米空港で導入進む顔認証技術 国民の大半に抵抗感

米空港で導入進む顔認証技術 国民の大半に抵抗感

政府機関と航空会社は、乗客の検査のため顔認証技術の使用を増やしているが、大半の米国人は空港での同技術の活用に不安を感じていることが、新たな調査により示された。

米運輸保安局(TSA)は、顔認証技術により保安検査場でのチェックイン手続きが迅速化するとしている。米国土安全保障省は2021年までに米国の主要20空港で、2023年までには全空港で国際線の全乗客に対し顔認証技術を使用することを計画している。

一方、旅行者はちゅうちょしている。米コンピューター誌PCマガジンが2000人以上の消費者を対象に実施した最近のアンケート調査では、回答者の69%が顔認証技術を信用すると答えた一方で、空港で身元確認と待ち時間の短縮を目的として顔認証技術が使用されてもかまわないと答えた人はわずか28%だった。

この大きな食い違いはなぜ生じているのだろう? 消費者は、顔認証技術に必ずしも反対しているわけではないのに、生体認証データを誰が制御し、どのように使うのかに深刻な懸念を抱いている。

PCマガジンの編集者、ロブ・マービンは「顔認証技術を信用している人でも、折り合いをつけなければいけない点はある」と指摘する。「空港で顔をスキャンするだけで、飛行機にすぐ乗れて保安検査に並ばなくて済む便利さには価値があるかどうかを、人々は見定めなければならない。このデータがどこに向かってどこに保管されているのかが必ずしも信用できなかったり、自分の顔が移動する先々で追跡される監視社会的な側面があったりしたとしても」

iPhoneのロック解除に顔認証技術を使うことに抵抗を感じなくとも、政府や航空会社などの企業が自分の生態認証データを集めることには抵抗がある人がいるかもしれない。マービンは「消費者で、『これが政府や会社が提示した以外の違法な方法で使われることなんてもちろんない』と考える人は少数だろう」と語る。

航空会社も顔認証技術を活用

デジタルに関する権利団体ファイト・フォー・ザ・フューチャー(Fight for the Future)は、顔認証技術を使わない航空会社を使うよう呼び掛けている。同団体は先日、国際線に乗り込む前に乗客の顔を読み取っている航空会社5社を批判するウェブサイト「www.airlineprivacy.com」を立ち上げた。この5社は、アメリカン航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、デルタ航空、ジェットブルー航空、ルフトハンザ航空だ。

ファイト・フォー・ザ・フューチャーはこれら5社の代わりに、顔認証を使用しない航空会社としてエア・カナダ、アラスカ航空、アレジアント・エア、サウスウエスト航空、ユナイテッド航空の利用を推奨している。

あまり知られていないかもしれないが、乗客は顔認証技術の使用を拒否してモバイル端末や紙の搭乗券の使用を要求することが(少なくとも現時点では)可能だ。航空会社は多くの場合、オプトアウト形式で顔認証技術を導入しているので、乗客が拒否の意思を明示しない限り同技術は自動的に適用される。

米議会は是非を検討

米下院の監視・改革委員会が今月4日に開いた顔認証技術に関する2回目の公聴会で、議員らはTSAなどの政府機関が顔認証技術をどのように使用してきたかについて質問した。

TSAの要求・能力分析部門の副管理者であるオースティン・グールドは公聴会で、顔認証プログラムは空港の保安検査の待ち時間削減に有効だとし、「飛行機搭乗客の数は年間約4%ずつ増えており、搭乗者の身元確認をより効果的に行いつつ処理量を増やせることは非常に有益だ」と述べた。

議員、そして旅行客が今後どのようにしてプライバシーの懸念と長期的な利便性のバランスを取るのかについては、まだ答えは出ていない。

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