青色LED訴訟 日亜、8億4300万円で和解 中村氏に発明対価 東京高裁一審から大幅減額

【2005年1月12日掲載】青色LED訴訟 日亜、8億4300万円で和解 中村氏に発明対価 東京高裁一審から大幅減額

 青色発光ダイオード(LED)を開発した中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(50)が、勤務していた日亜化学工業(阿南市、小川英治社長)に特許権の譲渡対価を求めた訴訟は11日、日亜側がすべての職務発明の対価として遅延損害金を含め約8億4300万円を支払うことなどを条件に、東京高裁(佐藤久夫裁判長)で和解が成立した。

 職務発明の対価として支払われる額としては過去最高だが、昨年1月の一審東京地裁判決が命じた200億円(対価は約604億円と認定)からは大幅減額となった。

 中村教授は「金額には全く満足していないが、弁護士の勧めもあって受け入れることにした」とコメントを発表した。

 佐藤裁判長は、昨年末の結審後に職権で和解を勧告。和解協議で裁判所は「発明の貢献度は極めて大きい例外的なもので、訴訟で一つの特許権対価を争うより、すべての発明について解決を図るのが重要だ」との考えを強調。その上で「職務発明の対価は、従業員の意欲を啓発すると同時に、企業が競争に勝ち発展することを可能にしなければならない」と判断。中村教授の貢献度を5%とし、約6億円を対価の上限とする案を示した。

 和解条項では、中村教授が青色LEDなどについて在職中に発明したすべての特許への対価約6億円と、遅延損害金約2億4000万円を日亜が支払い、双方がすべての紛争を解決したことを確認している。

 昨年1月の地裁判決によると、中村教授は日亜在職中の1990年に青色LEDの製造装置に関する技術を発明。日亜が特許出願し93年、世界初の製品化に成功した。中村教授が当時、会社から受け取った報奨金は2万円だけだった。

 日亜側は控訴審で(1)対象の特許は製品化につながる数多くの特許の一つにすぎず、実際は使用していない(2)十分な研修や設備投資をした結果生まれた発明で、企業の貢献度が高い-などと主張。

 これに対し中村教授は「すべての製品に不可欠な基本特許で、会社の援助や指示なしに独力で発明した」として、控訴審では請求額を201億円に増額していた。

 納得していない

 中村修二教授 私は今回の東京高裁の和解金額には全く納得していない。しかし、弁護士から「すべての事情を考慮して受諾することがベストインタレスト(最大利益)と考える」と助言され、裁判所の勧告に従うことにした。私はこの発明の特許権対価を譲渡することについてのバトンを後続のランナー、すなわち技術者一人一人に引き継ぎ、本来の研究開発の世界に戻る。自分の発明をどう使うかについて、何ら拘束されることを心配することなく、自由に研究開発を続ける。

 理解してくれた

 小川英治社長 当社の主張が裁判所にほぼ理解していただけた。青色発光ダイオードが一人ではなく多くの努力と工夫のたまものと理解していただけたことは、大きな成果と思う。

 ほっとしている

 飯泉嘉門徳島県知事 県内、わが国の企業活動に大きな影響を与える結果だけに、和解が成立しほっとしている。今回の事例は発明とその対価に対する意識・関心を日本中に喚起し、法体系の整備・見直しを行う大きな契機となった。今後、日亜化学工業にはLED市場のリーディング企業として本県、わが国経済をけん引していかれることを、中村氏にはますます研究にまい進されることを期待している。


白色LED : 白い光はどうやって作る?

LEDで白色光を得るには、何通りかの方法があります。ここでは、代表的な発光方法を紹介します。

1) 青色LED+黄色蛍光体

青色LEDとその補色である黄色蛍光体の組合せで、白色光を得るという方法。

この方式は他の方式に比べて構造が単純で、効率も高いため、現在主流となっています。

2) 赤色LED+緑色LED+青色LED

光の三原色のLEDを組合せ、白色光を得る方法。

照明用としてよりも、主にフルカラーLED表示装置として使われています。

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