ドコモ「カードケータイ」が欲しい理由 ためらう理由
電話もメールもテザリングさえできる「カード」が登場した
その姿が世間に公表されるやいなや、瞬く間に注目されたのは、NTTドコモが発表したカードサイズのケータイ、その名も「カードケータイ」だ。
NTTドコモの発表会では、吉澤和弘社長がカードケータイを名刺入れから出し、参加していたメディアを沸かせた。
薄さ約5.3mm、重さ約47gというサイズで、電子ペーパーを採用。まさに名刺を数十枚、重ねた程度の大きさに収まっている。実際に触ってみると、本当に薄くて軽い。これで通話ができるのか、半信半疑になってしまうが、ちゃんとVoLTEで通話できる。さらにブラウザやSMSにも対応する。
実際にネットサーフィンで様々なサイトを渡り歩くというのはかなり至難の技だが、SMSで飛んできたリンクをちょっと見るという程度であれば問題ない。操作時に「ピッ」という電子音もなんだか懐かしい気がしてくる。
そう、カードケータイはなんだか「古くて新しい」感じがするデバイスなのだ。
●みんなスマホに飽きている?
実際、機能的にはスマホではなくケータイなので、音声通話がメインであり、まさに古い使い方なのは否めない。部材的には電子ペーパーなのだが、パッと見が、昔のモノクロ液晶を思い出させるのがこれまた懐かしい感じがする。
もちろん、スペック的にはVoLTEに対応するなど、最新鋭のテクノロジーが詰まっている。新しいけど、どこか懐かしい雰囲気が漂うケータイなのだ。
また、ネットでの盛り上がりを見ると、みんな「スマホに飽きている」というのが正直なところかもしれない。
最近スマホはどれも似たり寄ったりの見た目になっており、最新機種が出たからといって、代わり映えしない。フレームレスとなり、本体いっぱいに画面が表示できるようになり、さらにメーカーの個性が出しにくくなったように思う。ノッチ形状も、どのメーカーも採用しており、せいぜい面積ぐらいしか違いがない。
そんな中、きら星のごとく登場したカードケータイに、ガジェット好きのみならず、歓喜したというわけだ。
カードケータイは11月下旬の発売予定だ。実質価格は1万円程度。最近のスマホが10万円以上することを考えると、とても魅力的な値段に感じてしまう。「自分も1台、契約するか」と思うのだが、ここでちょっと悩んでしまうことがある。
●ためらう理由は「電話番号」
カードケータイには、スマホとは別の携帯電話番号での契約が必要となる。同じく発表された「ワンナンバーフォン」は、スマホと同じ電話番号が使えるようになっている。そのため、近所に散歩に出かける際も、スマホを自宅に置きつつ、ワンナンバーフォンだけを持って出かけられる。
カードケータイの場合、スマホとは別の番号が必要になるため、つねに「2台持ち」が求められる。普段からスマホとケータイの2台持ちという人であれば、何ら問題はないだろう。むしろケータイがカード状になるので携帯性は向上する。カードケータイにはストラップホールがあるので、社員証と一緒に首からぶら下げるといった使い方もアリだろう。
一方で、普段から1台しか持ち歩いていないという人は、新たにカードケータイを購入したところで「いつまで経ってもならないカードケータイ」になってしまう可能性がある。これでは、せっかく魅力的な機種にもかかわらず、なんだかもったいない気がしてならない。
とはいえ、いま使っているスマホの契約をカードケータイに切り替えるというのも無理がある。iPhoneユーザーであれば、iPhoneユーザーとiMessageでやりとりすることもあるだろう。それをカードケータイに換えてしまっては、SMSの送信料金が発生することになる。
●継続的に進化させてほしい
ただ、これを機にメインの電話番号はNTTドコモのカードケータイに切り替え、これまで使っていたスマホは格安SIMで運用するというのも良さそうだ。
NTTドコモの契約であれば、音声通話はかけ放題のプランを選ぶことができる。電話はカードケータイでしゃべりまくり、スマホは格安SIMであれば、ぐっと経済的にもなるだろう。
いろいろ使い方の想像がふくらむカードケータイであるが、やっぱり「ワンナンバーに対応してほしかった」というのが正直なところだ。またFeliCaにも対応してくれると、カードケータイ1枚だけを持ち、コンビニで買い物をして帰ってくることもできるようになる。
「それ、Apple Watchでできるじゃん」という指摘はもっともなのだが、やはりApple Watchを使って街中で音声通話をするというのは、まだちょっと心理的に抵抗を感じてしまう。
そんなわけで、まずは初代カードケータイにエールを送りつつ、今後も継続的に進化させてほしいと、NTTドコモと京セラにはぜひとも頑張ってもらいたいと思う。
筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)
スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。
