なぜいまだに「日本はフリーWi-Fiが少ない」とデタラメを言われるのか考えてみた

なぜいまだに「日本はフリーWi-Fiが少ない」とデタラメを言われるのか考えてみた:旅人目線のデジタルレポ 中山智

旅人ITライターの中山です。海外との通信事情の違いで「日本はフリーWi-Fiが少ない」と記載された記事やSNSの投稿をよくみます。ですがスマートフォンやPCを持って頻繁に国内外をウロウロしている筆者としては「日本のフリーWi-Fiサービスは海外と比べても大きな差はない」という印象です。たとえば空港や大きな駅には、たいていフリーWi-Fiサービスが導入されています。特に空港はよほど地方の空港でもない限りフリーWi-Fiがなかった試しはありません。

ショップや飲食店にしても、国内ではセブンイレブン、ローソン、ファミリーマートとコンビニ大手3社が無料のWi-Fiサービスを提供しています。これだけで万単位のアクセスポイント数です。さらに飲食店もファミリーレストランやファーストフード、喫茶店なども多くのチェーン店が対応しています。

筆者がよく使うルノアールもフリーWi-Fiがある店舗が多い

ちなみにコンビニなどの無料Wi-Fiサービスは、個別にログイン作業などが必要ですが「Japan Connected-free Wi-Fi」に登録すると、大手コンビニ3社を含め各サービスを横断的にひとつのアカウントでログインできるようになります。「Japan Connected-free Wi-Fi」の公式サイトで提供事業社やエリア検索をすると、「Japan Connected-free Wi-Fi」だけでも日本全国でフリーWi-Fiが使えることがよくわかります。もちろん「Japan Connected-free Wi-Fi」に参加していないサービスもあるわけで、さらにフリーWi-Fiが利用できる場所は多いと言えます。

「Japan Connected-free Wi-Fi」で利用可能な提供事業社は日本全国にある

たしかに筆者も国内旅行をしていて日本のフリーWi-Fiは下記のポイントが弱いなと感じています。

●団体客向けや設備の古い宿

●個人営業のような喫茶店・飲食店

団体客向けや設備の古い宿はコストの関係もあって、ロビーのみフリーWi-Fiがあるといったところも多くあります。海外からの旅行者を相手にするなら各部屋にフリーWi-Fiを設置したほうがいいかなと筆者も思います。

個人営業のような喫茶店・飲食店は確かに海外のほうが利用できる場所は多いです。ただそのほとんどは、店で使う回線を開放している「勝手フリーWi-Fi」。プロバイダーや回線契約をちゃんとチェックすれば不特定多数に開放するのは契約違反となっているようなバックボーンで提供しているわけです。日本の個人営業のような喫茶店・飲食店でも同じように契約を無視して提供しようと思えばできそうですが、そういうわけにもいかないでしょう。

飲食店に関して言えば、確かに海外のほうがフリーWi-Fiは多い

上記のように弱い部分もありますが、実際には日本全国津々浦々にフリーWi-Fiがあるのになぜ「日本ではフリーWi-Fiが少ない」と言われてしまうのか? これは推測ですが「日本はモバイル通信のエリアが優秀なので、みんなそんなにフリーWi-Fiを日本で使っていないんじゃないか」と思います。

たとえば新幹線にもフリーWi-Fiのサービスはありますが、利用時にメールアドレスの登録など手間もかかります。それならわざわざWi-Fiにつながなくても、スマホのモバイル通信でそのまま使えばいいやとなります。なにせ新幹線乗車中、圏外になるようなケースはトンネル内などごく一部の地域に限られますので。

新幹線にもフリーWi-Fiはあるが、登録が必要なので使うのにひと手間かかる

ところが海外ではそうはいかず、フランスのTGVなどは駅を出発して郊外になるとすぐに2Gや圏外になって、まともにモバイル通信が使えないケースが多くあります。それならモバイル通信ではなくWi-Fiに頼るのも当然。日本のモバイル通信のエリアは世界でもトップクラスに優秀で、富士山山頂で大手キャリアの電波がキャッチできるのは異常なくらいです。

日本ではドコモやauが980円/日のおトクな海外ローミングをスタートしていますが、これは海外の通信キャリアも状況は同じ。仕事柄海外通信キャリアのSIMを何枚か所持していますが、日本で使うとSMSでローミングの価格やプランが送られてきます。例えばタイの通信キャリアAISでは、海外ローミングサービス「SIM2Fly」を提供していて日本でローミングする場合、8日間で4GBの容量が349バーツ(約1200円)で利用可能です。

SIM2Flyのアジア周遊プランは現在キャンペーンで299バーツとさらに安い

またアメリカの通信キャリアVerizonは、日本のドコモやauと同じような1日/10ドルの「TravelPass」というローミングプランがあります。しかも「Above Unlimited」という国内プランだと、毎月5回ぶんのTravelPassがサービスとして利用できるので、5日間は無料でローミングできます。この価格なら日本人が国内でフリーWi-Fiをあまり使わないのと同じように、海外からの旅行者も、フリーWi-Fiではなくローミングで対応していると思います。

Verizonの海外ローミングサービスは1日/10ドルで130以上の国と地域に対応

ソフトバンクグループの孫正義氏も「無料Wi-Fiよりもむしろ、世界中の携帯事業者とデータのローミングをもっと、アンリミテッドなローミングをすることによって、無料WI-Fiなんかを使わなくても、日本のLTEは世界で最も優れた容量とカバー率をもっていると思いますけど、そのほうがセキュリティを保てて、かつ面倒くさくないと最近は思っています」と語っています。その割に、ソフトバンクにはアメリカ放題以外におトクなローミングサービスがないのは残念ですが......。

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