動画配信で「本数」が圧倒的なのは日本企業だった!

動画配信で「本数」が圧倒的なのは日本企業だった!

HULUやNetflix、Amazonなど、国内外企業がしのぎを削る動画配信市場。意外だが、世界で初めて携帯に動画配信をしたのはビデオマーケットという日本企業。今でも配信本数では圧倒的で、上映中映画の配信など、光る独自サービスを提供している。

急成長する動画配信業界内外企業が入り乱れて群雄割拠

 映画やドラマを見るのに、動画配信サービスを利用している方は多いだろう。ビデオの時代に始まりDVDを経て、今はインターネット経由での動画配信が主流になっている。

 テレビだけでなく、パソコン、タブレット、スマートフォン、ゲーム機器など、多彩なデバイスで見ることができるため、場所を選ばずに楽しめ、世代を問わず人気が集まっている。

 動画配信サービスの2017年の市場規模は、1829億円。今後、年に7.2%の割合で拡大し、2022年には、2594億円になると予想されている(GEM Partners調べ)。大きな成長産業の一つだ。

 現在、動画配信サービスは、大きく2つに分かれている。ユーザーがコンテンツをアップできる「無料動画共有型」。Youtubeやニコニコ動画などが有名だ。

 もう一つが「有料配信型」。こちらは課金方法によって、さらに2つに分かれている。NetflixやHULU、Amazonプライムビデオなどに代表される、毎月一定の利用料を支払う「定額制(SVOD)」。そして、ネット上でファイルを購入する「デジタルセル(EST)」や、期限付きで借りる「デジタルレンタル(TVOD)」がある。こちらは楽天TVや、iTunes Store、Google Playなどが有名だ。また、GYAO!のようにユーザーは無料で視聴できるが、途中にCMを流すことでマネタイズしている「広告型(AVOD)」もある。

 有料配信型の場合、映画やドラマは上映後3ヵ月程度でセルやレンタルが開始され、その後1年ほど経つと定額制サービスへのラインナップに入る。

 まさに、海外・国内のサービスが群雄割拠という状態だが、この動画配信サービスをケータイ向けに世界で初めて行ったのは、日本の企業だというのはご存じだろうか?

作品数日本一の配信会社は外資系ではなく日本企業だった!

 世界初のケータイ向け動画配信サービスを行ったのが、ビデオマーケットという企業である。2006年に、携帯電話で動画配信を開始した。

「2006年は、まだ『ガラケー』の時代でした。通信速度も遅く、携帯電話で動画を見るなんて無理といわれていた時代です。専門家に相談しても、『ケータイで動画を流せるわけないでしょう』と即答される状態でした」(株式会社ビデオマーケット社長・高橋利樹さん、以下同)

 2006年といえば、iPhone初号機が発売される以前。まだスマートフォンは存在すらしなかった。しかし高橋社長は将来、動画配信が急成長していくと確信。ケータイでの動画配信に奔走した。

「最初はアニメファンを想定視聴者にしていたので、著名なアニメ作品を配信したいと考えました。無理を承知で手塚プロに依頼に行き、主旨を伝えたところ、協力をしてくれたのです。それで、記念すべき最初の配信は「鉄腕アトム」になったのです。余談ですが、日本でテレビ放送された最初のアニメも鉄腕アトムなんです。不思議な縁ですね」

 当初の配信数は数十作品程度だったが、現在は、映画に始まり、海外・国内ドラマ、アニメ、バラエティ番組など約21万本を配信している。毎週500本以上の作品を追加しており、作品数では日本一を誇っている。一般に、定額見放題サービスの作品数は多くて3万本程度というから、圧倒的な数字である。また、Blu-rayやDVDの発売と同時には配信される新作も多い。ジャンルが幅広く、マニアックな作品も多いのが特徴だ。

「NetflixやHULUといった海外サービスは、知名度と強い媒体力を持っています。そういう巨大サービスと勝負するには、作品やジャンルの幅広さが必要です。定額制サービスは便利ですが、ニッチな作品はそれほど揃っていません」

画質へのこだわりが特徴上映中の映画もネット配信

 ビデオマーケット社は、画質にもこだわっている。動画は通信環境によって品質が異なってしまうものだが、視聴するデバイスを問わずに、高品位の状態で配信する技術を開発している。「UHQ(ウルトラ・ハイクオリティ・エンコード)という超高画質エンコード技術を独自に開発し、大画面でもBlu-ray並みの画質を実現している。

 映画ファンにはうれしいサービスも。上映中の映画をネットで見ることができるのだ。

「デジタル・スクリーンというオンライン上の映画館を運営しています。ミニシアターや単館系作品の場合、地方だと上映館がない場合もあります。また、上映回数も限定されているので、見たくてもスケジュールが合わない人も多いはず。そういった作品を24時間いつでも視聴できるサービスで、映画ファンに喜ばれています」

 どんどん便利になる動画配信だが、これからどう変化していくのだろうか?

「映像を見るという習慣は、今後も伸びていくと思います。配信数は増えていますし、消費量も拡大しています。ただ、配信事業者はすでに飽和状態ではないでしょうか。銀行が合併を繰り返し、数が減っていったように、動画配信業者も合併をするなど、集約されていくと予想しています。それに伴って、利用料も下がっていくと思います」

 海外、国内のサービスが入り乱れて激戦状態の動画配信サービス。今後の動向に注目したい。

(吉田由紀子/5時から作家塾®)

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