死者は先頭3両に集中 台湾脱線事故、蔡総統が現地入り
台湾東部の宜蘭県で21日夕に起きた台湾鉄道の特急列車「プユマ号」の脱線事故で、死者の多くは先頭から3両目までに集中していたことが分かった。台湾当局は22日朝までに、少なくとも18人が死亡、187人が負傷したと発表した。事態を重く見た蔡英文(ツァイインウェン)総統も22日朝、現地に入った。
乗客は366人。台湾鉄道は当初、死者を22人と発表したが、その後、消防当局が18人に修正した。死者のなかには、韓国で英語スピーチ大会に参加し、台東市に帰る途中だった中学校の生徒3人と教師2人や、結婚式から帰る途中の親族8人も含まれるという。
脱線現場は、宜蘭県蘇澳地区にある新馬駅にかかる右カーブ。列車は全8両が脱線してジグザグ状になり、そのうち5両は横転した。車両は日本製だった。
台湾紙・聯合報(電子版)などによると、死者は先頭車両の8号車内で6人、7号車付近の外で7人、6号車付近の外で2人見つかった。車外で見つかった人たちは、脱線の衝撃で車外に飛び出したと消防当局はみている。
運転士は負傷して病院に運ばれている。台湾鉄道当局者は22日、事故発生前に、運転士が緊急ブレーキをかけていたことや、電力が不安定になっていると訴えていたことを明らかにしたが、事故原因と関係しているかは分からないとしている。
蔡氏は22日午前7時(日本時間同8時)ごろ、現場に到着。台湾鉄道幹部から状況の報告を受けた後、「関係当局には早急に原因を究明してもらいたい。ともに、この難関を乗り越えよう」と語った。
日本台湾交流協会台北事務所(大使館に相当)によると、日本人が事故に巻き込まれたという情報はないという。(宜蘭〈台湾東部〉=西本秀)
台湾特急脱線:子供5人犠牲 事故前、運転士「機械故障」
【宜蘭(台湾北東部)福岡静哉】台湾北東部・宜蘭県で21日、台湾鉄道の特急「普悠瑪(プユマ)」号が脱線し乗客366人中18人が死亡した事故は、負傷者がさらに増え計187人となった。うち10人は重傷。台湾鉄道は22日午前の記者会見で、事故発生の約30分前から「機械の故障が起きた」と何度か運転士から連絡があったことを明らかにした。車両の異常による事故の可能性もあるとみて、警察当局などが原因を調べている。
台湾メディアによると、死者には研修旅行中の中学生や9歳男児ら子供が少なくとも5人含まれている。台湾鉄道は22日早朝、脱線した車両の撤去作業を終え、列車の運行を再開した。
現場は宜蘭県蘇澳の新馬駅近く。進行方向に向かって右にカーブしている箇所で、8両編成の車両すべてが脱線し、少なくとも5両が横転した。事故車両は当時、時速130~140キロで走行し、制限時速を大幅に超えていたと報じられている。運転士は運転歴5年。車両は「日本車輛製造」(名古屋市)が製造した。
事故に遭った親戚から話を聞いた董小羚さん(44)によると、事故前に車内の電灯が消え列車が停止することを3回繰り返したという。電気系統に異常が起きた可能性がある。
董さんは父やおじら親族8人と友人1人が死亡し「どうしてこんなことになったのか」と涙を流した。
台湾の蔡英文総統は22日早朝、現場を視察した。
台湾列車事故 直前に動力異常、運転士が通報
【台北=田中靖人】台湾北東部・宜蘭(ぎらん)県で21日に起きた特急列車の脱線事故で、台湾鉄道(台鉄)を運行する交通部(国土交通省に相当)台湾鉄路管理局は21日夜、事故直前に運転士が動力の異常を通報していたと明らかにした。現場は半径300メートルの急カーブで時速65キロの速度制限がある。事故当時130キロ近く出ていたとの証言もあり、当局は負傷した運転士の回復を待ち事故原因の究明を急ぐ。
現場では横転した車両を重機で起こし、不明者がいないか捜索する作業が徹夜で行われた。事故の死者は18人、負傷者は187人となった。当局は一時、死者を22人と発表するなど情報が錯綜(さくそう)。先頭車両に乗っていて軽傷を負った男性は21日深夜、遺体が集められた病院で「隣の席にいた学生の行方が分からない」といらだった様子で話した。当局は死者の身元確認を急いでいる。
台湾では数十年ぶりの重大な鉄道事故で、22日未明に頼清徳(らい・せいとく)行政院長(首相)、早朝には蔡英文(さい・えいぶん)総統がそれぞれ現場を視察し、病院で遺族やけが人を見舞った。
地元紙が報じた乗客の証言によると、列車は宜蘭駅を出た後、徐々に速度を増しブレーキを3回かけた。車内の照明が点滅し、異音も聞こえたという。当局は動力の異常で速度超過を防ぐ装置が動かなかった可能性も含め、原因の究明を急ぐ。事故を起こした「プユマ」号の車両を製造した日本車両製造(本社・名古屋市)からも調査団が来台するとみられる。
一方、事故後に運休していた台湾鉄道の東部路線は22日早朝から事故のあった線路を除き運行を再開した。
台湾・特急列車が早い速度のまま急カーブで脱線する瞬間映像
台湾の北東部で発生した特急列車の脱線事故で、台湾のメディアが22日午前、事故の瞬間をとらえた映像を公開した。
事故の瞬間をとらえた映像には、かなりの速度で走ってきた車両が突然、右側に横転して脱線する様子が映っている。
救助された女の子は、「お母さんはベッドから急に落ちて、腰をぶつけたと言って、とても痛がっていた」と語った。
21日夕方、台湾北東部・宜蘭県で、台湾鉄道の8両編成の特急列車が脱線し、これまでに18人が死亡したほか、187人が重軽傷を負った。
台湾当局は21日夜の会見で、事故の前に、運転士から「列車に異常が起きた」との連絡があったことを明らかにしたほか、現地メディアは、「事故の直前に数回急ブレーキがかかった」、「動力機関に異常が起きたとする車内アナウンスがあった」などの乗客の証言を伝えている。
この車両は日本製で、2017年に点検を行っていて、台湾当局は、運転士のけがの回復を待って、くわしい事情を聴く方針。