SNS全盛時代において、注意すべきこと「いいね!」を得るほどに自分の「好き」は消えていく?

「いいね!」を得るほどに自分の「好き」は消えていく?

これは若い人とお話していて感じることですが、これまで自分の「好き」を意識せずに生きてきた方ほど、いざ自分の好きを見つけようとしたとき、「周りに羨ましがられる」とか「認められる」ためのメガネをかけたまま、「好き」を探そうとしてしまう傾向があるのです。

今回も前回に引き続き、「好き」の見つけ方についてお話させていただこうと思います。

SNS全盛時代において、注意すべきこと

自分の「好き」を見つけていくときは、「他者の承認」を一旦脇においておく必要があります。なぜならSNS全盛の今は、誰もが共感することや承認されることに、無意識に価値観が寄っています。言い換えれば、今は自分が本当に好きなものを見つけるのが難しくなっている時でもあるのです。

しかし若い世代は、何か楽しい趣味を見つけても、それをすぐにソーシャルメディアでアピールできてしまうから、”この趣味をやってるオレってかっこいい”と満足してしまうのです。僕はそこに落とし穴があると思っています。

今は昔と違って、人が好きなものを突き詰めていくにも、無菌室にいなければならないような状況にあると思うのです。例えばインスタグラムのアカウントでは、自分のお気に入りの写真や背景画像なんかで自分をアピールできてしまうので、認められたい気持ちがより強くなっていきます。

僕は以前、この自己アピール要素を一切排除して、自分が「好き」なものごとだけをひたすら語り合うソーシャルメディアを目指そうと、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの理事を務めているチェン・ドミニクさんが製作する「シンクル」というコミュニティアプリのプロデュースをしました。

名前も四文字以内しか設定できないから匿名になるし、アイコンにはすでに用意されているものしか使えず、オリジナリティは出せません。特定の人とだけ語り合うようなメッセージ機能もなし。つまり、自分が「好き」なもののことでしか他人と語り合えない、「人」ではなく「コト」にしか向かえない設計にしたのです。

コミュニティのなかでは、例えば「タピオカのつぶつぶが好き」とか、「冬の朝のにおいが好きすぎる」とか、「好き」にまつわるトピックがたくさんあり、自分も好きだなと思ったらハートマークを押していきます。そのトピックのなかでしか語れないので、おのずと「好き」をみんなで掘り下げていく形になり、自分が夢中になれること、好きなものへの再発見につながっていくのです。

若い人は、それほど意識的に無菌室な状態を作らなければ、自分が何を好きかを見失ってしまうほど、夢中になれる暇もないほど、膨大な情報量と承認欲求への誘惑のなかで生活をしているわけです。このことをまず認識することが重要です。

SNSとの距離感を調整してみる

例えば、僕の友人のライターさんは、このまま商業ライターを続けていくのかを考えた時、改めて自分の「好き」を見つけるために、SNS類を一切辞めたそうです。以来日記をつけるようになり、毎日の自己対話の中で、これまで他者に承認されるために文章ばかり書いてきたこと、その中で取りこぼしてきた自分だけのトキメキや、心動かされることがたくさんあったことに気づいたと言います。

それを数年続けたことで、幼い頃、物語を書くのが好きだった気持ちが蘇り、今は仕事のかたわら、小説を書いているそうです。また、創作の時間を持つようになったことで、これまでの仕事が一層楽しくなったそうです。

少し極端な例かもしれませんが、僕は人が本当に「好き」を見つけるためには、いっときでも孤独になる時間があっていいと思うのです。そういう時間が、自分の「好き」を鍛え上げてくれます。そのことをまず念頭においてみてもいいと思います。

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