「iOS 13」は何が変わった?パブリックβ版で「ダークモード」や新「写真」アプリを試す

「iOS 13」は何が変わった? パブリックβ版で「ダークモード」や新「写真」アプリを試す

 Appleは、6月25日の未明に「iOS 13」のパブリックβ版を公開した。iOS 13は、先に米カリフォルニア州サンノゼで開催されたWWDCで発表されたiPhone、iPod touch向けの最新OSで、黒を基調とした画面デザインに変更できる「ダークモード」や、機械学習でベストな1枚を見やすくなった「写真」アプリ、より精緻になった「マップ」アプリなどが特徴だ。

 このパブリックβ版をいち早く実機にインストールして使用した。ここでは、その実力の一端をお伝えしたい。なお、本来、パブリックβ版のスクリーンショットは規約で公開が禁じられているが、本稿では取材用の許可を得て掲載した。

●目に優しい「ダークモード」はどこまで変更できる?

 まずは、ダークモードだ。その名の通り、黒を基調にデザインしたUI(ユーザーインタフェース)に変更する機能で、「設定」→「画面表示と明るさ」から変更できる。従来と同様、白がベースのデザインは「ライト」と呼ばれており、「ダーク」をタップすると、一瞬で色調が切り替わる。背景は黒が基調だが、真っ黒というわけではなく、黒とグレーのコンビネーションで表現されているため、どこがタップできるのかは一目で分かる。文字やけい線は白で表示されるため、ライトよりもクッキリと見えるはずだ。

 「自動」のボタンをオンにすると、時間帯によって、ライトモードとダークモードを切り替えることができる。ザックリとした時間でよければ「日の入りから日の出まで」にしておけばいいが、より細かく自分で決めたいときは、「カスタムスケジュール」を選ぶと、分単位まで時間を設定することができる。基本的には、周囲の光が少ない夜に使うためのものだが、室内でも文字が見やすく、メールなどを読むときにまぶしいと感じることが少ない。雰囲気を一新する意味も込め、常時ダークモードで運用するのもよさそうだ。

 ダークモードに切り替えると、設定画面の他、メールやマップ、Apple Music、Wallet、メモなど、標準アプリは一通り黒が基調のデザインに切り替わる。サードパーティーに対してもAPIを提供しているため、開発者が対応すれば、ダークモードを利用できるようになる予定だ。現段階ではパブリックβ版のため未対応だが、サードパーティーのアプリもこれから徐々に対応を進めていくとみられる。

 また、iOS 13にはライトモードとダークモードで色が変わる壁紙も用意されている。対応する壁紙は、右下に円のマークが記載されているため、これを選べばよい。デザインは同じで赤、青、緑、黒の4色から選択できる。せっかくダークモードにしても、ロック画面やホーム画面が明るくては本末転倒。ライトモードとダークモードを切り替えながら使うのであれば、この壁紙を設定しておくといい。4種類のみなのは残念だが、今後、バリエーションが増えることを期待したい。

●ベストな写真をすぐに探せる「写真」アプリ、セルフィーにも新機能が

 撮った写真やスクリーンショットなどを閲覧するための写真アプリも、iOS 13で大きく改善された。ポイントは、機械学習を活用していること。新たにできた「年別」「月別」「日別」のタブをタップすると、それぞれの年や月のオススメの写真(とiPhone側に判断された写真)が自動で表示される。確かにスクリーンショットなどは省かれているため、写真で過去の思い出を振り返るのによさそうだ。

 もちろん、記録したスクリーンショットを使いたいというときもある。このようなときは、「すべての写真」のタブをタップすると、従来のアルバムで「カメラロール」を開いたときのように、写真やビデオ、スクリーンショットが時系列にズラリと並ぶ形になる。代わりに、「アルバム」タブから「カメラロール」を開くことはできなくなった。このUIにも改善が加えられており、ピンチイン・ピンチアウトでサムネイルのサイズを変更できる。

 もともと写真アプリでは、ビデオのトリミングはできたが、回転や傾きの調整、フィルターをかけることも可能になった。露出やハイライト、シャドーなどの調整もでき、かなり本格的だ。撮ったビデオの編集は、Apple純正アプリの「iMovie」でもできたが、やはり写真アプリからできる方が手軽でいい。編集のUIも写真を加工するのに近く、直感的に操作できる。アプリを使えばできたことではあるが、写真アプリは、写真や動画を閲覧する際の起点となるだけに、ここで直接編集までできるのはうれしい進化といえる。

 当初は非常にシンプルだったiOSの写真アプリだが、新機能が加わるたびに、UIが徐々に複雑になっていった印象を受ける。機械学習の力を借りながら、これを大胆にリニューアルしたのが、iOS 13の写真アプリといえる。率直に言って、かなり写真やビデオが見やすくなった印象を受ける。

 写真に関しては、写真アプリだけでなく、ポートレートモードにも新機能が加わっている。ポートレートライティングの照明が、それだ。ポートレートライティングとは、「スタジオ照明」や「ステージ照明」といった照明効果を加える機能だが、その光の強さを手動で変更できるようになった。光量を上げ、“飛ばし気味”にすると、肌のくすみや凹凸感などが目立ちにくくなるため、よりキレイに見える写真が撮れる。特にセルフィー撮影時に効果てきめんの機能で、これは、いわばApple流の“美肌モード”だ。

 これまでのiPhoneのカメラは、傾向として、ありのままを切り取ることを志向しており、ともすると、セルフィーが生々しく見えるきらいもあった。一方で、SNSなどでのトレンドを見ても分かる通り、写真には、ある程度の補正をかけるのが主流になりつつある他、Android端末の一部には、顔を輪郭レベルまで補正する機能も搭載されている。ポートレートライティングはそこまで露骨に加工を加える機能ではないが、補正効果は高く、実用的なアップデートといえる。

●使い勝手が大きく上った「リマインダー」「ファイル」「マップ」

 「リマインダー」アプリも、iOS 13で大幅に機能が向上した内蔵アプリの1つだ。アプリを開いたときの画面が刷新され、設定したリマインダーが何件あるのかが、一目で分かるようになった。時間や場所を指定は、「!」マークをタップして詳細を開く必要がなくなり、時計マークのアイコンや位置情報のアイコンをタップするだけで、選択肢が表示されるようになった。細かくリマインダーの設定をしようとしたときの手間が減った格好だ。

 また、「メッセージ時に通知」という項目も加わっている。この設定は詳細からしかできないが、オンにしておくと、登録した相手とメッセージをやりとりしているときに、リマインダーが表示される。対応しているのが標準のメッセージアプリだけで、メールやサードパーティーのメッセンジャーアプリに非対応なのは残念だが、メッセージをやりとりしているときに、相手に伝えなければいけない用件を思い出すことができて便利だ。

 WWDCではiPadOSの機能として紹介された「ファイル」アプリも、機能が刷新され、ファイラーとして使えるレベルになっている印象を受けた。ZIPの圧縮、解凍に対応しているため、メールで送られてきたZIPファイルの中身を見られる他、ファイルサーバに対応したり、Safariからダウンロードしたファイルを1カ所にまとめておけたりと、さまざまな新機能が加わっている。細かな点だが、内蔵ストレージの直下にフォルダを作成できるようになったのも、うれしい改善といえる。

 マップアプリには、「コレクション」と呼ばれる機能が追加された。これは、お気に入りをジャンルや用途ごとに整理できる機能で、他のユーザーにまとめて共有することもできる。これまでは「よく使う項目」にしか、お店などの場所を登録できなかったが、コレクションの登場で、より実用的に使えるようになった。地図データそのものも改善される予定だが、日本の対応は2020年の予定。Apple版ストリートビューともいえる「Look Around」も、現時点では対応していないが、米国の地図を表示すると利用できるため、訪問先をあらかじめ調べておくときなどに活用できそうだ。

 全体を通して見ると、iOS 13はかなりの大型のアップデートであることが分かる。ダークモードのような新機能だけでなく、写真アプリやリマインダー、ファイル、マップなどの既存アプリも、UIが見直され、使い勝手が改善した印象だ。こうしたUIの刷新は、共有メニューなど細かなところにまで及ぶ。WWDCで発表された際には、iOSから“独立”したiPadOSが注目を集めがちだったが、iOS 13も進化の幅は大きい。秋の正式配信が、今から楽しみだ。

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