大阪で震度6弱=9歳女児ら3人死亡-40人以上けが、交通乱れ
18日午前7時58分ごろ、大阪府北部を震源とする地震があり、大阪市北区や同府高槻市などで震度6弱、京都市などで震度5強の揺れを観測した。気象庁によると、震源の深さは13キロ、地震の規模(マグニチュード)は6.1と推定される。
大阪府警によると、高槻市栄町の市立寿栄小学校でプールの外壁が歩道側に倒れ、下敷きとなった女児(9)が死亡した。大阪市東淀川区上新庄では壁が崩落し、男性(80)が死亡。同府茨木市でも、男性(85)が本棚の下敷きになり死亡した。府によると、40人以上のけが人が出ている。
政府は首相官邸の危機管理センターに官邸対策室を設置した。大阪府は、陸上自衛隊に災害派遣を要請した。
関西電力によると、大阪府を中心に一時、約17万戸で停電が発生したが、復旧した。福井県にある大飯、高浜、美浜の各原発に異常はない。日本原子力発電によると、同県の敦賀原発にも異常はないという。
JR東海と西日本によると、東海道新幹線は米原-新大阪駅間、山陽新幹線は新大阪-岡山駅間で運転を見合わせた。大阪メトロも一時、全線で運転を見合わせたほか、関西圏の私鉄各線が軒並み運行を停止するなどし、通勤の足に大きな影響が出た。
気象庁の松森敏幸地震津波監視課長は記者会見し、「地殻内部で起きた直下型の地震と言える。震源のごく近くに有馬-高槻断層帯があり、その一部が動いたか今後解析する」と説明。今後約1週間は、最大6弱程度の地震に注意するよう呼び掛けた。
主な各地の震度は次の通り。
震度6弱=大阪市北区、大阪府高槻市、枚方市、茨木市、箕面市
震度5強=大阪市都島区、東淀川区、淀川区、大阪府豊中市、吹田市、京都市伏見区、京都府亀岡市、八幡市
震度5弱=大阪市福島区、大阪府池田市、京都市西京区、大津市、兵庫県尼崎市、奈良県大和郡山市
震度4=大阪市中央区、堺市堺区、京都市北区、滋賀県草津市、神戸市中央区、奈良市、福井県高浜町、岐阜市、名古屋市南区、三重県四日市市、香川県小豆島町。
◇最近の主な地震(Mはマグニチュード)
震源域・地震名 震度 M 人的被害
2004年10月 新潟県中越 7 6.8 死者68、負傷4805
07年 3月 能登半島沖 6強 6.9 死者1、負傷356
7月 新潟県中越沖 6強 6.8 死者15、負傷2346
08年 6月 岩手・宮城内陸 6強 7.2 死者17、不明6、負傷426
11年 3月 東日本大震災 7 9.0 死者19630、不明2569、負傷6230
14年11月 長野県北部 6弱 6.8 負傷46
16年 4月 熊本地震 7 7.3 死者 267、負傷2802
10月 鳥取県中部 6弱 6.6 負傷32
(了)
地震の影響で傾いた駅の電光掲示板=18日午前、大阪府茨木市の阪急茨木市駅
近くの断層、過去に大地震=大阪「6弱」は観測史上初
気象庁の松森敏幸地震津波監視課長は18日午前、大阪府北部で起きたマグニチュード(M)6.1、最大震度6弱の地震について記者会見し、「地殻内部で起きた直下型地震」と説明した。震源のごく近くに「有馬-高槻断層帯」があり、この活断層の一部が動いたかは今後解析するという。
大阪府で震度6弱以上の揺れを観測したのは、気象庁が1923年に地震観測を始めて以来、初めて。余震も続発し、松森課長は「今後1週間、最大6弱程度の地震に注意してほしい」と呼び掛けた。
政府の地震調査委員会によると、有馬-高槻断層帯では1596年に慶長伏見地震(M7.5)が起きた。長期評価では、今後30年間の地震発生確率は0.1%未満とされていた。地震調査委には気象庁も参加しており、18日午後に臨時会合を開いて今回の地震との関係を検討する。
一方、有馬-高槻断層帯の南西側には1995年に阪神大震災を引き起こした「六甲・淡路島断層帯」があるが、松森課長は「今回の地震と直接の関係はない」との見方を示した。東海沖から四国沖の南海トラフで起きる可能性がある大地震への影響についても「考えづらい」と述べた。 (了)
近畿で震度6弱 大阪府で17万軒が停電
18日午前8時前、近畿地方で震度6弱を観測する強い地震があった。午前8時20分過ぎ現在、大阪府で約17万軒が停電しているという。
在来線で運転見合わせ相次ぐ、新幹線は米原―岡山で不通
JR西日本によると、大阪府北部で震度6弱を観測した地震で、山陽新幹線は新大阪―岡山間で不通となった。また、JR東海によると、東海道新幹線も東京―小田原間、名古屋―新大阪間で上下線とも一時運転を見合わせたが、米原―新大阪間以外は安全が確認されたため、午前8時40分までに再開した。米原―新大阪間の再開は午後1時ごろになる見込みという。
JR西日本とJR東海によると、在来線は大阪、京都、奈良、兵庫、滋賀のすべてで運転見合わせている。乗客のけがなどは不明。
鉄道各社によると、阪急、南海、阪神、京阪の全線で運転を見合わせ。近鉄と大阪メトロの一部路線では運転を再開した。
空の便にも影響が出ている。
日本航空は午前11時現在、大阪(伊丹)空港を発着する便を中心に、計26便の欠航を決めた。約2520人に影響する。全日空は午前11時20分現在、同空港発着便を中心に12便の欠航を決め、約900人に影響が出るという。
<大阪震度6弱>ラッシュ直撃 「一緒にいた子が」児童犠牲
大きな揺れが朝の都心部を襲った。18日午前、大阪府北部で最大震度6弱を記録した大地震。新幹線や各在来線は運転を見合わせて通勤・通学ラッシュを直撃し、主要駅は多くの人があふれた。大阪府高槻市で小学校の崩れた壁の下敷きになった小4女児(9)を含め計3人が死亡した。水道や電気などのインフラもトラブルが続いた他、火災や家屋の倒壊が相次ぎ、近畿地方の各地は大混乱した。
「一緒に登校していた女の子が壁の下敷きになっちゃった」。午前8時ごろ、大阪府高槻市栄町3の市立寿栄(じゅえい)小学校の出入り口で、立っていた男性警備員(70)に、駆け寄ってきた女児が伝えた。
高槻市教委によると、正門西側の通学路沿いにある同小のプールの壁(高さ3.5メートル)が40メートルにわたり道路に向かって倒れ、女児が下敷きになった。
警備員の男性は近くにいたトラック運転手ら大人5~6人と壁を持ち上げようとしたが、救助できなかった。男性が119番、間もなく救急隊員が駆け付けて壁を押しのけて救出。女児は体から出血しており、ぐったりしていた。
大阪市東淀川区上新庄2の住宅街では、民家近くのブロック塀(高さ約2メートル)が崩れ落ち、男性が下敷きになって亡くなった。近所の住民によると、この日朝、近くの新庄小学校に通う児童の見守り活動に向かっていた男性とみられる。男性は足が悪く、普段はつえを使っていたという。
一緒に活動に向かっていた別の男性が「大丈夫か」と声をかけたが、返事はなかった。この男性も足にけがをしたという。近くに住む井上清子さん(74)は「ドーンという音がして、崩れた壁を見てえらいことになったと思った」と青ざめた表情で話した。
震度6弱を記録した大阪市北区のJR大阪駅。居合わせた嘱託職員の女性によると、駅員が「地震だ」と叫び、利用客は身を伏せた。大阪駅で足止めされた高校3年の武並佳輝さん(17)は「在来線で駅に到着後に強い横揺れがあり、手すりを握りしめた。家族と連絡が取れず心配です」と声を落とした。
大阪駅から新大阪駅に向かう在来線は線路上で緊急停車した。乗客は約1時間半にわたり車内に閉じ込められた。兵庫県伊丹市の会社員、谷口博康さん(57)は「乗客は駅員に誘導されながら、大阪駅まで線路を歩いた」と疲れた様子で話した。
滋賀県豊郷町を通過中の東海道新幹線の車内では地震の発生を知らせるエリアメールが鳴り響いて急停車。車内は停電して一時騒然となった。客たちは携帯電話で安否確認をするなど落ち着かない様子だったという。
一方、大阪市内の公立小学校、中学校、高校の計約400校の多くが休校になった。既に登校していた生徒は学校のグラウンドなどで一時待機した。
大阪市城東区の中学1年の女子生徒(12)は地震の揺れがおさまったので登校したが、校舎には入らず、校庭に集められた。泣き出していた生徒もいたという。教諭らが人数確認した上で、地域ごとに集団下校した。「強い余震がこないか怖いです」と話した。
【伊藤遥、金志尚、松浦吉剛、東久保逸夫】
原発“大きな異常なし”近畿地方で震度6弱
18日午前8時前、近畿地方で震度6弱を観測する強い地震があった。関西電力によると、午前8時すぎ現在、管内の原発の状況について詳細を確認中だが、大きな異常はみられていないという。
携帯大手が災害用伝言板サービス開始 大阪北部地震で
NTT西日本、東日本と携帯電話大手3社は18日、大阪府北部を震源とする地震を受け、災害用伝言板サービスを開始したと発表した。
大阪北部 あす19~20日にかけて大雨か 今後の気象情報に注意を
18日朝、最大震度6弱の地震に見舞われた大阪北部は、あす19日(火)から20日(水)にかけて大雨のおそれがある。揺れの大きかった地域を中心に、土砂災害等に注意が必要だ。
大阪など近畿地方にかかっていた雨雲は、18日昼前には大半が東へ抜けて日差しの出ている地域もある。近畿は今夜にかけても、雨の降る範囲は狭いと予想されるが、そのぶん局地的な雷雨に対して注意が必要だ。
なお、あす19日は夜にかけて梅雨前線が西日本を北上する予想で、近畿では夕方から雨雲がかかり始める見通し。20日(水)は、ほぼ一日雨が降り続く予想で、特に大阪北部では午前中を中心に雨の強まる可能性がある。
地震により地盤の緩んでいる所があると予想されるため、今後の雨の降り方に一層の注意が必要となりそうだ。
近畿だけでなく、その他の西日本や東日本でも、今週は20日(水)を中心に雨の強まる所がある。南から湿った空気が流れ込むため、気温が平年並みの日でも湿気の多さを実感しそうだ。週末は、西日本から東日本にかけて、気温自体が高くなり蒸し暑くなる見込み。体調管理や、食品の管理に注意を心がけたい。(気象予報士・高橋 和也)