そのDNA、生きてます。歴史に名を残すべき名機なデジカメ10台、世界最初期のQuickTake 100(Apple 1994年)

そのDNA、生きてます。歴史に名を残すべき名機なデジカメ10台

なかには迷機もあるんだけど。

デジカメの歴史を俯瞰してみると、オールウェイズ過渡期。エントリーモデルがハイエンドモデルの性能を追い抜く下剋上が常に起こりうる諸行無常な世の中ゆえに、今まで様々なモデルが生まれ勝ち抜き、同時にシリーズが続かずに消えていったモデルも多数あります。

しかし、時代の移り変わりとともに消えていったデジカメのなかには、現在のデジカメ文化を支える機能&性能の芽があったのです。「これって普通の機能でしょ?」と思えるスペック1つ1つに歴史があるのです。

今日はそんなデジカメの歴史を振り返ってみましょう。もしかしたら、あなたが過去に愛用していた1台があるかもしれませんよ。

世界最初期のコンシューマー用カラーデジカメ・QuickTake 100(Apple 1994年)

こういう企画であるなら真っ先にとりあげるべきコイツは、アップルがリリースしたデジカメ黎明期のコンシューマー用デジカメかつ、アップルの黒歴史にボールド体で刻まれる1機。まー、売れませんでした。でも6~7万円でデジカメが買えるとあって、コイツに未来を感じた人は多かったはず。中身はコダックで作りはタフ。

当時としては高精細な35万画素(なおiPhone XSのメインカメラは1200万画素×2つ)。フラッシュを内蔵しており、室内でも撮影できました。独特の塗り絵感はありますが、これはこれでアートな雰囲気も。ネットオークションで見かけたら、漢字Talk 7とかMac OS 8が動くオールドマックといっしょに落札しておきましょ。

自撮り文化の礎となった・QV-10(カシオ 1995年)

デジカメ歴史論で必ず登場するのがカシオのQV-10。Windows95が登場したこの年は他にもリコー・DC1などのモデルがありましたが、売れまくったのはQV-10でした。なぜか? 液晶モニターがついていて、撮影後に画像を確認できたからなんです。

さらにはレンズ部が回転して液晶モニターを見ながら撮影ができる、今で言うセルフィーもOKな回転ボディ仕様。フィルムカメラではありえない、デジカメだからこそのアーキテクチャ。以後、メーカーの垣根を超えてこの回転レンズ式コンデジが流行りましたっけ。

撮影画像を即座にメールできる・RDC-i700(リコー 2000年)

カメラ付き携帯電話J-SH04(2001年)より前に、通信機能をもったデジカメが登場していたのでした。デジカメが携帯電話側に、携帯電話がデジカメ側に寄り添おうとしていた当時のトレンドを強く感じさせる一幕です。

別途PCカードスロット用の通信カードが必要だったとはいえ、画像を添付したメールの送信、HTML作成機能にFTPアップロード、ブラウザ機能まで積んでます。大柄のわがままボディになってしまいましたが、来たる写メール時代を占うモデルでした。

デザイナーズデジカメという領域・FinePix 4800Z(富士フィルム 2001年)

僕らがガジェットを手にするとき、性能機能だけではなくデザインも重要視していますよね。色あせない魅力を持つ外装ってだけでワクワクしちゃうもの。当時、FinePix 4800Zを見た誰もがその湧き上がる想いを体験したはずです。

レンズカバーに記されているのは「DESIGN BY F.A.PORSCHE」の文字列。そうなんです。コイツはポルシェデザインモデルなんです。スッキリとした縦型ボディはグリップしやすく、ファインダーも覗きやすい。ルックスだけではなく、実用性にも富んでいるところにデザインのチカラ、ありますよね。

ボディ内手ぶれ補正の先駆け・α-7 DIGITAL(コニカミノルタ 2004年)

一眼デジカメにおいて、センサーシフト型(センサーを移動させる方式)のボディ内手ぶれ補正機能がトレンドとなって何年経つでしょうか。望遠レンズと合わせるならレンズシフト式のほうがいいんですが、だったらボディ側とレンズ側、両方でもっと効率よく補正しましょうよというオリンパス、パナソニックの補正力ったらハンパないし。やっぱりボディ側の補正力ほしいほしい。

歴史を紐解くと、この分野はミノルタが先陣を切っていました。2003年にコンデジのDiMAGE A1で実用化、コニカミノルタになってからのα-7 DIGITALで一眼デジカメにも導入。ここから躍進するか!と思いきや2006年にはαシステムをソニーに売却となったのでした。諸行無常だなあ。

高級コンデジの名シリーズ・GR Digital(リコー 2005年)

90年代後半、フィルムカメラの分野で高級コンパクトカメラのブームがありました。そこからCONTAX Tvs DIGITAL(2003年)を経て、2005年に登場したのがリコーのGR Digital。あえての単焦点レンズを採用し、ピント面のシャープさと豊かなボケを両立。その美しさ、昼間の撮影ならばいまなお現役イケます。

マニアックな仕様ゆえに、特定の人にのみ深々と串刺しなデジカメ。GR Digital II(2007年)以降もシリーズは続き、2019年には新型のGR IIIが登場予定。他にもシグマdp1 Quattro(2014年)、ソニーRX1RII(2016年)、ライカQ(2016年)、富士フイルムX100F(2017年)など、さりげなく豊漁なんですこのジャンル。

古めかしさを感じる写りにうっとり・Xiaostyle(トミー 2005年)

レスポンスは遅いし画質はアレだし電池も切れやすい。普通のデジカメとして見ると、切なさでいっぱい。しかし誰かが「これ、LOMOっぽくない? エモくない?」と言ったことからコアな世界で人気大爆発。トイデジカメブームを作った伝説の1台となりました。

それからもVista QuestのVQシリーズ(2006年)や、SuperHeadzのデジタルハリネズミ(2009年)などの名機?迷機?が登場。スマホの写真アプリで似たようなエフェクトが増えまくってからは影を潜めるようになりましたが、一過性とはいえインパクトのあるブームとなったんですよね。

ちっっっっっちゃ!すごくちっちゃい!・DMC-GM1(パナソニック 2013年)

モニターを持たないレンズスタイルカメラ系や、センサーユニット別体型のGXRをのぞくと、小さくて軽い一眼デジカメってPENTAX Qシリーズ(2011年)やNikon 1シリーズ(2011年)だったんですよね。そこに登場したのがパナソニックのGMシリーズですよ。マイクロフォーサーズのセンサーでこのサイズ、いけちゃうの!?

DMC-GM1の重量はたったの173g。ファインダーを搭載したDMC-GM5だって180gに抑えています。ISO3200がギリ常用できるポテンシャルを持っていますし、サイレントな電子シャッターもありますし、こちらもまた現役で使えるボディ。パンケーキなLUMIX G 14mm/F2.5をつけて散歩してみませんか。

暗闇だって見渡せます・α7S(ソニー 2014年)

フルサイズセンサーなのにたったの1220万画素。今どきのスマートフォン級の解像度ですよね。でもその組み合わせは、圧倒的な高感度性能に表れるのです。設定上はISO409600までイケるという。事実ISO102400くらいなら常用できるという。夜景を夜景と思わせない明るい写真に誰もが驚いたものです。

ダイナミックレンジの広さも格別で、白や黒のグラデーションの表現力が抜群。動画撮影時のポテンシャルも極めて高く、キヤノン&パナソニックが強かったプロの現場にもソニーの一眼カメラが導入されるキッカケとなりました。

天体望遠鏡代わりにつかってもよし・COOLPIX P900(ニコン 2015年)

僕の記憶が確かであれば、ネオ一眼なコンデジで超高倍率なズームレンズを載せてきたのは、光学12倍のパナソニックのLUMIX DMC-FZ1(2002年)が初だったはず。いままで撮れなかったものが撮れるようになる望遠マスターなデジカメは一定層のユーザーからの支持を得ていて、時代が移り変わっても人気モデルが登場しています。

近年のエポックメイキング機はニコンCOOLPIX P900ですよね。光学83倍ズームでフルサイズ換算2000mmの画角までズームインできちゃうコイツ。月の撮影はお手の物だし、土星だって狙えちゃう天体望遠鏡級のポテンシャル。新型のP1000は光学135倍の3000mm級で、いったいどこまで高みを目指すというのでしょうかニコンったら。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏