カメラの画質、センサーサイズでどう変わる? ガスタンクで検証
デジタルカメラはよく「センサーサイズが大きい方が高画質」っていわれているんだけど、まあそれはおおむね正しいわけなんだが、実際にどのくらい違うのか。同じような条件で比べたらどのくらい差があるのか。
気になりません?
画質といっても抽象的なので、センサーサイズによって差が出そうなところをピックアップすると、「ディテールの描写」「高感度時の画質」「背景のぼけ」「階調の豊かさ・ダイナミックレンジの広さ」って感じになるかと思う。
画像処理による差やレンズによる差、技術の世代差もあるから一概にはいえないところもあるんだけど、比べることができるなら比べてみようじゃないかと思ったのである。
幸い、うちにはこんなに画像が溜まってるのだ。
どれも同じガスタンクを、似たような時刻・天気の日に同じような位置から撮ったもので、ここ数年、レビュー用の作例に必ず入れている被写体だ。
いつも単体のカメラレビューで使ってるので、こうして並べて比較するのは初めて。
撮影時刻の微妙な差や季節の差もあるけど、青空一つとっても特徴が全然違ってて面白い。
では比べてみよう。
元の絵はこんな感じ。この中央にあるタンクの上に立っているアンテナ(だと思う)のあたりを等倍表示し「センサーサイズや機種によるディテール描写対決」をするのである。
●いろんなカメラでディテール描写力をチェック
「Adobe Lightroom」上で等倍表示にして並べてみた。
左がニコンの「Z 6」。2400万画素のフルサイズセンサーのミラーレス一眼だ。レンズは24-70mm F4、つまり標準ズームレンズを装着している。右がキヤノンの「Powershot SX740 HS」。2000万画素の1/2.3インチセンサーを搭載した40倍の高倍率機だ。まあ価格はヒトケタ違うし、センサーの面積にいたっては30倍近く違う。なのに画素数はあまり変わらないっていうわけだ。
中央にあるガスタンクのてっぺんにあるアンテナを支えるワイヤーがちゃんと見えているか、がすごく分かりやすい。Powershot SX740 HSの方は空にとけちゃってる。
画素数はあまり変わらなくても、晴天下という好条件でも写りにこれだけ差が出るのである。特にコンパクトの高倍率ズームレンズとなるとどうしてもクオリティを上げるのは難しいし、個人的には1/2.3インチセンサーに2000万画素は詰めこみすぎだと思う。
今回はこんな調子でガシガシと比べてみたい。
●スマートフォンと普及型コンデジ
ではスマートフォンと比べて見たらどうか。「iPhone XS」と「Powershot SX740HS」だ。
iPhone XSは1200万画素と画素数はぐっと少ない。
なんと、画素数がぐっと少ないiPhoneの方が、その分小さくしか写ってないけど、アンテナを支えるワイヤーもなんとか認識できるし、手すりなどのディテールもちゃんと描写されてる。
スマートフォンの画質が上がったとはいえ、まだコンパクトデジカメには劣るだろうと思っていた人には衝撃的かも。
ただ、スマートフォンの画質が上がり、センサーサイズも昔に比べると大きくなった(サイズ自体は非公開だが)のに画素数を抑えたことや、コンパクトデジカメが高倍率ズームレンズで勝負しなければならないのに対して、スマートフォンは単焦点レンズでOkという差はある。
でも、実はわたしもこれは意外だった。いつもコンパクトカメラとスマートフォンをこうやって詳細に比較したりはしないから。
ただ個人的にはこのクラスのカメラは、こうして「等倍表示してディテールを云々いうものじゃない」とは思ってます。ディテールの解像感を気にするならそれなりのカメラを使うべきで、スマートフォンや普及型のコンデジはそれよりも機動力や手軽さ、利便性を生かした使い方をするものだから。
ついでに、スマートフォン対決ってことで1200万画素のiPhone XSと1600万画素のXperia XZ2 Premiumでも比べてみた。
Xperiaの方が画素数は多いけど、ちょっと青空にざらつきもあり、ディテールに不自然さもあり、スマートフォンは無理に画素数を上げなくていいんじゃないか、という結論に達しております。
業界的にも、ここ数年、1200万画素前後で落ち着いてるし。
●高級コンデジとマイクロフォーサーズ
さてこれらのもうワンランク上になると、高級コンデジになる。
高級コンデジのイメージセンサーは1インチ。
センサーの面積的には1インチセンサーを100とすると1/2.3インチセンサーはその1/4くらい。
1インチの上はマイクロフォーサーズ。これは4/3インチなので、1.333インチ。面積的には1インチの2倍近くだ。
1インチと4/3インチというと近そうだけど、面積の差はけっこうあるのだ。
この2つを比べてみたい。
1インチセンサー組からソニーの「RX10M4」。マイクロフォーサーズ組からパナソニックの「GX7MK3」。どちらも約2000万画素なのでほぼ対等の比較だ。
レンズ交換式カメラだと装着するレンズによってクオリティに差が出てくる。GX7MK3には比較的標準的なズームレンズ(12-60mm F3.5-5.6)を装着してある。
左がマイクロフォーサーズのGX7 MK3、右が1インチのRX10M4。
思ったより差は出なかったな。RX10M4が思ったより頑張ってると同時に、レンズの差のような気がする。
でもハイエンドレンズで比べるのも大人げないしな。
●マイクロフォーサーズとAPS-Cサイズ
m43の上となるとAPS-Cサイズ。センサーの面積は約1.7倍くらい。実はそれほど差は無い。
同じミラーレス機ってことで「EOS M5」に登場願った。「Kiss M」じゃないのは、Kiss Mでこれを撮った日はちょっと雲が出てて天候がよくなかったから。
EOS M5は約2400万画素と高画素な上に画角が28mm相当なので、GX7MK3の方も近い画角ってことで30mm相当の単焦点レンズ(15mm F1.7)をつけたものを採用。
思ったよりGX7 MK3がいい。
GX7MK3に装着した15mmの方が上のランクなのでその差がでたのかも。レンズは大事だ。
ガスタンクの色が違うのは微妙な天候の差やカメラの絵作りの違いってことで。
では次は同じAPS-C対決ってことで、EOS M5と富士フイルムの「X-T3」。
X-T3のイメージセンサーは「X-Trans CMOS」といってセンサー上のカラーフィルタ配列に違いがある。
で、明らかにX-T3の方がディテールまでちゃんと出てるし青空のざらつきも少ない。
同じAPS-Cサイズセンサーでもけっこう違うのである。
●APS-Cと35mmフルサイズ
ではフルサイズセンサーの登場。
Nikon Z 6と富士フイルムX-T3(APS-C)だ。
センサー面積でいうと、35mmフルサイズの方が2.3倍ほど大きい。けっこうな差である。
画角と画素数が違う(画角はZ 6の方が広い。画素数はX-T3の方がじゃっかん多い)ので等倍にするとX-T3の方が大きく見えるけどそれを加味して。
もう差はあまりないですな。X-T3がかなり頑張ってる感あり。
続いてフルサイズ対決。今回はα7同士で。「α7M3」と「α7RM3」。α7Rの方が画素数は多くて高精細だけど、レンズが違う(α7M3は28-70mm F3.5-5.6、α7RM3は24-105mm F4)ので条件は統一されてないけど、さすが、α7RM3はディテールに不自然さがまったくなくてえらいもんですわ。
最後はフルサイズセンサーよりでかいセンサーを持つ富士フイルムの「GFX」の登場。35mmフルサイズの約1.67倍の面積を持つセンサーだ。GFX 50Sに32-64mm F4を装着して撮影した。
いやあ、さすがGFX。アンテナのディテールまでしっかり捉えてる。これはすごい。高くて重いけど、でもクオリティはさすがだ。
というわけで、せっかくレビュー用に撮影した定点写真がたまってたので、スマートフォンから中判まで、代表的なカメラで比べてみた。同じ写真ばかりで申し訳ない。
まあ順当にみえるところもあり、実はそれほど差はないんじゃないかってところもあり、一概にはいえないのが面白いところなんだけど、カメラ選びの参考になりますれば。
