スマートフォンはデジタル安心毛布?持っているだけでストレス値が下がるという研究結果

スマートフォンはデジタル安心毛布?持っているだけでストレス値が下がるという研究結果

スマートフォンが財布や時計、地図といった実用だけでなく、「デジタル安心毛布」の役割を果たすとの調査結果が、カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)研究者により発表されました。

参加者の1人であるJohn Hunter氏によると、本研究は携帯電話の存在そのものが、社会からの疎外感を和らげる可能性を示唆しているとのこと。

一般にデジタル技術の使用は人間関係に対するマイナス効果が強調されがちですが、スマホが「人との繋がり」を象徴するシステムとして、精神の安定を保つ側面にスポットが当てられています。安心毛布(security blanket)とは、人が物などに執着して安心感を得ている状態のこと。「枕が変わると寝られない」や「いつもお気に入りのぬいぐるみを持ち歩く」などで、漫画『ピーナッツ』に登場するキャラクターにちなんで「ライナスの毛布」とも呼ばれています。

心理学および社会行動を研究するHunter氏いわく「今回の研究結果は、携帯電話を実際に使わなくても、その存在そのものが社会から疎外されたという否定的な経験や効果を緩和できる可能性を示しています」とのこと。「携帯電話を持っていることで、象徴的にも文字通り的な意味でも、外にいる人達と繋がることができるサポートシステムがあると思い出させるのです」と語っています。

つまりスマートフォンは「大規模な個人ネットワークの象徴として機能」し、「環境ストレスから携帯電話が象徴する繋がりに目を向けると、孤立感が軽くなり、安心感が得られる」というわけです。

Psychosomatic Medicines最新号に掲載された研究は、9ヶ月かけて148人を対象に、社会的孤立に対する生理学的および心理的な反応を測定した成果であるとのこと。

唾液サンプルを採集した後、被験者は3グループに分けられました。まずは通常通りスマートフォンを使用しても良いグループ、続いて持っていても良いがスマートフォンは使用を制限されるグループに。最後はスマートフォンを提出してもらい、持たないグループ。

そしてそれぞれのグループは一人ずつ、別に2人の仕掛け人と3人で会話する時間を与えられましたが、その時間を通して、被験者だけが会話の仲間に入れてもらえない状況を作り出しました。そしてその後で、被験者の唾液サンプルを採取し、ストレスホルモンの値を測りました。

その結果は、「スマートフォンを持っていて使用しても良い」グループと「スマートフォンを持っているが使用制限」組のストレスホルモン値が低かったのに対し、「スマートフォンを持たない」組が高い数値を示したとか。つまりスマートフォンの存在そのものが疎外感を和らげたという分析が導かれています。

共同研究者のSarah Pressman教授は「これはスマートフォンが私達の気分を良好にして、体内のストレスホルモンを測定可能な形で減少させ、なんらかの形で健康の役に立つと示した初の研究です」と述べています。

被験者は148人で多いとは言えず、しかも平均年齢は約20歳でスマートフォン世代ということで、全年齢について証明されたわけではありません。より高齢な「スマートフォン育ち」ではない世代も対象とした研究を待ちたいところです。

とはいえ、発言がしにくい空気の会議や、顔見知りが少ない飲み会などで、スマートフォンを覗き込まないまでも手にしている経験は、誰しも身に覚えがあるはず。こうしたプラス面に注目する研究が今後も発表されていけば、デジタルガジェット好きにとって住みやすい社会になるかもしれません。

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