子どものITセキュリティに家族で向き合っていますか?「スマホは個人情報が入っている」を正しく理解する

子どものITセキュリティに家族で向き合っていますか?

 皆さま、初めまして。私はこれまで、僚誌である@ITなどで主にエンタープライズセキュリティを担当しておりました宮田と申します。また、ITmedia NEWSでは「ITりてらしぃのすゝめ」という連載も担当しています。

 今回縁がありまして、主に小中学生のお子さんを持つお父さんお母さん、保護者のために、身近になったITをどう安全に活用していくかを考える連載をスタートいたします。

 実は私も、一児の父親となりました。これまでスマートフォンやSNSに絡む、エンタープライズというよりももっと身近なITに関してのセキュリティ対策をまとめたり、講演したりしたこともありますが、娘が生まれてからは「この子もいつか、自分のスマホを持ちインターネットの世界を体感するのだろうなあ……」と考えるようになりました。

 我が子が小学校に行くまでにはまだ時間があるものの、こうなって初めて、セキュリティのことが自分ごとというより「家族ごと」になったわけです。

 最近ではスマホのセキュリティとともに、「プログラミング教育」に関する話題も多くなりました。親としては“新人”ながら、これまで話を聞いてきたセキュリティのトピックや、実は“元エンジニア”という経験をもとに、多くのお父さん、お母さんに少しでも役立つ話をお伝えできれば幸いです。ぜひ、よろしくお願いします。

「スマホは個人情報が入っている」を正しく理解する

 以前、千葉で小学校の先生を集め、夏休みに「子どもたちとITセキュリティ」を題材に、簡単な講演を行いました。便利なスマホを使わせないというよりも、スマホのリスクを知ることで、何が狙われるのかということを先生に伝えるというものでした。

 このとき私は、まず先生方が持っているスマホを出してもらいました。「Googleマップを開いて、タイムラインというのをタップしてみてください。その瞬間に、恐らく皆さんもスマホが持つ“個人情報”が分かるはずです」――皆さんもぜひ、これをやってみてください。

 タイムラインの取得がオンになっているのであれば、恐らくそこには、あなたが歩いた軌跡そのものが、文字通り地図に描かれているはずです。スマホとは個人情報のかたまりだとよく言われます。それは単に住所や氏名だけではなく、位置情報、移動情報といった、他のデバイスでは取れないものも保存されているのです。

 さらにいうと、この情報はスマホのデバイスの中に保存されているのではなく、インターネット上のどこか、つまりは「クラウド」に保管されています。端末だけでなく、クラウドも守る必要があるでしょう。

 特にITセキュリティは「少しでも興味を持ち、あらかじめ知ること」が重要だと考えています。「スマホにはさまざまな個人情報が入っているから守りましょう」ということも、マップのタイムラインを見れば視覚的に、自分ごととして把握できるはずです。

 個人的にはこの機能、日記の代わりになるので大変便利だと思っています。しかし、これがもし自分以外の人間が見られるようになっていたとしたら――それを守るのが、セキュリティであり、知識なのです。

親は「ITの先生」たれ――おすすめしたい2つのこと

 先生方への講演の後、スマホと子どもたちに関する現場のお話を聞いてみると、多くの先生が「SNSの使い方などを“学校で教わる”ことを期待されていて、とても悩んでいる」とおっしゃっていました。

 本来であれば、学校という場所でITに関するセキュリティも学べる環境があることが理想です。10年後、20年後ならばきっとそうなっていると期待したいですが、今はスマホの普及が急拡大している、過渡期ともいえます。そのタイミングでは、家庭内でITセキュリティの教育をすることが重要だと思います。

 これまでいろいろな話を聞いていて感じる一番の問題は、「親が知らないうちに、子どもたちがいろいろなサービスを使う」こと。もちろん、新しいことにチャレンジすることは素晴らしいです。しかし、インターネットの世界はネットを通じ、地域、言語、年齢層、思想を超えて“つながる”ことが特徴であり、リスクです。

 世の中にあるのは子ども向けのサービスだけではありません。アプリのインストールだけで、簡単なユーザー登録だけでさまざまなサービスが利用できる時代、その点を子どもだけに任せるのはあまり得策ではないでしょう。

 私なりの解決策は、まず親世代が、子どもたちの使っているサービスを使ってみること。これはスマホでアクセスできるサービスだけでなく、子どもたちが遊びたがるゲームも一緒。最近のゲームはゲーム内にコミュニケーションができる方法を用意していることも多いのですが、それはほとんどの場合、やってみないとなかなかその全貌が見えないのです。

 もちろん親世代は忙しいので、まずは「子どもたちの世代で話題になってるアプリやサービスを知り、評判はどうか、ニュースになっていないかを知る」だけでもリスクは減らせると思います(そのための力になれる連載を目指したいと思います)。

 昨今ではフィルタリングサービスも当たり前になっていて、子どもたちに見せたくない掲示板やSNSなどがつながらないようになっている家庭も多いでしょう。しかし、子どもがインストールしたゲーム内に、掲示板やSNS的機能があることを知らないと、リスクに気が付くことすらできません。

 解決策は「子どもと一緒に遊ぶ」しかないと思います。そうすれば、子どもがインターネット上で置かれている状況も把握できますし、コミュニケーションの時間も取れるでしょう。何とか時間を作って、そうした機会を設けてみてはいかがでしょうか。

 もう1つは、「ネット上で起きている、子どもたちが関係しそうな問題を、子どもたちよりも先に知っておく」こと。ニュースを見ていると、インターネット上で子どもたちが巻き込まれる事件だけでなく、子どもたちが知らずに法を犯してしまう事件が多くあります。

 今では、ネット上でサービスを数クリックで契約するがごとく、多数のアクセスを行うことでサーバに負荷をかけ、特定のサービスをダウンさせる「DDoS攻撃」を代理で行うサービスすらあります。しかもその代金は数百円レベルで、お小遣い感覚でネット上の犯罪行為ができてしまうのです。

 実際、そのようなサービスを使ってしまい、警察に摘発される事例も多くあります。その前に親が概要を知っておき、「こんなことがあったんだよ」と会話ができれば、きっと防げたはずの犯罪なのです。

 親世代ですら、LINEをはじめとするメッセージツールでトラブルを起こしているわけです。子どもたちも苦労しつつ、ITを活用しようとしているはず。その点では、親と子どもは対等です。コミュニケーションを取りつつ、便利に使う。そのためのちょっとした気付きを、本連載でお伝えしてきたいと思います。

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