掲載漫画すべてが無料で読める合法無料漫画サイト「漫画村を置き換えたい」「漫画ビレッジ」開発者の思い

「漫画村を置き換えたい」 “合法無料漫画サイト”「漫画ビレッジ」開発者の思い

 掲載漫画すべてが無料で読めるサイト「漫画ビレッジ」が人気を集めている。

 その名称やデザインは、海賊版サイトとして悪名高かった「漫画村」に似ているが、漫画ビレッジは海賊版サイトではない。出版社の公式漫画アプリなどで無料公開されている作品を集めた、“合法”無料漫画のリンク集だ。タイトルやジャンルから作品を探せ、漫画アプリの作品ページに誘導。現在、4700以上の作品(シリーズ)を収録している。

 「漫画ビレッジは無料をうたってるが、漫画は無料だとは思っていない。正当な対価を支払うべきと考えている」。開発したフリーエンジニアの遠山晃さんさん(31)は話す。その真意は――。

●「『合法漫画村』があれば面白い」

 漫画ビレッジは、「少年ジャンプ+」「LINEマンガ」「漫画ZERO」「Kindle」などの漫画アプリ・サービスをクロールし、無料で配信されている作品を集めたリンク集だ。漫画タイトルで検索したり、「少女」「女性」「少年」「青年」といったジャンル別に作品を確認できる。

 ログイン不要で閲覧できる作品は、Webブラウザでそのまま閲覧可能。「漫画アプリの登録ユーザーが一定期間待つと無料で閲覧できる」などの条件がある作品の場合は、各アプリのログインページに誘導する。スマートフォン向けに最適化されており、ほとんどがスマートフォン・タブレットからの利用という。

 サービス誕生のきっかけは、友人で起業家の古川健介さん(37)との何気ない会話だった。「『合法漫画村』があれば面白いんじゃない?」「Webブラウザだけで漫画が読めるといいよね」。漫画村が閉鎖された4月末ごろ、古川さんとこんな話になり、実際に作ってみることにしたという。

 漫画村は、著作者に無断でアップロードされた海賊版漫画を無料で読ませるサイトだった。一方で、正規の漫画が無料で読めるアプリも多数出ている。ただ、どのアプリでどの漫画が何話まで読めるか分かりづらく、アプリを複数ダウロードして確認するのも面倒。「漫画アプリを横断し、Webブラウザで読めるサービスがあれば便利では」と考えた。

●「漫画村を置き換えたい」 サイト名や構成、あえて「漫画村」に似せる

 サイト名は当初「コミフリ」にしようと考えていたが、直前になってあえて、漫画村に似せた名称「漫画ビレッジ」を選び、「manga-village.com」のドメインも取得した。漫画村に似せることで、漫画村のユーザーに漫画ビレッジに来てもらい、合法に、お金を払って漫画を楽しむ習慣をつけてほしいと考えたためだ。

 漫画アプリなどで無料で提供されている作品の多くは、数話だけ無料で読め、続きを読みたい場合は有料で購入したり、時間が経つのを待つ必要がある。「最初の数話は無料で読んでも、面白ければ続きが気になり、有料でも購入するはず。無料漫画を探している人にも、最終的にはお金を払って読んでもらいたい」と遠山さんは言う。

 遠山さん自身は毎月5万円ほど漫画の電子書籍に費やすほど漫画好きで、海賊版サイトは使ったことがないという。「漫画村の影響で、中高生に『漫画は無料』という認識が広がるのは良くないと思っている」。有料で販売されている作品が海賊版サイトなら無料で読めるとなると、読者にとってはありがたいことのように思うかもしれないが、「正当な対価を支払わないとどこかにひずみが出て、漫画のエコシステムが壊れてしまう」と遠山さんは考える。

 サイトデザインも「漫画村」にあえて似せている。「漫画村はユーザーのことをすごく考えて作られており、出版社などの漫画アプリよりはるかに使いやすく、読みやすかった」ことに加え、「漫画村に慣れている人に漫画ビレッジに来てもらいたい」という思いがあるためだ。遠山さんは漫画村を使ったことがなかったため、過去のWebサイトを検索・確認できる「Internet Archive」で漫画村を見つけ、参考にした。

 漫画ビレッジは今後、SEO(検索エンジン最適化)を進めることで、ネット上で無料の漫画を探している多くの人にアプローチしていきたいという。具体的には、「無料 作品名」で検索した時、漫画ビレッジの作品が上位に来るようにしたいと考えている。

 「漫画村を置き換える存在になりたい。漫画村を使っていた人たちがいつの間にか漫画ビレッジに来て、最初の数話は無料で読めても、続きを読みたいならお金を出して買うのが当たり前、という意識になってもらえたら」

●月間コストは10万円以上だが「広告でペイできそう」

 開発にかかったのは約1カ月。個人でゼロからサイトを開発したのは数年ぶりだが、「ここ5年ほどで劇的に開発がラクになった。開発にかかる手間や時間は半分ぐらいになったのでは」と遠山さんは話す。集中すればもっと短期間で開発できたはずだが、「“個人開発あるある”ですが、なかなかやる気が続かなくて……」と笑う。

 開発がラクになったのは、ここ数年でWebサービス基盤やフレームワークなどが急激に整備されたためだ。漫画ビレッジの開発には、「Google Cloud Platform」や「Cloud Firestore」を活用。FireStoreはWebAPIとデータベース、ロードバランサが一体化されているためバックエンドを意識せずに開発でき、とても便利だったという。「フロントだけ設計すれば、バックエンドエンジニアがいなくても、パズルのようにサービスが作れる時代になった」

 当初は月間100万ページビュー(PV)あれば御の字と思っていたが、想定以上にアクセスが集まり、現在は月間500~800万PVペースで利用されているという。25~34歳のユーザーが多く、男女比は7:3ほどだ。

 予想以上に利用されている分コストもかかっており、サーバやCDN、検索サービスなどに月間10万円以上を支払っている。個人の持ち出しで続けるのは厳しいと判断し、6月上旬からサイトにAdSense広告を入れたところ、「経費は広告でペイできそう」な見通しだ。今後はSEO強化に加え、使い勝手の改善、対応漫画アプリ・サービスの増強などを行っていきたいという。

●出版社からも好意的な反応 「意見や要望、待っています」

 漫画ビレッジに掲載されているのは正規に無料提供されている漫画とはいえ、配信元から見ると、自社サービスではない導線から読者が入り込むことになる。それが歓迎されるか分からず、「出版社やアプリ運営元から否定的な声が出るかもしれない」と覚悟はしていた。だが実際にオープンしてみると、出版社やアプリ提供側からも好意的な反応が届いているという。

 例えば、小学館の漫画アプリ「サンデーうぇぶり」からは、「是非漫画ビレッジに載せてほしい」という連絡があり、担当者に会ったところ大歓迎を受けたという。一方、「漫画ビレッジへの掲載をやめてほしい」という連絡はまだ1件もないそうだ。

 遠山さんは出版社やアプリ提供元と積極的に連携したいと考えており、意見や要望があれば是非連絡してほしいと話している。

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「一切払うつもりない」「漫画村」元運営者に約17億円の賠償命令 人気漫画を無断で掲載

大手出版社が海賊版サイト「漫画村」の元運営者に損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は約17億円の賠償を命じる判決を言い渡しました。

「キングダム」や「ONE PIECE」などの人気漫画を無断で掲載されたとして2022年、大手出版社の「KADOKAWA」「集英社」「小学館」が海賊版サイト「漫画村」の元運営者を訴えた裁判。あわせて19億円あまりの賠償を求めていました。

東京地裁は18日の判決で元運営者について「許諾なく、不特定多数の利用者が無償で閲覧可能な状態にした」と指摘し、「漫画村」の元運営者に対し、約17億円の賠償を命じる判決を言い渡しました。

判決後、「漫画村」の元運営者が取材に応じました。

「漫画村」元運営者

「今回の判決は個人的に納得できないし、根拠を無視したものだと思っているのでまったく反省はしていないです」

――判決確定したら支払いのめどは?

「漫画村」元運営者

「一切払うつもりないです」

控訴を検討しているといいます。

一方、出版社側は…

原告3社代表

「日本発の巨大な海賊版サイトがなくなったという意味で非常に効果があったのではないか」

裁判を行ったことが、権利侵害に対する大きな抑止力につながったとしています。

「漫画村」元運営者に約17億円賠償命令 出版大手3社が共同会見

「ONE PIECE」などの人気漫画を無断で掲載されたとして、大手出版社3社が海賊版サイト「漫画村」の元運営者に損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は18日、およそ17億円の賠償を命じる判決を言い渡しました。

大手出版社の「KADOKAWA」「集英社」「小学館」3社が共同会見を行いました。

海賊版サイト「漫画村」元運営者に約17億円の賠償命令 東京地裁 出版大手3社が賠償求めた裁判

「ONE PIECE」などの人気漫画を無断で掲載されたとして、大手出版社3社が海賊版サイト「漫画村」の元運営者に損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は18日、およそ17億円の賠償を命じる判決を言い渡しました。

大手出版社の「KADOKAWA」「集英社」「小学館」は2022年、「キングダム」や「ONE PIECE」などの人気漫画作品が、海賊版サイト「漫画村」に無断で掲載されたとして、サイトの元運営者に対し、あわせて19億円あまりの賠償を求めていました。

東京地裁は18日の判決で、元運営者について「サイトの運営・管理に積極的に関与し、許諾なく、漫画作品の画像データを不特定多数の利用者が無償で閲覧可能な状態にした」と指摘。その上で、「漫画村」の元運営者に対し、およそ17億円の賠償を命じる判決を言い渡しました。

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17億円を支払え!漫画村元運営者「一切払う気ない」「逃げ切ります」払わないとどうなるのか…「俺が手にしたので何億円くらい」相手弁護士の見解は?

 海賊版サイト「漫画村」(閉鎖)でマンガを不正に公開されたとして、集英社や小学館、KADOKAWAの出版大手3社が損害賠償を求めた民事裁判で、東京地裁は元運営者・星野ロミ氏に計約17億円を支払うよう命じた。だが、元運営者は「一切払うつもりはない。逃げ切る」という。出版社側は勝訴したものの、「逃げ得」はあり得るのか。経済アナリストの佐藤健太氏が解説するー―。

東京地裁が約17億円を支払うよう命令

「民事は負けたとしても無いところからは取れない。気持ちはすごい楽。仮に民事で負けたところで財産がないところからは取れない」。海賊版サイト「漫画村」の元運営者である星野ロミ氏は4月18日に公開したYouTuber動画で、このような持論を展開した。

 出版大手3社が著作権をめぐり損害賠償額として約19億円を求めた異例の裁判は、東京地裁が約17億円を支払うよう命令した。すでに閉鎖されているため忘れている人もいるかもしれないが、「漫画村」は2016年頃に開設された国内最大の海賊版サイトだ。「ONE PIECE」(ワンピース)や「キングダム」といった人気マンガを作者や出版社に無断で公開し、著作権などを侵害していた。

 星野氏は2019年に渡航先のフィリピンで身柄を拘束され、著作権法違反と組織犯罪処罰法違反の疑いで逮捕。福岡地裁は2021年6月に懲役3年、罰金1000万円、追徴金約6300万円の実刑を言い渡した。星野氏は服役後の2023年9月に「マンガはアップロードしていない」などと無罪を訴えて再審請求を行っている。刑事裁判とは別に、2022年7月に出版大手3社が提起したのが今回の損害賠償訴訟だ。人気マンガを刊行する出版社側は「民事でも責任追及されるべきだ」と訴え、小学館が約9億円、集英社は約4億3000万円、KADOKAWAは4億円の損害が生じたと主張した。

俺が手にしたので何億円くらい

 4月18日の東京地裁では「実質的に電子配信された作品を購入したのと変わらない状態が続いた」などと出版権や独占的利用券の侵害を認めた。「漫画村」は2018年4月頃に閉鎖されるまでの間、5億件を超えるアクセスがあったとされ、裁判では平均閲覧数や販売価格などをもとに損害額が計算されている。

 約17億円の支払い命令は、海賊版サイトをめぐる賠償額としては過去最大だ。だが、星野氏は判決後に撮影したYouTuber動画で「そもそも18億円なんてもっていない。見せしめにするための裁判だと思っているのであまり気にせず、今後も頑張っていこうと思っている」と主張。判決に不満をにじませ、支払う考えは一切ないとの姿勢を示している。

 2022年11月に公開された実業家・三崎優太氏のYouTubeチャンネルに出演した星野氏は、自らが「どっかで働くとかできないくらいコミュニケーション能力が低かった。それで人と関わらないでできる仕事をやろうと思って」と振り返り、「違うサーバーにアップロードしているのを漫画村のサーバーを経由して保存しないで表示するシステムをつくった。著作権法違反ではないのかなと思って公開した」と説明。利益は「俺が手にしたので何億円くらい」と話し、旅行などにお金を使っていたという。

財産無ければお金は取られないし払わなくても罰則は無い

 星野氏は4月18日の「X」(旧ツイッター)に「大谷翔平の水原 ―24億 漫画村の星野ロミ ―18億 芸人粗品 ―2億 こう考えるとたいした事ないな」と投稿。21日にも「賠償命令が出ても財産無ければお金は取られないし払わなくても罰則は無い 生活に必要なお金・物を抑えられないからパソコンや布団も取れない」(原文)とつぶやいている。

「財産はない」「払うつもりはない」と主張する星野氏は、このまま約17億円の支払い命令から逃げ切ることが可能なのか。まず、星野氏が支払うことを拒否し続けた場合、星野氏が保有する財産が調査される。不動産や預貯金、有価証券などの財産があれば差し押さえられ、回収に充てることが可能だ。

 だが、賠償額は約17億円と莫大である。給料の一部から回収することもできるが、星野氏がそれだけの財産を持っていなければ強制執行しても、直接お金を回収するのは困難と言える。支払い能力がなかったり、判決後も払われなかったりするケースは実は少なくないのだ。仮に海外に財産があるケースでも、差し押さえに費用や時間がかかる。

 星野氏は4月23日の「X」に、「日本の裁判で勝ってもほぼ意味ない――財産が海外にある場合日本の判決で差し押えできる? 英国、ドイツ、米国一部の州であれば、当該国の裁判所に強制執行を申し立てれる それ以外の国の場合強制執行をかけることはできません」(原文)と投稿。“三重国籍”を公言する星野氏は、支払い命令から逃げ切れるとの自信を見せている。

弁護士は「時間がかかっても回収に努める」

 こうした姿勢に出版社側がいかに対応するかは現時点で不明だ。判決後、原告の代理人弁護士は「時間がかかっても回収に努める」としたが、3社は「当時、最大規模であり、海賊版サイトの象徴でもあった『漫画村』に関し、刑事処罰を求めるのみならず、民事上生じた責任を追及することは、著者が安心して創作できる環境を整え、心血を注いで生み出された作品を預かる出版社の責務であることから、原告3社が共同して提訴した」と説明。その上で「一部のネタバレサイト、SNSの無断アップロードなどは存在しているが、国内発の海賊版サイトに関してはほぼ根絶できた」と強調している。

 出版社として作者の権利を守り、著作権侵害という行為には毅然として対応することを強調しつつ、今回の裁判が「抑止力」となったことの意義を感じさせる。その理由は「漫画村」のような海賊版サイトがなおも存在している点にある。出版社などでつくる一般社団法人「ABJ」によると、海賊版サイトは約1000件あり、日本人向け上位10サイトのアクセス数は2021年10月に合計4億回(月間)を超えた。海賊版サイトによる被害額は2023年に約3820億円に上ったという。

違法性を認識しながらダウンロードすること自体の罰則も

 上位10サイトのアクセス数は今年に入り、1億回超にまで減少しているが、新興サイトは次々と出現している。こうした海賊版サイトによる被害を背景に2021年1月にスタートした改正著作権法には、違法性を認識しながらダウンロードすること自体の罰則も盛り込まれた。インターネット上に違法に掲載されたマンガなどの著作物をダウンロードすることは、個人で楽しむ場合でも違法となったのだ。写真や新聞、イラスト、コンピューターソフトなど全ての著作物が対象となり、海賊版を継続してダウンロードした場合には2年以下の懲役・200万円以下の罰金となる可能性がある。

 海賊版サイトの多くは、広告収益が目的だ。アクセス数が少なければ、サイト側も割に合わなくなる。最近は映画を違法に編集した「ファスト映画」や過激化する動画で注目を集めようとする傾向が強まっているが、違法性があれば当然罰せられる。映画館の「NO MORE 映画泥棒」だけではなく、すべての著作物において「NO MORE 海賊版」を一人ひとりが自覚すべき時代に入っている。

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