けん玉初心者がVRで特訓、9割が現実でも「できた」 驚きのVRゲームが生まれたワケ

けん玉初心者がVRで特訓、9割が現実でも「できた」 驚きのVRゲームが生まれたワケ

 「VR(仮想現実)でけん玉を練習すると、現実でもけん玉ができるようになる」──そんなVRゲーム「けん玉できた!VR」が話題を呼んでいる。実際にゲームをプレイした、けん玉初心者の87人中82人が、現実でもけん玉がうまくなったという。ゲームを開発した、けん玉4段(日本けん玉協会)のVRけん玉師Jinさんに、開発のきっかけを聞いた。

●VRでの体験は、現実にも有効だった

 けん玉できた!VRは、けん玉のコツを習得できる6つのミッションに従いながらVR上で再現されたけん玉で遊ぶと、現実世界でもけん玉ができるようになるゲーム。VRで練習を続けると、現実のけん玉もうまく扱えるようになるという。

 ゲーム中で与えられるミッションでは、けん玉の玉が重力に反してゆっくり落ちるような動きをするものから始まり、ゲームが進むにつれて、本来のけん玉に近い動きになっていく。段階を踏んでプレイヤーをけん玉の動きに慣らしていくイメージ。これは現実のけん玉ではできない練習方法だ。

 7月14日に行われたイベント「JKAワールドオープンけん玉フェスタ2018」で初披露され、27日に開催された開発者向けのVR/AR/MR勉強会「xRLT vol.2」にも出展。実際に体験した人からは、「VRで練習したら現実でできるようになった」「VRがスキルアップにつながる」といった声が上がっている(Twitterより)。

 VRけん玉師Jinさんによると、けん玉にある2つの皿で玉を行ったり来たりさせる技「もしかめ」を「やっとことがない」「全くできない」「1~3回しかできない」という人を初心者と設定。ゲームを最後まで体験した87人中82人が、もしかめを4回以上できるようになったという。

 もともとけん玉が大好きだったVRけん玉師Jinさん。ゲームを作ったきっかけは、東京・秋葉原でVRに出会ったことだと説明する。

●「けん玉できた!VR」が生まれたきっかけ

 「2017年末に秋葉原でVRを体験し、感動して『HTC Vive』を買ったことがきっかけでした。もともとプログラミング経験があり、Unity(ゲーム開発環境)を勉強していたところ、大好きだったけん玉とVRがつながって(ゲームを)思い付きました」(VRけん玉Jinさん)

 けん玉をもっと普及させたいという思いと、足を悪くして外出する機会が減った母が楽しく運動できるゲームを作りたい気持ちもゲーム制作を後押しした。

 「けん玉は、膝を使うスポーツとしての一面も持つ健康的な遊びです。特に運動不足なデスクワーカーやシニアの方々にオススメです。母もけん玉ができない状態からできるようになり、VRけん玉ゲームもリアルのけん玉も楽しみながら遊んでくれるようになりました」(VRけん玉Jinさん)

 VR空間での“慣れ”が現実世界にも影響を及ぼすことが分かる好例だが、VRけん玉JinさんもVRを使ったトレーニングの有用性に確信を持った。しかし、課題もある。

 「今までできなかったことが、VRでできるようになることを目の当たりにしました。しかし、現実のけん玉の作りはとても繊細で、それをVRで完全再現するのはとても難しいです。また、高度な技になるにつれて、指導するのも難しくなります」(VRけん玉Jinさん)

 現状は基本技の習得サポートしかできないが、高度な技にも対応できるようにゲームや開発スキルなどの改善を目指す。今後はPC向けゲーム配信プラットフォーム「Steam」での配信も検討している。

 「『けん玉できた!VR』を通じて、新たにけん玉ができるようになった人が1000人、1万人と増えることを目指し、VRとけん玉の普及を進めたいです」(VRけん玉Jinさん)

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