キャベツの葉で熱冷まし…問われる民間療法の科学的根拠

キャベツの葉で熱冷まし…問われる民間療法の科学的根拠

 キャベツの葉で熱が下がる-とする民間療法を育児関連情報サイトが紹介したところ、ネット上で疑問の声が噴出。運営会社が記事を削除のうえ、謝罪する騒ぎとなった。民間療法の中には科学的根拠が不明のものも少なくない。専門家は「内容を見極めて」と呼びかけている。

熱が下がるわけがない

 騒ぎとなったのは、同サイトが平成26年10月17日に公開した「もう試した?熱冷ましの新常識『キャベツ枕』の驚くべき効果」と題した記事で、枕のように敷いた生のキャベツで頭を包むようにして乳幼児を寝かせると「キャベツの陰性(アルカリ性)が熱の陽性(酸化している血液)を中和し、熱がグングンと下がる」などと記載。

 同サイトは医師が記事の監修を行い事実確認を徹底することをうたっていたが、短文投稿サイト「ツイッター」で「キャベツで熱が下がるわけがない」「ぬれタオルの方が衛生的」など記事への批判が高まった。

 編集部は今年10月16日、「キャベツを利用した熱冷ましは、あくまでも民間療法であり解熱等との関連性はなく、これらの民間療法について効果が科学的に立証されていない」などとする「お詫びと訂正」を掲載、記事を削除した。

実はあったキャベツ論文

 民間療法は医学界ではなく民間で伝承される健康法や病気の治療法のことだが、最近はその科学的根拠が問われることも多い。

 キャベツの葉については、授乳期の乳腺炎の痛みの改善に効果があるかどうかを科学的に検証した論文がある。

 論文によれば、冷却用ゲルパック▽常温のキャベツの葉▽冷やしたキャベツの葉-を、それぞれ乳腺炎の乳房に貼り、前後で痛みを調べたところ、いずれでも痛みは改善された。

 論文は、「エビデンス(科学的根拠)は不足している」としながらも、冷却用ゲルパック同様「キャベツの葉は苦痛を軽減する可能性」があるとした。

 この論文は、科学的根拠に基づいた医療情報の提供を目的とした国際的非営利団体「コクラン」が紹介しており信頼性の高い情報といえる。

 「キャベツ枕」の熱冷まし効果を肯定するものではないが、キャベツの葉には冷却用ゲルパックに似たなんらかの効果はあるといえそうだ。

だからといって

 「体温より温度が低い物なら、どんな物でも体を冷やす効果はある」と指摘するのは、法政大の左巻健男(さまき・たけお)教授(理科教育)だ。科学を装ったあやしい情報に警鐘を鳴らしている。

 冷蔵庫の野菜室の温度は2~8度。そこに入れたキャベツの温度は体温よりは低い。体に当てれば、最初はヒンヤリと感じるかもしれない。しかし、キャベツの温度はあっという間に上がる。冷却効果を得ようとするなら、頻繁にキャベツを替えなくてはならない。

 左巻教授は「高熱が出たときには、氷水を使った方がい」という。氷水は氷が溶けるまで水の温度は0度のままで、キャベツに比べれば冷却効果が長続きすることが期待できる。

 「氷や冷たいぬれタオルが簡単に手に入る今の時代にキャベツを使うのはナンセンス」

 きれいにみえても生のキャベツは細菌に汚染されているかもしれず、温度が上がれば菌は増殖する。

 「増えた菌が口に入るかもしれないだけに、高熱の赤ちゃんに使うのは勧められない」と左巻教授は警告する。

正しい判断必要

 また、民間療法については、保護者が必要な薬を飲ませなかったり、治療を受けさせなかったりして赤ちゃんが死亡した事例が国内外で報告されている。

 食や健康に関する消費者のリテラシー(情報活用能力)教育に取り組むリテラジャパンの西澤真理子代表は「民間療法もさまざまだが、インターネット上には科学的根拠が不明の民間療法を勧めるサイトやブログが少なくない。命にかかわることだけに、うのみにせず、かかりつけ医や行政の意見、情報を参考に判断してほしい」と話している。(文化部 平沢裕子)

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