早朝深夜に鳴らない信号機…視覚障害者を守るため、警察庁が信号アプリ導入へ

早朝深夜に鳴らない信号機…視覚障害者を守るため、警察庁が信号アプリ導入へ

 視覚障害者が交通事故に遭うのを防ぐため、警察庁は来年度にも、音声で視覚障害者らに青信号を伝えるスマートフォンのアプリを導入する方針を固めた。全国に設置された音響信号機の大半は騒音への配慮から深夜や早朝は音が鳴らず、昨年12月には東京都内で障害者の男性がはねられる死亡事故が起きていた。警察庁は「悲惨な事故の減少につなげたい」としている。

■視覚障害者の9割「利用したい」

 「まもなく、豊洲駅東交差点です」「進行方向の信号は、青信号です」。視覚障害者が交差点に差し掛かると、地図が表示されたスマホから音声が流れた。東京都江東区で昨年12月17日に行われた実証実験には視覚障害者も参加し、開発中のアプリの作動状況を確認した。

 実験後のアンケートでは、参加した視覚障害者の9割がアプリを「利用したい」と回答。全盲の50歳女性は「24時間、音が鳴るのは役立つ」と話した。

 警察庁は2015年から、スマホを使った視覚障害者の安全対策の検討を始めた。アプリは通信装置がある信号機とも連動して青信号の時間を延長することもでき、横断に時間のかかる高齢者らの利用も想定されている。

■赤信号に気付かず?早朝出勤の男性が死亡する事故も

 「ピヨピヨ」「カッコー」などの音で青信号を伝える音響信号機は昨年3月末時点で、全国に2万3149基。全信号機の11%にあたるが、近隣住民に配慮し、多くの信号機は、早朝や深夜には音が鳴らない設定になっている。

 警視庁によると、東京都内の約2400基の約9割は、午前7時以降にならないと音が鳴らない。鳴り終わるのは午後8時台が7割で、同7時台と同9時台が1割。24時間鳴るのは新宿や池袋など大規模駅近くの数%の信号機だけだ。

 音の鳴らない信号機が悲劇を招いた。昨年12月7日午前4時半頃、東京都豊島区のJR駒込駅前で、視覚障害者の当時64歳男性が白杖(はくじょう)を持って道路を横断中、ワゴン車にはねられて死亡した。栗原さんは通勤ラッシュを避けるため早朝に出勤していたという。

 事故現場に音響信号機はあったが、午後7時から午前8時の間は鳴らない設定だった。事故当時、信号は赤だったが、栗原さんは気付かずに横断して、はねられたとみられる。早朝だったため人通りはほとんどなく、横断を止めてくれる人もいなかった。

 警視庁の担当者は「信号機の音が鳴っていたら危険な横断をせずに済んだかもしれない」と悔やんだ。

■「アプリ歓迎」だが…

 日本盲人会連合は事故後、声明を発表し、音響信号機を24時間鳴らすことや、停止する場合は代替機能を作動させることを求めた。

 しかし、夜中も信号の音が鳴り続けることに対し、住民からの反発は根強い。視覚障害者が携帯し、信号機と連動して音を鳴らせる「シグナルエイド」という持ち運び式の装置もあるが、使用できる信号は一部に限られる。

 厚生労働省の推計では、視覚障害の手帳の保有者は16年時点で約31万2000人。日本盲人会連合は「アプリは歓迎したい」とした上で、「スマホを使いこなせない高齢の視覚障害者も多い。住民の理解を得ながら、障害者の歩行中は24時間音が鳴るような仕組みを考えてもらいたい」と要望している。

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