NECパソコン生誕から40年、8月5日にPC-8001にちなむ「特別モデル」登場へ

NECパソコン生誕から40年 8月5日にPC-8001にちなむ“特別モデル”登場へ

 NECパーソナルコンピュータ(NECPC)は8月5日、「PC-8001誕生40周年記者会見」を開催する。同社のルーツは、NEC(日本電気)のPC事業。その原点である「PC-8001」にちなんだ「特別モデル」を発表するという。

 発表会では「特別モデル」の他、「(PC-)8001で稼働するBASICプログラムが実際に動作するハードウェア」と、それに「レトロゲームを添付した記念品」も披露するという。また、特別ゲストとして西和彦氏、元NECの渡辺和也氏(PC事業立ち上げリーダー)と後藤富雄氏(PC-8001開発者)が登壇する予定となっている。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏

NEC PCとマカフィーが考えるこれまでのパソコン、これからのパソコン

 日本電気株式会社(NEC)が、国内初のパソコン「PC-8001」を1979年に送り出してから丸40年を迎えた。8月には、生誕40周年を記念した特別仕様のモバイルノート「LAVIE Pro Mobile PM750/NAA」を発表。PC-8001の外観や機能を再現し、実際にプログラミングも可能なミニチュア復刻機「PasocomMini PC-8001」も、購入者向けに提供する。

 一方、PC-8001から歴史を積み重ねる中で、パソコンを取り巻く環境は変化した。常時インターネットに接続できるようになり、パソコンに近い機能を持ち、クラウドを経由して同じサービスを利用できるデバイスの種類が爆発的に増えている。これは、パソコン自体の用途の変化を促し、セキュリティへのニーズの多様化にもつながっている。

 この記事では、NECパーソナルコンピュータ(NECPC) 商品企画本部 商品企画グループ 部長の森部浩至氏と同グループマネージャーの永井健司氏、マカフィーのコンシューママーケティング本部 執行役員 本部長の青木大知氏の3人に取材した。彼らは、この40年における業界の変化をどのように捉えているのか。また次の40年に向けて求められるパソコンやセキュリティのあり方はどうあるべきか。語っていただいた。

40年の歴史を経て、パソコンはゼロUIの時代へ

── 1979年にPC-8001が登場してから40年が経ちました。この期間は、日本におけるパソコンの歴史そのものでもあります。最初にPC-8001登場から現在までの40年を振り返っていただけますか。

森部 日本では、PC-8001の登場を機に「パーソナル・コンピュータ」という概念が浸透していったと思います。当初のパソコンはコマンドラインベース(CUI)で、キーボードを使って操作していました。主な用途は、プログラミングや表計算などです。この時期を便宜的に「PC 1.0」と表現すれば、PC 2.0は、爆発的に普及したWindows 95以降になると思います。PCがインターネットに接続し、マウスを使ったグラフィカルベースのUI(GUI)が主流になりました。さらに、Windows Vistaの登場前後から、タッチ操作に対応したパソコンも増えてきました。結果として、コミュニケーションやマルチメディアなど、パソコンの用途が広がりました。

── 最近では、AIやIoTの登場によりパソコン周辺のデバイスとどのように連携を取るかも問われています。この先、パソコンはどのように発展していくと思いますか。

森部 パソコンはあくまでツールです。しかし、今後は日常生活における重要性がより増して、ライフスタイルやワークスタイル全般をサポートしていくようになると思います。声や目線で操作する「ナチュラルユーザーインターフェース」(NUI)のように、手を使わずに操作するシーンが増えていきますし、究極的には、人の嗜好や行動パターンに合わせて操作をしなくても自動で動く「ゼロUI」になっていくと考えられます。

 これをわれわれはPC 3.0と定義し、2020年以降、パソコンとユーザーのかかわり方が変わる新しいフェーズが訪れると考えています。

── NEC PCはPC3.0の時代に向けてどのように動いているのでしょうか。

森部 お客様のニーズに合わせ、現在3つのカテゴリーにフォーカスした商品を提供しています。ひとつは個人でも仕事を中心に使う方を想定した「プロ」です。また、プログラミング教育なども追い風になっていますが、12年間ある小学校から高校生までの期間にいる「K12世代」に向け、教育改革をサポートする「エデュケーション」。そして、インターネットに接続できる家電やスマートスピーカーなどとも連携し、ライフスタイルをサポートする「ホーム」です。これらに加えて4番目の分野として注目しているのが「ゲーミング」です。ここは世界的に伸びている領域で、NEC PCとしてもしっかりアプローチをしていきたいと思っています。

── 4つの軸があるわけですね。 

森部 これら4つのカテゴリーは、パソコン市場が落ち着いている中でも、間違いなく伸びていくと言われている分野で、すべて重要です。ただ、今の時点で最もニーズが顕在化しているのは「プロ」で、モバイルパソコンを中心に個人・法人合わせて年間20万台以上伸びています。弊社に限らず今後各社が積極的にアプローチをしていくはずです。

テレワークの経験が反映されたLAVIE Pro Mobile

── プロユースの切り口で投入したマシンの代表例が「LAVIE Pro Mobile」ですね。軽量性と高性能を兼ね備えたモデルです。NEC PC/レノボグループでは、テレワークを積極的に行なっている印象がありますが、このようなモデルが出てきたのも、新製品の開発に社員の声が反映されているからでしょうか。

永井 そうですね。特にこの機種では、社員自身の働き方に対する知見が、開発アイデアに活かされていると思います。弊社自身がテレワークを実践する中で、自宅での使いやすさや電車通勤に対する耐久性の重要性は痛感しています。反映したいアイデアもまだまだあるので、しっかり製品に反映していきたいと考えています。

── あえてお伺いしますが、スマホやテレビなど、あらゆるデバイスがパソコンと同じようにネットと繋がるようになり、さまざまなサービスを使える時代になっています。その中で、パソコンだからこそできることは何でしょうか。

森部 ご指摘の通り、今は多くのデバイスがインターネットに接続できるようになり「スマホがあれば十分」という人もいますが、大半の人はパソコンやスマホ、タブレットなどを使い分けています。「仕事では画面の大きいパソコンが手放せない」とか「資料作成にはキーボードが必須」といった理由で使い分けている人に対して、今後もパソコンの進化や便利なポイントを提案していきたいです。

日本人はセキュリティ対策を、ウィルス対策のみだと思いがち

── パソコンの歴史や将来の展望について確認したところで、セキュリティに関する話も伺わせてください。マカフィーのアンチウイルスソフトがパソコンにプリインストールされるようになったのは20年くらい前からと聞いています。当時から現在までのセキュリティ分野を総括していただけますか。

青木 マカフィーは1987年の創業です。日本の市場を振り返ると、パッケージされたアンチウイルスソフトが初めて登場したのは1991年です。当初は、90種類程度のウイルスに対応できるソフトでしたが、Windowsの登場を機に、家庭でもインターネットに接続するようになり、メールなどを通じてウイルスが拡散するようになると、パソコンに向けたセキュリティ対策の必要性が大きく広がりました。マルウェア対策に加え、メールのフィルタリングやファイヤーウォールといった対策も求められるようになり、セキュリティ対策ソフトの機能も段階的に増えていきます。現在では、お子様が安心して使えるペアレンタルコントロールや、金銭的な被害を防ぐランサムウェアの対策も追加されています。

── NEC PCさんが分類する4カテゴリーに対してはどのようにアプローチをしていきたいと思っていますか?

青木 NEC PCさんがカテゴリーを分けてパソコンを提供するように、われわれもニーズが異なるお客様に対して最適な製品を開発する必要があると思っています。現在では、セキュリティに求められるニーズや対策方法がカテゴリーごとに細分化していると感じています。例えば、ゲームをする人の中には「重くなるからインストールしたくない」という方もいますし、お子様向けのフィルタリング機能がデフォルトで設定されているスマホを買っても親御さんが煩わしくて解除してしまうといったケースもあります。

 例えば、ゲーム分野では、パフォーマンスの維持とセキュリティ対策を両立するゲーマーセキュリティの検証をしています。家族で使うケースに対しては、親御さんの支持を得られる製品を開発する必要があるでしょう。

 また、大企業ではVPNを整備したり、クラウド向けのセキュリティ対策を進めるといった対応もしっかりしていますが、日本企業のほとんどは中小企業で、大半はIT管理者を置いていません。働き方が多様化する中で、パソコンやスマホを含めて包括的に守れるソリューションをIT管理者なしでも運用できるようにする必要があると思っています。

── そもそも日本人のセキュリティに対する意識は海外と比べて高いのでしょうか?

青木 セキュリティ対策を「ウィルス対策」と表現するのであれば、日本は高い方です。海外では無料のソフトを使えば十分と考えている人も多いですが、日本人は約8割が有償ソフトを導入しています。しかし、セキュリティの中でも「個人情報の保護」や「プライバシー」の観点になると感度が極端に下がってしまいます。マカフィーが実施した調査で「個人情報は誰が守るか」という質問には、およそ半数の人が「政府」と回答し、「自分で守る」と答えた人は、わずか20%程度でした。

── 個人情報に対する感度が低い理由は何だと思いますか?

青木 スマホや関連サービスなどが登場してインターネットを使う環境が急激に変わっているので、教育面がまだ追いついていないと思います。とりあえずウィルス対策をやっておけばいいと考えている人も多いですが、それだけではカバーできない部分をどのように啓蒙していくかが大切です。

── パソコンがコモディティ化すると言われて、20年ほど経ちますが、その中でパソコンに求められる機能や利用シーンが大きく変化しましたね。

森部 Windows 95の登場を機に「オールインワンPC」が流行りました。つまり「全部入り」です。マーケティングの観点で言えば、パソコンの普及期は「なんでもできる」という訴求軸が有効でした。幅広い層に向けてアプローチする必要があったからです。それから20年が経ち、パソコン市場が成熟した今では、利用シーンが多様化し、細分化しています。セグメントを区切り、各分野にフォーカスしていく必要があります。

パソコンへの接し方が変われば、セキュリティのあり方も変わる

── 今後、パソコンメーカーとセキュリティメーカーとして、お互いに期待することや連携していきたいことはありますか? 

森部 青木さんの話を伺って、1台のデバイスを守るところから始まったセキュリティの対応範囲や求められるニーズがどんどん変化してきたことを実感しました。パソコンを取り巻く環境は変わっていきます。マカフィーさんには、今後もスマホやIoTデバイスといった個人が所有する全体的なIT環境や家族といったグループを丸ごと守るような対策をしていただきたいです。私としても、NEC PCが提供するパソコンを通じてセキュリティの大切さをお伝えし、日本人全体の意識を底上げしていきたいと思いました。

青木 セキュリティソフトは日常的に触れる機会が少ないため、いざというときに使いこなせるよう準備しておくことが大切です。ただ、ユーザーのセキュリティに対する意識を引き上げるのは弊社だけでは難しい面もあります。パソコンメーカーをはじめとした関連するパートナーと一緒に啓蒙することが欠かせません。

 私の子どもは今プログラミング教室に通っていますが、個人的にITを理解する最適なツールはパソコンだと思っています。その中でも、NEC PCさんのように長い歴史を持ち、市場で支持されているメーカーが、「プロ」や「ホーム」といったパソコン活用の方向性を示してくれると、一般層がパソコンにどう接し、セキュリティへの意識をどう高めていくかについて、大きな影響力があると思います。結果、弊社もより最適なソリューションを提供することができます。

── 本日はありがとうございました。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏