iPadの売り上げが急増、成功したクックCEOのプランとは?49億ドル(約5400億円)の売り上げを記録

iPadの売り上げが急増、成功したクックCEOのプランとは?

  • アップルのティム・クックCEOは、四半期のカンファレンスコールで、より多くのデバイスとサービスを大規模な市場に向けて販売するというアップルの基本計画を説明した。
  • 同氏が語ったのはエンタープライズ市場。毎年、4兆ドル(約440兆円)規模のIT投資が行われている。
  • エンタープライズ市場での成功が、iPadが売り上げを大きく伸ばした理由の1つ。

アップルは時価総額1兆ドル(約110兆円)という聖地に戻ってきた。そのために重要なことの1つは、iPadの販売だった。

iPadは49億ドル(約5400億円)の売り上げを記録した。前年比22%増は「過去6年間で最大の伸び」とティム・クックCEOは四半期のカンファレンスコールでアナリストに語った。

その理由の1つは、4兆ドル規模のエンタープライズ市場で大きく成功したことと同氏は述べた。企業は毎年約4兆ドルをIT投資に費やしており、アップルは企業向けテックベンダーとの提携を拡大し、そしてiOSデバイスにビジネス向け機能を追加しながら、エンタープライズ市場への参入を強化した。

アップルはここ数年、エンタープライズ向けの売り上げからどれほどの利益をあげたかを明らかにしていない。だが2018年10月、専門家は、2018年、370億ドル(約4兆円)規模のビジネスと推定した。

エンタープライズ市場はクックCEOが注視している分野。アップルの戦略はより多くの企業に販売するだけではなく、「製品とシェアを大口顧客の中で広げていくこと」と同氏は語った。

言い換えれば、アップルは大きなビジネス顧客に、より多くのアップル製品やサービスを買わせようとしている。これは「land and expand」戦略だ。

クックCEOはこの戦略の進捗状況を示すために、いくつかの印象的な統計を示した。iPadは現在、450の航空会社のコクピットで使われているそうだ(同氏はiPadを「好ましい選択」と呼んだ)。これはマイクロソフトのSurfaceにとっては微妙な状況、Surfaceは数年前、いくつかの航空会社が選択したことで話題になった。

しかし、クックCEOの真の狙いは、パイロットがiPadを使用することによって、航空会社がiOSデバイスをあらゆる場所に配置するようになり、アップルがより多くのデバイスとサービスを販売できるようになることにある。

「我々は、アップルの実績をコクピットから客室へと拡大している。乗客の搭乗体験を向上させ、またモバイルPOSの新しい使用事例として、トップ50の航空会社の半数以上が今、iOSを実装している」とクックCEOは語った。

例えば、iPadは地上でのオペレーションや機体の整備でも使用されている。また、いくつかの航空会社では客室で利用されていて、「食べ物や飲み物の購入と機内でのApple MusicへのアクセスのためにApple Payの採用が拡大している」。

アップルの製品やサービスをアップルの顧客が、自身の顧客に販売するというのは興味深いアイデア。ほとんどの場合、エンタープライズ市場をターゲットとする企業は、デバイスを従業員にカスタムアプリを使わせる目的で使用している。カスタムアプリはSAPのようなパートナー企業が開発するケースが多い。

そして、この傾向はまだ続いており、SAPのiOS用ソフトウエア開発ツールの使用は過去6カ月で40%増加したとクックCEOは語った。また同氏は、2018年9月に発表したセールスフォース(Salesforce)との提携のように、徐々に新しいパートナーを追加していると述べた。前四半期、セールスフォースは、同社の膨大な数の顧客に向けにiOSアプリを構築できるソフトウエア開発キットをリリースした。

こうした動きは、アップルがIBM、シスコ、アクセンチュア、デロイト、GEと提携していることで成り立っている。これらの企業はすべて、カスタムiOSアプリの開発をサポートしている。あるいはシスコの場合は、これらのiOSアプリが企業のネットワークでうまく機能することをサポートしている。

最後に、クックCEOはアップルがAT&Tとの提携を拡大したことを強調した。AT&Tは、顧客が新たなデバイス管理ソフトウエアを同社から購入した時に、アップルのデバイスをアップルのデバイス管理ソフトウェア「Apple Business Manager」に登録することを支援する。Appleはこのソフトウエアで大きな収入を上げることはできない(Appleは無料で提供している)、だがAT&Tは追加サービスのセールスで売り上げを上げるだろう。

クックCEOはこれを同氏の「land and expand」戦略の別の側面、つまりAT&Tの助けを借りてさらに多くの企業にデバイスを販売する方法と見ている。ここを足がかりにして、アップルは企業により多くのアプリ、サービス、そしてデバイスを販売できる。

「AT&Tは、より多くの顧客がビジネスでのニーズに合った最高のアップル製品を選択し、ビジネスのモダナイズをサポートする」とクックCEOは述べた。

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