「まさか」の後継機、パナソニック「LX100 II」の実力は?
いやあ、まさかの「LX100 II」(DC-LX100M2)登場ですよ。びっくり。
思わず、前モデルの「LX100」がいつ発売されたか調べたら、なんと2014年の11月。そのときITmediaに書いたレビューがこちら。
あれから4年。
マイクロフォーサーズ用イメージセンサーを使ったハイエンドコンデジのLX100は、画質とクラシカルな操作系で注目を浴びたが、結局ハイエンドコンデジの主流は1型センサーになり、LX100はそのまま後継機なしで終わるかなと思っていた矢先だったのである。
あれから4年。
とうとう出ました。LX100 II。LX100からデザインは大幅に……全然変わってない。びっくりするほど変わってない。「LX100II」ってロゴがなければ区別が難しいくらい。
ソニーのRX100系やリコーのGRのような変わらない安心感的テイストを狙ってるのかも。
もちろん中身は新しい。イメージセンサーも新しくなって、画質はぐっとよくなった。その辺はさすが4年の月日だ。
前モデルで未搭載だったタッチパネルも付いてくれた。
●マイクロフォーサーズセンサーでマルチアスペクト!
LX100の一番の特徴は画質。マイクロフォーサーズ(4/3だから、1.25インチ)というハイエンドコンデジとしては大きめのセンサーを搭載。
LX100は1600万画素のセンサーだったが、LX100 IIは2000万画素のセンサーに進化。スペックから見るに、同社のミラーレス一眼「GX7 Mark III」と同じセンサーじゃないかと思う。
GX7 Mark IIIと違うのは有効画素数。
かたや2030万画素に対し、LX100 IIは1700万画素。周辺部約300万画素分を使ってないわけで、そうすることでレンズも少しコンパクトにできる。
周辺部を使ってないとはいえ、1インチセンサーよりは大きな面積を使ってるわけで、画質は1インチセンサー機より上。マイクロフォーサーズ機と同じ(ただしちょっと画素数が少ない)と思えばOk。
面白いのは、それをうまく使って「マルチアスペクト」を実現していること。
レンズ部の根本に専用のスイッチが用意されているくらいこれは重要な機能。
センサー自体は4:3だが、3:2や16:9にしても画角はほぼ変わらない。これがなかなか良いのである。
4:2の24mm相当と3:2の24mm相当ではやはり違うから。
具体的に縦横の画像サイズでみるとこんな感じ。
例えば16:9にすると横方向の画素が増え、縦方向が減るのが分かる。1:1のときは4:3の左右をトリミングしただけのようだ。
撮影した写真で見るとこんな感じ。
正方形時は4:3の左右をカットしただけなので画角は狭くなるけど、それ以外は「ほぼ変わらない」のだ。厳密にいえば4:3のとき一番広くはなるけれども。
ちなみに、4:3はスマホや普及型のコンデジ、そしてマイクロフォーサーズのセンサーで使われているアスペクト比。HD以前のテレビやCRT時代のパソコンで使われていた比率をひきずってるといえばひきずってる。
3:2は35mmフィルムで使われていた比率で、そのままデジタル一眼レフにも受け継がれ、さらに1インチセンサーのハイエンドコンデジもこの比率を採用している。16:9はHD動画と同じ比率。
必要に応じてどれを使ってもいいわけだが、個人的には横位置だと3:2が、縦位置だと4:3(縦だから3:4か)がしっくりくるかなあという感じ。
せっかくなので、ガスタンクの4:3バージョンを最初の作例として。もうちょっと解像感がほしいかなという感じはあるけど。
望遠端だとこんな感じ。3.1倍ズーム(24-70mm相当ではなく、75mm相当と望遠側を僅かに伸ばしてるのがミソか)。
続いて16:9の典型的な感じの例を。
2018年夏に就航したばかりの新しい水上バス「エメラルダス」。もちろんプロデュースは松本零士さん。たまたま目の前に居たので撮ってみた。
今回、ここ以外の作例は3:2のものになります。ご了承を。
レンズは24-75mm相当の3.1倍ズームででF1.7-2.8。LEICAのVario-Summilux。かなり明るい。
イマドキ珍しいのはマクロモードがあること。
通常のAFだと撮影最短距離は50センチだが、マクロにすると広角端で3センチまで寄れる。普段は「AFマクロ」モードにしておけばいい。今はシームレスマクロが主流だが、コントラスト検出AFを採用していることもあり、非マクロのAFモードにすると近くを無視できる分、AF速度を上げられるのだろう。
ちなみに、撮影最短距離は28mm相当だと5センチ、35mm相当だと10センチ、43mm相当より上は30センチとなる。
望遠端でも30センチまで寄れるから料理を撮るときも問題ない。
シャッタースピードは最高で1/4000秒。ただし、F1.7から4.0までは1/2000秒止まりとなる。電子シャッターを使うと1/16000秒まで上げられるので、メカシャッターと電子シャッターを自動切り替えにしておくといいだろう。晴天下の屋外で絞り開放で撮ろうとすると、基本ISO感度が200ということもあってシャッタースピードが足りないから。
ISO感度はISO200から25600。
コンパクト機としてはなかなかのクオリティー。1型センサーのハイエンドコンデジより1段分高感度に強いと思って良さそうだ。
ISO6400で夜の住宅街猫を撮影。
●タッチパネルで使い勝手はぐっと良くなった
使い勝手をみていこう。
LX100 IIはLX100と同様、左肩にファインダーを搭載したハイエンドコンパクト。ファインダー内の液晶パネルは16:9のアスペクト比で大きくて見やすい。ハイエンドのミラーレス機ほどではないが十分な実用性だ。少なくともTX2のものよりは遥かに良い。
背面モニターは3型でアスペクト比は3:2でタッチパネル付きだ。ほとんどのメニューでタッチパネルを使え、タッチパネルを生かすための「タッチタブ」も使える。
前モデルのLX100で不満だったのは、任意の被写体にフォーカスを合わせたいときのAF枠の移動。ちょっと操作が面倒だった。
LX100 IIはタッチAFやタッチパッドAFに対応したことで、AFそれが格段に楽になった。
こういう写真のときは、フォーカスをどこに合わせるかで雰囲気が大きく変わるから。
ファインダーを覗いたまま親指を背面モニター上で動かせばさっとAF枠を移動できる。
背面モニターはLX100と同じく固定式だ。
それ以外の操作はLX100とほぼ同じと思っていい。何しろ見た目からこうなのだ。
違うのは「LX100 II」のロゴと、FILTERボタンがFn1ボタンになったくらい。
ただ、ボディ上のボタンの数は同じだが、FILTERがFn1になったように、カスタマイズできるボタンが増えた。これは良い。
撮影モードダイヤルはなく、絞り値とシャッタースピードと露出補正の組み合わせで撮影モードが決まる。慣れてしまうと、撮影モードダイヤルなんてなくてもいいじゃん、という気になる。
ISO感度は残念ながら専用ダイヤルなし。「↑」キーを押して背面のコントロールダイヤルを回す。まあLX100と同じだ。
残念なのは、電子ダイヤルが背面のコントロールダイヤルとレンズ部のコントロールリングだけなこと。1つはグリップから手を動かさずに回せる背面か前面の電子ダイヤルがほしかったと思う。
とっさの瞬間、でも細かい設定をしてる時間はないときや、気楽にカメラ任せで撮りたいときは「iA」ボタンを押せばいい。これは便利だ。
iAモードではシーン自動認識が働き、人を見つけるとポートレートモードになる。
顔認識は瞳検出付きだ。
料理と認識されると料理モードとなる。
操作系やボディのデザインは同じでも中身はもちろん2018年モデルなので新しくなっており、フォーカスセレクト撮影や4Kフォトで撮った写真を合成する軌跡合成は入っているし、もちろん4K動画にも対応しているし、スマートフォンとの連携もBluetooth+Wi-Fiで快適になったし、USB充電にも対応している。
見た目がLX100と同じなだけで、機能的にはちゃんと4年分の進化もしているし、画質もワンランク上だ。
こういう昔ながらのメカっぽい操作+ファインダーを覗いての撮影が落ち着く人に超お勧め。アスペクト比は3:2に固定しちゃってもいいかと思う。
首からぶら下げて歩きつつスナップを撮るのに最高のコンパクト機かも。