低能先生はなぜ「Hagex」氏を刺殺した?報道とは違う「ネット民が見た経緯」

低能先生はなぜHagex氏を刺殺した?報道とは違う“ネット民が見た経緯”

 「Hagex」のハンドルネームでブログを書き、IT関連セミナーの講師も務めていたインターネットセキュリティ関連会社の岡本顕一郎氏が、福岡県の創業支援施設「Fukuoka Growth Next」で刺殺された事件については、故人を偲ぶ報道とともに、刺殺した無職の松本英光容疑者についても注目が集まっている。

◆「低能先生と呼ばれて」キレた、という報道は違う

 松本容疑者は、九州大学文学部でイスラム文明を学んだ後、バイト先だった福岡県のラーメン店で正社員として、約3年前まで働いていたという。そんな松本容疑者の別の顔が「低能先生」だ。

 松本容疑者は、2016年ごろから、はてなブックマークなどの他ユーザーに「低能」という言葉を使って誹謗中傷を行っていた、いわゆる荒らし、嫌がらせ投稿者だった。そのため、過去100回以上もアカウントを凍結されては、新規IDで復活し活動をすることを繰り返してきた。

 そんな松本容疑者のことを、一部のネットユーザーが「低能先生」と呼んでいたのだ。つまり、周囲が松本容疑者を「低能」扱いしたわけでなく、他人を「低能」呼ばわりしまくっていたのは松本容疑者のほうだ。

 報道を見聞きして、松本容疑者が低能先生呼ばわりされたことや、ネット上のバトルに恨みを募らせ、犯行に至ったと思っている人もいるだろう。たしかに、松本容疑者は岡本氏を恨んでいたかもしれないが、それは低能先生と呼ばれたからでも、岡本氏とバトルしたからでもないようだ。

 以下、はてなブックマーク上の記録やユーザーの見立てをもとに、経緯を探ってみた。

◆低能先生vs Hagex氏の直接的なバトルはなかった

 岡本氏ことHagexのブログ「Hagex-day.info」の5月2日のエントリーを読むと、低能先生から被害を受け、はてなに通報していたことがわかる。

 ただこれを見る限り、一方的に低能先生がHagexに低能コール(荒らし)を仕掛けていただけで、報道から想像するような松本容疑者vs Hagexのようなバトルは見られない。ただ、低能先生からコールが来る度に、はてなに通報を行っていただけだ。

◆ネット上のバトルが原因でなく、バトルの場がなくなったことに逆上

 前述のエントリーでは、Hagexが通報してから3分後に低能先生のアカウントが凍結されたという。これまで低能先生は、アカウントを作っては凍結されることを繰り返しているが、2018年の1月から5月だけで100以上のアカウントを作っている(つまり凍結されている)。

 これは何を意味するのか?

 おそらく、新規アカウントを作ってもすぐに通報され凍結されるようになったため、低能先生は発言すらできなくなっていたのかもしれない。その証拠に、年々、低能先生の捨てアカウントは増えていた。

◆“増田”に上がった「はてな村殺人事件の経緯」

 6月28日、はてな匿名ダイアリー(アノニマスダイアリー=あのに“増田”イアリー、通称「増田」)に、今回の事件を分析・推測したエントリー(はてな村殺人事件の経緯をまとめておく)が上がっていたので、簡単に紹介したい。

1. 松本容疑者が、他ユーザーに「低能」ほか罵詈雑言を飛ばす

2. 1を繰り返すうちに松本容疑者の存在が認識され、「低能先生」というあだ名がつく

3. 低能先生に罵られたら運営に通報するという流れが自然発生的にできあがる。アカウントを凍結された低能先生は新たなアカウントを取得し①を繰り返す

4. 5月2日にHagex氏が「低能先生」に定期的に罵られていること、都度通報していることをブログに書く

5. Hagex氏のブログ投稿以後、通報運動が盛り上がる(?) ※Hagex氏は通報しようと呼びかけたわけではない

6. 低能先生と思われる人物が「通報厨」を憎んでいる様子が増田に投稿される

7. 6月9日に発生した東海道新幹線車内での殺傷事件の犯人が「低能先生」ではないかという複数の推測が6月10日に増田へ投稿される

8. 7に対し「『低能先生』に人を殺せる筈がない」という煽りコメントがつく

9. 6月25日、Hagex刺殺事件が起きる

10. 事件発生後、容疑者が自首する前に、6で増田に投稿されたエントリーの1つに低能先生と思われるユーザーの犯行声明がつく

◆「低能先生はネット弁慶」と煽られての犯行か?

 10の犯行声明には、「おいネット弁慶卒業してきたぞ」「俺を『低能先生です』の一言でゲラゲラ笑いながら通報&封殺してきたお前らへの返答だ」という、松本容疑者のものと見られる記述がある。

 こうしたことから今回の犯行の動機は、5、6、8にあったのではないか?

 低能先生通報運動で発言の場が与えられなくなった→Hagexこと岡本氏のエントリーでさらに通報運動が加速した→通報者に低能先生はネット弁慶(内弁慶のネットスラングで「匿名性があるネットでは強気だが、実生活では小心者である」という意味)と煽られた。

 そして多くの低能先生通報者が匿名のなかで、Hagex氏だけ特定でき、さらに松本容疑者が刺しに行ける福岡にあらわれたことが、今回の刺殺事件になってしまった。

 もちろん、5月2日のHagex氏のエントリーからもわかるように、以前から低能先生はHagex氏に低能コールをしていたので、両氏の仲がよくはないことはわかる。

 ただ、報道にあるような、Hagex氏に低能先生呼ばわりされ通報されたことを逆恨みしたなど、Hagex氏との直接的なトラブルが原因で犯行に及んだわけではないという見方もできる。まずは事件の真相解明が待たれる――。<文/日刊SPA!取材班>

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