、同社の公式YouTubeチャンネルで追悼のための映像を配信すると発表。なお、新型コロナウイルスの状況に鑑み、第1スタジオ跡地付近など現地への来訪を控えるよう、公式サイトで呼びかけている。

 サイトでは「7月18日現地追悼のご辞退について」として、「昨年7月18日に起きました事件から、もうすぐ1年が経とうとしております。本来であれば、皆さまにお心をお寄せいただく追悼の場を設けるべく準備を進めておりましたが、昨今の新型感染症に関わる情勢に鑑みまして、大勢の皆さまが集まる場を設けることは避けるべきと判断いたしました」と伝えた。

 続けて、「また、弊社第1スタジオ跡地付近へのお越しについても、同様の理由からお控えください。交通機関・および近隣住民の方々へのご配慮を何卒お願い申し上げます」と呼びかけている。

 なお、同社のYouTubeチャンネル「KyoaniChannel」では、午前10時半から10時40分に追悼のための映像を配信。10時35分から黙祷も行われる予定。

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「京アニ」放火、青葉容疑者を起訴…京都地検は責任能力ありと判断

 36人が犠牲になった昨年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、京都地検は16日、青葉真司容疑者(42)を殺人罪などで起訴した。捜査関係者への取材でわかった。半年間にわたる鑑定留置で、地検は事件当時に刑事責任能力があったと判断した。今後、裁判員裁判で審理される。

 青葉容疑者は昨年7月18日午前10時30分頃、京都市伏見区の京アニ第1スタジオに侵入してガソリンをまき放火。鉄筋コンクリート3階建ての建物を全焼させ、同社の役員と社員計36人を殺害し、別の34人を殺害しようとしたとして、今年5月27日、京都府警に殺人や殺人未遂、現住建造物等放火容疑などで逮捕された。

 捜査関係者によると、青葉容疑者は逮捕後の調べに容疑を認め、「京アニへの恨みからやった」「ガソリンを使えば、多くの人を殺害できると思った」などと供述していたという。

 地検は6月9日から今月11日まで、事件当時の刑事責任能力を調べるための鑑定留置を実施。専門医の鑑定結果を踏まえ、刑事責任能力があったと判断した。

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「パクリまくったからだよ、小説。お前ら全部知ってるんだろ」青葉真司被告の叫び声、法廷で音声データ再生

 36人が死亡、32人が重軽傷を負った京都アニメーション第1スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件で、殺人などの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第2回公判が6日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で始まった。検察側は、青葉被告の身柄拘束時に録音された音声データを法廷で流した。青葉被告が「パクリまくったからだよ、小説。お前らが」と警察官に向けて叫び、「お前ら全部知ってるんだろ、全部知ってんだろ」と言い放つなど、緊迫した現場の状況が浮き彫りになった。

 音声データによると、青葉被告は名前を申告するよう警察官に促され、氏名や生年月日を返答した。犯行の理由を尋ねられると、「パクられた、小説、小説」と叫んだ。ガソリンスタンドでガソリンを購入し、歩いて現場へ来たことや、埼玉県に住んでいることなどを答えていた。京アニ第1スタジオについて警察官に尋ねられると、「知らねえよ、お前らが知ってるんだろ」と応答していた。

 起訴状によると、青葉被告は2019年7月18日午前10時半ごろ、京都市伏見区の京アニ第1スタジオに正面玄関から侵入し、ガソリンを社員に浴びせてライターで火を付けて建物を全焼させ、屋内にいた社員70人のうち36人を殺害、32人に重軽傷を負わせた、などとしている。

「涼宮ハルヒ」原作に感銘 青葉真司被告が小説家目指したきっかけに 自作タイトルも新たに判明

 36人が死亡、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人や現住建造物等放火など五つの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第2回公判が6日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれた。検察側が提出した証拠から、青葉被告が小説家を目指したのは、京アニの代表作「涼宮ハルヒ」シリーズの原作小説に感銘を受けたのがきっかけだったことが新たに分かった。

 アニメの「涼宮ハルヒ」シリーズは、06年からテレビ放映が始まった京アニが誇るヒット作。自由奔放な主人公の少女とその仲間たちの学園生活を描いている。

 検察側の証拠によると、「涼宮ハルヒ」の原作小説に感銘を受けた青葉被告は、「SF」「軍事」「学園もの」のジャンルでライトノベルを執筆するようになった。

 2016年~17年に「ナカノトモミの事件簿」、「リアリスティックウエポン」とタイトルをつけた2作品を「京都アニメーション大賞」に応募し、いずれも落選した。青葉被告にとって、これらは通算10年をかけた渾身(こんしん)の力作であり、金字塔だったという。

 落選した2作品の内容は今のところ判然としないが、検察側が読み上げた青葉被告の母親の供述調書によると、母親は青葉被告から「女子高生がキャピキャピしている小説を書いている」と聞かされていたという。

 起訴状によると、青葉被告は2019年7月18日午前10時半ごろ、京都市伏見区の京アニ第1スタジオに正面玄関から侵入し、ガソリンを社員に浴びせてライターで火を付けて建物を全焼させ、屋内にいた社員70人のうち36人を殺害、32人に重軽傷を負わせた、などとしている。

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京アニ人気3作品のワンシーン法廷上映 「小説パクられた」主張、実際に比べてみたら

 36人が死亡、32人が重軽傷を負った京都アニメーション第1スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件で、殺人などの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第2回公判が6日、京都地裁(増田啓祐裁判長)であった。青葉被告が「京アニに小説を盗用された」と主張しているとされる点に関連し、検察側が京アニ作品の「ツルネ」「けいおん!」「Free!」シリーズの3作品の一場面を法廷で上映し、青葉被告が執筆した小説の内容と対比させた。3作品はいずれも京アニを代表する人気作で、学校が舞台の「学園もの」だった。

 検察側が読み上げた捜査報告書や上映したアニメシーンによると、高校水泳部の青春を描いた「Free!」には、校舎に掲げられた水泳部の垂れ幕が風でめくれ、下地に記された「柔道部」の文字がのぞく場面がある。これに対し、青葉被告の小説で登場する学校の描写には、自由な校風の象徴として期限が過ぎても掲げられたままの垂れ幕が登場する、という。

 また、高校の軽音学部が舞台の「けいおん!」には、主人公の女子部員が後輩部員に対して「わたし留年したよ、これからは同級生だよ」と告げて、抱きつくシーンがある。青葉被告が「京都アニメーション大賞」に応募した作品には、主人公の男子高校生が担任教諭から「このままだと留年だぞ」と言われる描写がある、という。

 高校の弓道部を描いた「ツルネ」には、主人公たちがスーパーで20%引きの精肉を買い物かごに入れるシーンがあるが、青葉被告の小説には、ヒロインが50%引きの総菜を買いあさる場面が描かれている、という。

 5日の初公判では、検察側が冒頭陳述で青葉被告の小説について言及。被告は2017年に京アニ大賞に落選した後、「小説のアイデア」を盗用されたと妄想し、京アニへの怒りを募らせていった、と説明していた。京アニは事件後一貫して、盗用を否定している。

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京アニ公判、青葉被告は「闇の人物」主張…「妄想の支配」争点に

 36人が犠牲になった京都アニメーション放火殺人事件で殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判が今月5日に始まり、14日の第6回まで開かれた。公判では、妄想に支配された犯行かどうかが主な争点になっている。

 弁護側は、妄想の影響で、刑事罰に問えない心神喪失の状態だったとして無罪を主張。有罪でも、刑の軽減対象になる心神耗弱の状態だったとする。冒頭陳述では「被告は自身の作品が落選し、盗用されたのは、闇の人物と京アニが一体となって嫌がらせをしたためだと考えた。被告にとって起こすしかない事件だった」とした。

 弁護側の被告人質問で青葉被告は、小説が落選したのは、「闇の人物」のせいだと主張。この人物は「ハリウッドに人脈があるフィクサーみたいな人で、アニメ業界にも顔が利く」とし、自分に発言力を持たせないよう、京アニに圧力をかけて落選させたのだと思ったとした。

 さらに、青葉被告は公安警察に監視されており、それも「闇の人物」の指示だと思ったと説明。放火直後に駆け付けた警察官に対し「お前らが知ってんだろ」と述べており、弁護人から「お前らとは誰か」と尋ねられ、「あまりに警察が早く来たので、公安部だと思った」と述べた。

 一方、検察側は、妄想に支配されたことによる犯行ではなく、筋違いの恨みによる復讐(ふくしゅう)だと主張する。14日に始まった検察側の被告人質問で、「起訴前の捜査段階では公安の監視について、一度も話をしていないのではないか」と問い、青葉被告が「はい」と認める場面があった。

 青葉被告に「迷いやためらいはなかったのか」と事件直前の心境を尋ね、青葉被告は「良心の呵責があった」と放火をためらう気持ちがあったことを認めた。第1スタジオを狙った理由については「人が多そうで、大量の人が死ぬのではとの思いがあった」とも述べた。

 事件直前まで引き返す選択肢があったにもかかわらず犯行に及んだとし、完全刑事責任能力があったことを立証する狙いがあるとみられる。

 検察側の被告人質問は25日まで続き、10月下旬には精神鑑定を担当した医師2人への尋問がある。青葉被告の妄想と責任能力の関係を専門家がどう判断したのかが明らかにされる。公判では11月6日に責任能力を判断するための「中間論告」「中間弁論」が予定されている。

被告人質問の主なやりとり

 これまでの青葉被告に対する被告人質問の主なやりとりは以下の通り。

 ◇弁護側

 【生い立ち】

 ――小3の時に両親が離婚した。

 「(離婚後、父親に)素っ裸にされて外に立ってろと言われました」

 「(体罰は)体が大きくなるまで続いたと思います」

 ――中学で不登校に。

 「何となくずるずると行かなくなりました」

 ――(2006年に)下着窃盗などで逮捕された。

 「とにかく全部嫌になりました。やれることは全部やったのに裏切られました」

 ――(執行猶予判決後、派遣の仕事を転々したことについて)なぜ辞めたのか。

 「(会社は)底辺に対して面倒見がいいわけない」

 「『派遣切り』が来ることがわかっていました」

 ――その頃の暮らしは。

 「昼夜逆転の生活の中で(京アニの)『涼宮ハルヒの憂鬱』を初めて見ました。実力さえあれば暮らしていけると、小説を書き始めました」

 【闇の人物】

 ――(12年の)コンビニ強盗事件後、刑務所に。

 「同じ房の人が(自分の過去の行動を)知っていました。(その人が)組織にいて尾(つ)けられていたのではないかと思いました」

 ――組織とは。

 「警察の公安部。(指示を出したのは)闇の人物のナンバー2だと思います」

 ――ナンバー2とは。

 「ハリウッドやシリコンバレーに人脈があり、世界で動いている人。闇の世界に生きているフィクサーみたいな人」

 ――なぜ指示したのか。

 「過去に私が大臣にメールを送ったことで財政破綻が回避されました。こうした影響力を行使した人を放っておくわけにはいかないと思ったのだと思います」

 ――京アニに応募した小説は、誰が落選させたのか。

 「ナンバー2と思います」

 【京アニへの執着】

 ――小説を応募したのは。

 「ここなら最高のアニメが作れると考えました。ネット掲示板で京アニを調べました」

 ――何がわかったのか。

 「(掲示板に京アニの)女性監督がいらっしゃると」

 ――なぜ女性監督だと。

 「大体わかりました」

 ――女性監督への感情は。

 「はっきり言えば恋愛感情」

 「好意的に寄っていくと突き放され、最後は『レイプ魔』と言われました」

 ――小説が落選した時の気持ちは。

 「裏切られた気持ち」

 ――小説を応募した翌年、(京アニの)「Free!」が放送された。

 「パクられたと思いました」

 ――応募作にその場面は入ってなかった。何からパクられたのか。

 「流出した原稿から。そう考えざるを得ない」

 ――事件を起こした最後のきっかけは。

 「原稿を落とされたり、パクられたりしたことを根に持つ部分が大きかった」

 ◇検察側

 【事件前の行動】

 ――(現場に)包丁をなぜ持って行った。

 「秋葉原(無差別殺傷)事件への思いがありました。ガソリンをまいた後に(誰かが)止めに入るのを想定した部分もあります」

 ――秋葉原事件への思いとは。

 「20歳を超えてから仕事を転々とし、(秋葉原事件の犯人を)人ごとと思えませんでした。底辺の人間ほど余裕がない」

 ――第1スタジオをねらったのはなぜか。

 「大量の人が死ぬのではという思いがありました」

 ――ためらいは。

 「良心の呵責がありました」

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