くら寿司動画炎上で考える、バイトテロが繰り返されてしまう理由

くら寿司動画炎上で考える、バイトテロが繰り返されてしまう理由

 ここ最近、また飲食店におけるアルバイトの炎上騒動が連鎖してしまっています。

 特に最も大きな話題になっているのが、くら寿司がアルバイトに対して法的措置をとると宣言したニュースでしょう。

 いきなりの訴訟というのは日本では珍しいと思われる方も多いかとは思いますが、くら寿司側は「全国で共に働く約3万3000人の従業員の信用回復」と「多発する飲食店での不適切行動とその様子を撮影したSNS投稿に対し、一石を投じるため」としています。

 このニュースに対しては、当然の処分という声もある一方で、くら寿司側の教育責任を問う声や、アルバイトの応募が減るのではと言う声もあり、様々な議論をよんでいるようです。

■アルバイトの炎上騒動はなぜ繰り返されるのか

 少しネットの騒動に詳しい人であれば、いわゆる「バイトテロ」や「バカッター」と呼ばれるこうした飲食店のアルバイトによる不衛生な行為のSNS投稿の騒動が、2013年頃に大きく注目されたことを記憶されている方も多いでしょう。

 そういう方からすると、当然今回の騒動を見て「なんでまた同じようなバカをするんだ」とか「バカな行為をするやつは結局減らないんだな」と思った方も少なくないのではないかと思います。

 今回のくら寿司のアルバイトへの訴訟も、同様の思いから「一石を投じるため」という表現がされているように感じます。

 実際にどれぐらいの規模の訴訟になるのかは分かりませんし、訴訟の結果がどうなるのかも今の段階では全く見えませんが、一部ではアルバイトの1度の悪ふざけで、一生返せないような賠償金を家族が抱えることになるのはどうなんだ、という声もあるようです。

参考:くら寿司のアルバイト従業員の不適切な動画が炎上 身元が特定され従業員は憔悴とも

 上記の報道によると、問題のアルバイトは、投稿後の反響に驚いてたったの3時間で動画を削除しているようです、明らかにこれは富士樹海騒動の時の確信犯ユーチューバー的な動画ではなく、友達との軽い悪ふざけが行き過ぎてしまった、ぐらいの気持ちなのでしょう。

 ここで気になるのが、なぜこうした騒動は繰り返されてしまうのか?という点だと思います。

■バイトテロが話題になる6つの背景

 2013年のバイトテロ騒動の時もそうでしたが、この手の炎上騒動は複雑な要素が組み合わさって大きな話題となっているのがポイントです。

 具体的に、問題の構造を分割してみましょう。

■1.元々、「バカな行為」は目に見えないレベルであった

 これは多くの有識者が指摘していることですが、残念ながら飲食店の裏側で、アルバイトが暇な時間に不適切な行為をしていたり、不衛生な行為をしている人は、ネット時代以前から存在していたはずです。

 私自身も20年以上前にファミレスや居酒屋チェーンでバイトしていたことがありますが、学生アルバイトが中心ですから、ごみ箱に入れて戻すほどの不衛生な行為は論外としても、似たような種類の悪ふざけを目撃したことはあります。

 飲食店以外の、友達の家での飲み会や、大学の部活の打ち上げなどでは、もっとひどいふざけた行為は良くあるはず。

 ただ、当時はそうしたバカな行為は、あくまでアルバイトの中だけの秘密であり、せいぜい店長や先輩店員、親に見つかって怒られる、のがせいぜいだったわけです。

■2.ネット投稿により「バカな行為」が可視化された

 それが、ソーシャルメディアの普及により、バカな行為は可視化されるようになりました。

 特に大きいのは、写真や動画による可視化の効果です。

 従来であれば、「友達のアルバイトがアイスの冷蔵庫に入ってた」とか「友達のアルバイトがごみ箱に切り身投げ入れてた」と文字で言われても、そもそも真偽のほどが分かりませんし、今回ほど炎上することはなかったでしょう。

 それが写真、そして動画になると話は全く変わります。

 問題のくら寿司の動画を見て「正直、くら寿司行きたくないよねぇ」と話している人がいましたが、ある意味動画には現行犯で犯罪行為を目撃するのと同じインパクトを動画閲覧者全員に与えてしまうわけで、その可視化効果は絶大なわけです。

 実は類似の不適切動画投稿による騒動は、今にはじまった話ではなく2007年にもありました。

参考:吉野家、「テラ豚丼」動画騒動で謝罪

■3.一部の人は「バカな行為」投稿を友達しか見ないと思い込んでいる

 炎上した動画を投稿した理由は、ケースによって様々に異なると思いますが、バイトテロ騒動における大抵の言い訳は「こんなことになると思っていなかった」です。

 ある意味テンプレの言い訳ではありますが、実際に今回の一連の騒動の動画の多くが、インスタグラムのストーリーズという24時間で消えるのが前提の機能を使って投稿されています。

 匿名だし、消えるし、友達しか見ないだろうし、というのが、この手の炎上で良くある思い込みのパターンです。

 インスタグラムのストーリーズの炎上では、先日ドルチェ&ガッバーナのデザイナーが過激発言で中国市場を失ってしまった事例がありますが、プライベートな場所だから大丈夫という思い込みが発生しやすい構造にあるとも言えます。

参考:一晩で中国市場を全て失ってしまったドルガバ炎上事件の衝撃

■4.一方で「バカな行為」は瞬時に拡散するようになった

 特にツイッターのユーザー増加と仕様変更によって、最近では明らかに面白写真や面白動画が、一瞬で大勢の人に拡散するようになっています。

 特に影響していると思われるのが、ツイッターのタイムラインが単純な時系列ではなく、「重要な新着ツイート」として、反応が大きい投稿が優先して表示されるようになっていることでしょう。

 これにより、ツイッターは他のSNSと比べても明らかに話題の拡散スピードが圧倒的に速くなっています。

 実際に、2013年のバイトテロ騒動の起点となったローソンの冷蔵庫写真も、もともとはFacebookに投稿したものがツイッター上で話題になって広がった、という面があるようですし、今回の一連の動画もインスタグラムにあげられていた動画が、ツイッターに投稿されたことで大きく拡散したようです。

参考:「コンビニのアイスケースに入ってみた」写真炎上でローソンが謝罪 

 上述のドルガバ炎上の際もインスタのメッセージのやり取りがキャプチャしてさらされましたが、メールやLINEのメッセージがさらされて炎上するケースも増えています。もはや友達限定でアップしたとかそういう背景は関係なく、不適切な行為、おバカな行為は、コピペされて簡単に拡散する時代になってしまっているのです。 

■5.「バカな行為」を大きく取り上げるメディアも増えた

 さらに影響が大きいのが、こうしたバカな行為をメディアが取り上げるタイミングが、数年前に比べると圧倒的に早くなっているという点です。

 火事の野次馬と同様に、通常のストレートニュースに比べると、炎上の話題というのは比較的ページビューが稼ぎやすい話題であると言われています。

 そのため、最近はネットメディアがツイッターで話題になっている投稿を元にすぐに記事化するというサイクルが早くなっています。

 特におバカ行為を投稿する若者にとって深刻なのが、マスメディアで大きく取り上げられることが多くなった点です。

 ツイッター炎上の黎明期の事例と言われる、ウエスティンホテルやアディダスの従業員の不適切投稿の炎上事件の頃は、それほどマスメディアでは大きく取り上げられていなかったと記憶しています。

参考:Twitterに有名人の来店情報を店員が投稿 ウェスティンホテルが謝罪

 当時は、ああいった騒動は文字が中心であり裏もとりにくい「ネットの話題」であったことが大きいでしょう。

 ただ、最近はテレビの情報番組の担当の方々はネットを起点に情報収集することが増えています。

 さらに騒動の起点が写真や動画だと、それ自身が証拠でもあり、テレビ番組映えもするため、大きく繰り返し報道されることが増えてしまいました。

 実際今回のくら寿司の動画も、アルバイトは3時間で削除したにもかかわらず、アーカイブした動画が発掘されテレビ局で繰り返し流されてしまっています。

 インターネット以前であれば、一つの飲食店でアルバイトによる不衛生な行為が目撃されたところで、多数の食中毒の被害者でも出ない限り、それがテレビのワイドショーで繰り返し報道されることなどありえませんでした。

 今回の騒動により、くら寿司は市場価値が20億円以上も下がったという報道もありましたが、一つのバイトのバカな行為が、証拠映像として大きく報道されることで、文字通り業績に悪影響を与える時代に入ってしまったわけです。

 「バイトテロ」と表現されているように、ある意味、一人の悪ふざけが企業の業績に大きな被害をもたらす時代に入ってしまったとも言えます。

■6.「バカな行為」が話題になると過去のものも遡られるようになった

 また、派生した影響として大きいのが、こうして騒動がテレビで話題になると、類似の行為の話題性が増すという点です。

 今回のくら寿司の騒動の前には、すき家のバイトの動画が問題になっていたので、くら寿司の動画は二つ目と言うことで注目を浴びやすい構造になっていた面はあると思います。

 さらにその後、今度はビックエコーの動画が問題になりましたが、実はこの動画は昨年12月にアップされたモノというのがポイントです。

 一つの騒動が話題になると、それに関連した話題に注目が集まるため、過去にあげられた動画が発掘されて注目されてしまいやすいわけです。

参考:ビッグエコー店員らしき人物の不適切動画が炎上 2カ月前に対応していた

 実際に2013年の炎上騒動の際にも、ローソンの冷蔵庫写真の後にメディアに取り上げられた多くのバイトテロ騒動が、実は過去の写真が掘り出されて炎上したモノでした。

参考:「なぜステマがネットで騒動になるのか」の講演資料を公開しました。

 今回も、複数の企業の動画が話題になっていますが、ビックエコーのように過去の動画が掘り起こされてしまうわけです。

 こうやって、問題の構造を分析すると、いわゆる一連のバイトテロ騒動は、1にあるもともと存在していた「バカな行為」が、4~6という簡単に炎上しやすい構造になった時代になっているにもかかわらず、それを知らずに昔と変わらないバカな行為を、平気で自分で動画という証拠の形で録画してしまう人達によって引き起こされていることが良く分かると思います。

■この問題を、バカなアルバイトの問題と切り捨てて良いのか

 実は、私自身は今回とほぼ同じような記事を2013年に書いています。

参考:コンビニや飲食店の冷蔵庫バカ写真炎上騒動が連鎖し続ける背景にある8つの要因 

 当時に比べると、この5年ほどで、明らかに炎上の話題度の振り幅やメディアの取り上げ方は大きくなり、バイトテロの企業にとってのリスクは大きくなりました。

 そういう意味で、個人的に最も問題だと感じているのは、若者を中心にそうしたおバカ行為のリスクについての教育が浸透していない点です。

 例えば今回のくら寿司のケースで言うと、該当のアルバイトは下記の5つのリスクの全てを理解していない、もしくは軽く見積もっていました。

■ゴミ箱に入れた食材をまな板に戻すような人行為は言語道断であること

■ふざけてやった行為でも人に迷惑をかける行為には罰があること

■ネット上の投稿は友人以外に拡散する可能性があること

■ネットに匿名で投稿しても本人が特定される可能性があること

■不適切な行為がネットで拡散したら、通常よりも大きな訴訟のリスクがあること

 実はこういった話は、アルバイトを採用した企業だけでなく、そもそも家庭や学校で教育しておくべき社会常識やネットリテラシーの基礎知識と言えます。

 もちろん、それを踏まえてでも犯罪行為や不適切な行為をする人はいるでしょうし、そういう人には厳しい罰則が必要な面は間違いなくあります。

 ただ、残念ながら現在の企業や学校、家庭では、今回のようなニュースが出てくれば出てくるほど、単純に学校でのスマホの利用を禁止し、SNSの利用を禁止する、という対応が中心になっている印象です。

 実はスマホやSNSを単純に禁止、とうたったところで、完全に個人の利用を禁止するのは無理。

 結局、なぜ禁止なのかという背景をちゃんと説明し、間違った使い方をしないように教育してあげないと、こっそり隠れて間違った使い方を覚えてしまうように思います。

 バイトテロと呼ばれるような問題を起こすアルバイトの多くが若い学生です。

 実は、そうした学生が上記の5つの項目の一つでも認識していれば、今回のような大きな騒動にならない程度の問題で済んだかもしれないわけです。 

 自分が若い学生だった頃にしでかしてしまったことを振り返ってみて。

 もし自分が今の時代に学生だったら、何かの拍子に今回の騒動を起こしたアルバイトと同じようなリスクをかかえていたかもしれない、と思う私のような人は、きっと少なくないはず。

 今後同様の騒動を起こして、人生を踏み外してしまう若者が増えないように。

 学校や、家庭、企業、そしてその話題を繰り返し取り上げるメディアや、その場を提供しているソーシャルメディアのプラットフォーム企業も含めて、様々な対策を考えなければいけない段階に入っていると感じます。

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くら寿司での“迷惑動画”巡り逮捕…21歳男に接見した弁護士「めちゃめちゃ不安そうだった」今の様子語る

 名古屋市中区のくら寿司での迷惑動画を巡り、男女3人が逮捕されました。このうち21歳の男に逮捕後に接見した弁護士が、男の様子を語りました。

 9日に送検された、住所不定・無職の吉野凌雅容疑者(21)。その姿は、髪が短く落ち着いた色になり、迷惑動画とは別人に見えるほど変わっていました。

 レーンを流れてくる寿司を手づかみし、醤油さしをそのまま口へ運ぶのは、金髪姿の吉野容疑者。

 警察によりますと2月3日の夜、名古屋市中区の「くら寿司」で、醤油さしの注ぎ口を直接口に含むなどする動画を撮影したうえSNSに投稿し、店の業務を妨害した疑いで、8日に逮捕されました。

 今回の事件で逮捕されたのは、吉野容疑者を含め男女3人です。このうち動画を撮影するなどしたとみられる19歳の男は、2日後の2月5日に逮捕されました。吉野容疑者と、現場に同席していた交際相手で自称15歳の少女は、8日まで1カ月ほど行方をくらませていたということです。

吉野容疑者を知る男性:

「(吉野容疑者は)東京に行ったり大阪に行ったりして、『トー横』界隈、『グリ下』界隈とかに行って、警察から隠れる場所を探していたんじゃないですかね。結局最後にいたのは、知り合いの情報だと、広島の方にアジトを作ってそこで生活していたらしいですけど」

 警察によると3人は、名古屋の繁華街に集まるいわゆる「ドン横キッズ」だったとみられています。

田村健一弁護士:

「彼と出会ったのは、腹が減っていたので一緒に飯食いに行きましたね。たぶん1年前ぐらいだと思う」

 そう話すのは、大阪を中心に活動する田村健一弁護士です。吉野容疑者と大阪の『グリ下』に集まる少年らを支援している中で知り合い、今回逮捕後に本人から弁護を依頼されたといいます。

田村弁護士:

「まず最初はめちゃくちゃ不安そうだった。表面上の悪かったという反省のところから、1歩1歩その反省をもっとイメージを膨らませて。その中で彼の中ではここが反省するきっかけになるなと、そう感じたので」

 吉野容疑者は迷惑動画が炎上したあと謝罪動画もアップしていましたが…。

<謝罪動画の吉野容疑者>

「この度は、お寿司を乱暴に扱ってすみませんでした。深く反省してます」

 笑いをこらえながら謝っているようにも見えます。

田村弁護士:

「照れくささも絶対にあるんです。自分の承認欲求を満たしたいがために、ちょっと行き過ぎてしまう」

 捜査関係者によりますと、容疑を概ね認めたうえで、次のように供述しているといいます。

<吉野容疑者>

「くら寿司には迷惑をかけ申し訳ない。注ぎ口に直接口は当たっていない」

 逮捕を受け、くら寿司は「迷惑行為が『犯罪』であるということが広く世の中に認知され、今後模倣犯がなくなることを切に願います」とコメントしています。

「反省してまーす」くら寿司迷惑動画の男が金髪から一変 弁護士ら語る「ただごみくん」と呼ばれた“ドン横キッズ”の素顔と逮捕後

名古屋市のくら寿司での迷惑行為。逮捕された男の素顔を接見した弁護士に聞いた。

迷惑動画の男 黒髪に見た目一変

3月9日朝、どこかうつろな目つきで警察署を出る男。

威力業務妨害の疑いで逮捕された吉野凌雅(21)容疑者だ。

警察署から出てきた吉野容疑者は、動画とは違い黒髪交じり。その風貌は、問題の迷惑動画に映る姿からは大きく変わっていた。

約1カ月前、名古屋市にあるくら寿司の店内で、回転レーン上に流れる寿司を手づかみで取り、口に入れる。

さらに、醤油差しに直接口をつけ、醤油を口に含んだ動画をSNSに投稿していた。

動画は拡散され炎上。

くら寿司側が、警察に被害届を提出したことで、吉野容疑者は、一緒にいた19歳男と自称15歳の少女とともに逮捕された。

一連の動画では、長めの金髪姿で終始笑みを浮かべ、メイクも施しているように見える吉野容疑者だったが…

しかし、3月9日の姿は、髪は黒く青白い顔で、やや憔悴しているようにも見える。

吉野容疑者:

くら寿司には迷惑をかけ申し訳ない

などと話しているという。

住所不定無職の吉野容疑者。その暮らしぶりを知る人はこう話す。

吉野容疑者の知人:

“ただごみくん”とか“ただごみさん”とか呼ばれていて、働いていないと思います。お金ないなってなったときにホストの体験(入店)行ってたり、5000円から1万円ぐらいもらえるので…

そして、迷惑動画を投稿したことについては、“深く考えていなかったのでは”とも語った。

吉野容疑者の知人:

多分もうノリでやろうよみたいな、炎上して(SNSの)フォロワー増やそうよみたいな、ただ単に調子に乗ってやったら大ごとになっちゃった。多分東京行ったり、大阪行ったりして、逃げ場所、警察から隠れる場所を探していたんじゃないですか

“ドン横”で活動 逮捕後は変化

FNNは、そんな吉野容疑者本人に接見した弁護士に話を聞くことができた。

吉野容疑者に接見した・田村健一弁護士:

最初目が合わないし、言葉数っていうのも最初は少なかった。うつむき加減でずっと話していましたね。いつもは派手なメイクをしてて、(今回)すっぴんで見るので、まず印象が違う。実はね(吉野容疑者に)会ったことがあるんです

吉野容疑者と知り合いだったという田村弁護士。

田村弁護士は、東京の通称“トー横”、大阪の“グリ下”、そして名古屋の“ドン横”と呼ばれる場所などにたむろする、未成年の若者らの支援活動を行っている。

ドン横に出入りしていた吉野容疑者は、逮捕後、警察を通じて田村弁護士に連絡を取ったという。

吉野容疑者(ツイッターより):

このたびは、うーんと、寿司を乱暴に扱ってすみませんでした。深く反省してまーす!

笑いをかみ殺しているようにもみえる反省の態度について、逮捕後は変化したと田村弁護士は語る。

田村健一弁護士:

表面上の悪かったっていう反省のところから一歩一歩、その反省をもっとイメージを膨らませて、その中で彼の中では、ここは彼が(本当に)反省するきっかけになるな、そう感じた

捜査関係者によると、吉野容疑者はおおむね容疑を認める一方で、「注ぎ口に直接口は当たっていない」とも供述していて、警察でさらに詳しい経緯を調べている。

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「攻めれば人気者に」くら寿司で醤油さしを口元へ…“迷惑動画”巡り逮捕・起訴 保釈後に男が明かした後悔

 2023年2月、名古屋市中区にある回転寿司チェーン「くら寿司」の店舗で「迷惑行為」を撮影してSNSに投稿し、21歳の男が逮捕・起訴されました。NEWSONEでは4月21日、身柄を保釈されたばかりの被告に取材し、迷惑行為に及んだ理由や、現在の心境などを聞きました。

■保釈直後の第一声「本当に、本当に、本当に…」迷惑動画投稿し逮捕・起訴された男

 2023年4月21日の金曜日、愛知県警中署。第一声は、「謝罪」でした。

吉野凌雅被告:

「ご迷惑をかけて本当にすみませんでした。本当に二度としないので、本当にもうまじめな環境に身をおいて、本当にもう反省してるので、本当に申し訳ございませんでした」

“本当に”と何度も何度も連呼する、吉野凌雅(よしの・りょうが)被告(21)。

「反省」を語る理由は、大きな代償を払った行動からです。呆れと非難の声が巻き起こった、15秒間の動画。

2023年2月、名古屋中区栄の回転ずしチェーン「くら寿司」の店内で、醤油さしを口元まで運んでいるのが、金髪だった吉野被告でした。動画は瞬く間にSNSで拡散し炎上。事態を重く見た店側は、被害届を提出しました。

吉野被告を待っていたのは「威力業務妨害」容疑での逮捕・起訴でした。

逮捕から45日経った4月21日、保釈保証金150万円を納付し保釈。

起訴されているため法の裁きを待つ身ですが、吉野被告は保釈された当日の同行取材を受けました。

■「ご迷惑をおかけした分返済していく」…保釈直後に事件を起こした店に謝罪へ

 保釈後、弁護士とともに最初に向かったのは、事件を起こしたくら寿司の店舗です。

野被告:

「まず真っ先に出てきたら、弁護士さんと話したんですけど、ご迷惑をおかけしたくら寿司さんに、反省文を渡しに行こうと思っていました」

Q.内容は?

吉野被告:

「このようなことはしないっていう反省と、もう自分は…今回はほんとに流されやすい性格が原因だということと、ちゃんと仕事をしてご迷惑をおかけした分返済していくということです」

吉野被告(SNSの動画)

「この度は、寿司を乱暴に扱ってすみませんでした」

問題の動画を撮影した頃、吉野被告はSNSに「謝罪」とした動画をアップしていましたが、決して誠意を感じるものではありませんでした。

くら寿司に入店後、5分ほどで吉野被告が店を出てきました。反省文はエリアマネージャーと店長に渡したといいます。

Q.何を言われましたか?

吉野被告:

「謝罪したってことは、責任をもって本社の方に伝えてくれると言っていました」

Q.相手の表情は?

吉野被告:

「真剣でした」

Q.真剣に話は聞いてくれましたか?

吉野被告:

「はい。本当にとんでもないことをしてしまった本人なのに、その本人に貴重な時間を割いていていただいて、作っていただいて本当に感謝しかないです」

吉野被告を弁護する田村健一弁護士:

「ほんまにこれからです。反省の気持ちを伝えていくのは、今日が始まりと思っています」

迷惑をかけた店には、この日も多くの客が「食事のために」足を運んでいました。

■“その場のノリ”に押し寄せた「称賛と非難」は逮捕への焦りへ

 その数時間後、吉野被告が降り立ったのは、大阪の街です。

吉野被告:

「グリ下来たのは3~4か月ぶりですね。集まってそこでお酒飲んだりタバコ吸ったりとか、コールして回し飲み」

大阪の「グリ下」、名古屋の「ドン横」など、居場所を求める若者が集まる繁華街の一角に通っていたという吉野被告。

問題の動画も、そんな生活を送っていた時に撮影したといいます。同じ時期、SNSには悪質な迷惑行為が次々と出回っていました。

吉野被告:

「面白半分というか、そういうので撮ってみたら人気になれるんじゃないかって感じですね。本当にそれだけの理由で…ここまで大きくなると思っていなかったんで」

田村弁護士:

「その場の空気ってこと?」

吉野被告:

「その場の空気ですね。その場のノリというか。炎上したんですよね。知り合いには『すごい』みたいな『おもしろい』みたいな感じでありましたけど、他の人は『汚い』とか『迷惑してる』とか、コメントたくさん来ていしたね」

Q.そういうコメントを見てどう思いましたか?

吉野被告:

「捕まるかもしれないっていう焦りですね、逮捕怖かったんで。スシローで炎上してるみたいにやっちゃったんで」

Q.漠然と逮捕されるかもという?

吉野被告:

「そうですね、やばいという気持ちが本当にありましたね」

その場のノリの後押し寄せた「称賛」と「批判」。頭によぎったのは、逮捕への焦り。その焦りは逮捕後、反省と後悔に形を変えました。

Q.逮捕後考えていたことは?

吉野被告:

「本当に反省したというか、親とかにごめんなさいという気持ち、申し訳ないという気持ち。あとはなんでこんなことしたんだろうって後悔しましたね。あの時、寿司屋行かなければよかった、とか」

その後悔とは「あの時店に行かなければ」。

■「自分で職業選択の自由を奪った」社会復帰支援する企業からも厳しい言葉

 大阪に来た目的は、元受刑者らを雇用し、社会復帰を支援する企業との面談のためです。

裁判を控えた吉野被告のケースは異例ですが、弁護士のはからいで串かつチェーンの会長と建設会社の社長が、手を差し伸べようとしていました。

串かつだるまの上山勝也(うえやま・かつや)会長:

「まぁ君はそこまでこんなんなるとは思ってなかったと思うわ、実際はな。ちょっとほとぼり冷めるまで、飲食店では雇いにくいかな。あなたのやったことは、自分で『職業選択の自由』を奪ったわけですよ」

カンサイ建装工業の草刈健太郎(くさかり・けんたろう)社長:

「自分のやったことで、誰か生活無くなっている可能性もあるということをね、考えなあかん。やったことは悪いんやから、自分自身見つめ直して、どうやってやっていくのか考えてほしい。いい目しとる」

吉野被告:

「自分は働きたいんで。環境さえ自分の中に取り込めて、ちゃんとおかしな環境に行かなかったら大丈夫だと思うので」

■あえて聞いた「迷惑動画をあげようとする人に思うこと」

 逮捕のきっかけとなった「動画」を、改めて自分の目で振り返ってもらいました。

吉野被告:

「目立ちたかったってことですね。(先に炎上した)スシローの(動画の)影響があったっていうのはあります。湯呑舐めたりだったんですけど、“自分は口につけていないので”、口につけなければ言い訳がたつと思って、際どいところを攻めれば知名度も上がって人気者になって、あと面白いと思ったので」

醤油さしに「直接口は当たっていない」。逮捕後から続けている、吉野被告の言い分です。あえて、吉野被告に聞いてみました。

Q.迷惑動画をSNSに上げようとしている人に思うことは

吉野被告:

「本当にやめた方がいいと思います。どれだけ被害を与えるとか、考えた方がいいと思います」

Q.被害を与えるから上げない方がいいのか

吉野被告:

「それもありますし、そういうことをして楽しく…楽しさを求めるのも間違っていると思います。最初は謝ったら許してもえると思ったけど違って。いろんな刑事さんとかの話とか聞いていく中で、大きくなっていることを実感しましたし、これじゃダメって思ったし。反省して今後に生かしていこうと思っているので」

吉野被告からの謝罪文の取り扱いについて、くら寿司側は24日午後5時時点では「担当者が不在のためお答えしかねます」とコメントしています。

吉野被告の初公判は、5月31日。

犯した罪が裁かれるのは、これからです。

2023年4月24日放送

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「くら寿司」迷惑動画 21歳被告に執行猶予付き判決 名古屋地裁

 回転ずしチェーン「くら寿司」の店内で撮影した迷惑動画を投稿したとして、威力業務妨害罪などに問われた兵庫県尼崎市の会社員、吉野凌雅被告(21)に、名古屋地裁(大村陽一裁判長)は13日、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役3年)の有罪判決を言い渡した。

 起訴状などによると、今年2月、名古屋市中区のくら寿司店舗で、しょうゆ差しに直接口を付けて飲んだかのような様子を撮影し、SNS(ネット交流サービス)に投稿。店側にクレーム対応などを余儀なくさせたとされる。

 吉野被告は7月の初公判で「(間違っている点は)何もないです」と起訴内容を認めていた。検察側は冒頭陳述で、各地の飲食店で撮影された迷惑動画がSNSで拡散されていたことに便乗して、友人からの受けを狙おうと考えたと指摘した。

「くら寿司」迷惑動画で有罪判決の男、売春させながら少女を連れ回した営利誘拐罪も認定

 名古屋市中区の回転すし店「くら寿司(ずし)名古屋栄店」で2月、しょうゆ差しの注ぎ口に口をつけて飲むような様子の動画を撮影してSNSに投稿したとして、威力業務妨害罪などに問われた兵庫県尼崎市、会社員の男(21)に対し、名古屋地裁(大村陽一裁判長)は13日、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役3年)の判決を言い渡した。

 男は同罪のほか、昨年12月~今年3月に少女(当時15歳)に売春をさせながら、愛知県や福岡県などを連れ回した営利誘拐罪にも問われ、いずれも有罪と認定された

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