寝る前スマホ厳禁!目の老化は認知障害に繋がる、PC、スマホ… 目が酷使される現代

寝る前スマホ厳禁!目の老化は認知障害に繋がる

PC、スマホ…
目が酷使される現代

 五感(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)を通じて入手した外界の情報を脳が処理・分析することで、私たちは思い通りの生活を営んでいます。五感の中でも脳が処理する情報の80%は視覚から入手されています。私たちは、常に、ものを触ったり、臭いをかいだり、人の話に耳を傾けたりしているわけではありませんので、睡眠中などの目をつぶっている時以外は、絶えず目から情報を得ているのです。

 意外なことに、身体の中で最も活動的に動いている筋肉は、腕や脚の筋肉ではなく目の筋肉でもあります。目には動いている部位が200万個以上もあり、毎時間3万6000種類もの情報を処理する能力があります。そして無意識のうちに目は動き続けています(睡眠中でも動いています)。

 目は心身の健康状態を映し出す鏡でもあります。過労や寝不足の時は、目を見ればそのコンディションの悪さがわかりますし、下まぶたの裏側や白目の部分の色が変化している場合は貧血や内臓に病気があることが示唆されます。眼を調べれば、糖尿病、高血圧、動脈硬化などの兆候や進行度について捉えることができるのです。

 このように休むことなく機能し、心身の影響を受けやすい目が、現代社会では極端に酷使されるようになってきました。

 パソコンやスマートフォンの急速な普及がその理由の一つです。カラーテレビやテレビゲームなどによる影響とは比べ物にならないほど、スマホの長時間使用による眼精疲労、ドライアイ、そしてブルーライトによるダメージは甚大です。それにより目のエイジングは今後、これまで誰も経験したことがないほど急速に進むことが危惧されています。

目の老化は
脳の老化を引き起こす

 脳に伝わる感覚の8割が目から入ってくるわけですから、目が衰えて視覚情報が減ると脳への刺激も弱くなって、老化が進むことは想像に難くないことです。

 目の老化により視力が低下し視野が狭くなると、視覚情報の低下により脳が興奮しにくくなります。すなわち、刺激に対する脳の反応が弱まるため、意欲や活動性が低下します。

 この時、記憶のために必要な情報も得られなくなると、認知機能の低下も進みます。実際に脳が刺激を受けて興奮しなくなると認知障害が悪化することはしばしば報告されています。

 視覚から得られる様々な情報や刺激が、日常生活における積極性や新しい創造の原動力になるのですから、目の機能を保つことは脳のアンチエイジングにとって極めて大切だということになります。

目の機能低下が起きる
5つのポイント

 目の老化には「涙の分泌量や質の低下」「血管の硬化」「毛様体筋の衰え」「水晶体の変化」「網膜の劣化」といった5つのポイントがあります。それぞれの症状と原因を紹介します。

 (1)「涙の分泌量や質の低下」がドライアイを招く

 涙には目の表面を潤して保護するだけではなく、目の表面を構成している角膜や結膜に栄養を供給する大切な働きがあります。

 涙の分泌量や質の低下が加齢によって引き起こされると、いわゆるドライアイとなって、目の乾き、異物感、痛み、疲れなど、目の不快な症状を招きます。

 不快な症状に悩まされないためには、まばたきをすることが極めて大切です。まばたきにより涙分泌が刺激されるばかりか、角膜や結膜の表面に涙がしみわたって栄養や酸素が十分送り届けられるからです。

 通常は、1分間に20回程度、すなわち3秒に1回はまばたきが必要なのですが、加齢でなくともスマホやパソコン画面を凝視していると、まばたきの回数が極端に減ってしまい、ドライアイが進みます。ドライアイを悪化させる他の要因は、コンタクトレンズの長時間装用、睡眠不足、ストレス、エアコンの長時間使用による乾燥などが挙げられます。

 (2)「血管の硬化」による動脈硬化が目の機能を低下させる

 目の老化のポイントの2つ目は、酸素や栄養を届ける血管の硬化です。高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が原因となり、血管が老化し、やがて動脈硬化が進行すると、目に対する血流が減って酸素不足や栄養不足となり目の機能低下が生じます。

 元をたどれば、生活習慣病にならないような健康管理が必要です。

 (3)長時間スマホ・老眼による「毛様体筋の衰え」

 3つ目はピントを調節する毛様体筋の衰えです。老化と共に筋力が衰えて、ピント調節ができなくなることが老眼の一因です。

 画面を見る時に、近い距離で長い時間凝視し続けると毛様体筋の疲労が進みます。やはりスマホの普及により何時間も近くを凝視する人が増えてきたため、毛様体筋の筋力や柔軟性の低下が発生しやすくなります。

 (4)加齢による「水晶体の変化」

 4つ目は水晶体の変化です。ものを見る際、毛様体筋の収縮弛緩により水晶体が薄くなったり厚くなったりすることで焦点が調節されています。

 老化によって水晶体の弾力性が失われると、老眼につながります。また、水晶体が濁って視力が低下するのがいわゆる白内障です。

 水晶体の白濁は紫外線などによる酸化ストレスの関与が大きいと言われています。主症状は視力低下ですが、長い年月をかけて徐々に進行するため自覚されにくいようです。

 (5)紫外線やブルーライト、喫煙による「網膜の劣化」

 最後は網膜の劣化です。網膜はカメラのフィルムに相当する重要な部分です。水晶体を通過してきた視覚情報が、網膜上で結像し実際に見える形が作られます。

 網膜のほぼ中央にある黄斑部はルテインなど黄色の色素によって保護されていますが、老化によってこの色素が減ると、紫外線やスマホなどから発せられるブルーライトの影響を強く受けてしまいます。光以外では、喫煙によるダメージも大きく影響するようです。黄斑部の色素減は、近年急増している、加齢黄斑変性という視力低下や失明に繋がる疾患が発症しやすくなります。

 紫外線やブルーライトといった直接目に入る刺激のほか、ライフスタイルの欧米化や高齢化が加齢黄斑変性の増加の理由と考えられています。

寝る前のスマホは厳禁!
電車やデスクでできるセルフエクササイズも

 上に挙げた、目の老化の5つのポイントを意識し、涙分泌・血管・毛様体筋・水晶体・網膜の機能を落とさなければ目の若々しさを保つことができます。

 生活する中で基本となる大切なことは、目の酷使を避け、目を十分休ませることです。長時間スマホやパソコンを見続けない、まばたきを意識する、十分な睡眠時間を確保する、などが目の保護に役立ちます。最後に、日常に取り入れられる目のケア方法をお伝えします。

 まず、多くの人がやってしまいがちな寝る前のスマホの使用は、厳禁です。ブルーライトの影響で睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され、良質な睡眠が得られなくなります。

 また、日中に紫外線の刺激を回避することも大切です。サングラスや帽子、日傘などを利用して目をしっかりと守りましょう。

 近視や遠視も放置せずに適切な視力調整をすることでも目の負担が軽減されます。

 また、生活習慣の管理が目の機能保持に大きく影響するのは言うまでもありません。特に糖尿病や高血圧は目の老化を促します。甘いものや塩分摂取を控えて適度な運動に心掛けることです。

 さらに、目にとって必要な栄養素を摂取することも忘れてはいけません。

 特に、ルテインは大切です。先述したように、網膜の中心にある黄斑はルテインによって外界の刺激から守られています。人は生まれながらにして一定量のルテインを持っていますが、それは目の酸化を防ぐために徐々に消費されています。ルテインは体内で合成できないので、外から補充されなければいずれは枯渇してしまいます。そのため、ルテインが豊富に含まれる、ホウレンソウ、ブロッコリー、ゴーヤなどの食材を摂り入れると良いでしょう。

 最後に、目のセルフエクササイズを習慣化することをお勧めします。ピントを調節し、眼球の動きをつかさどる筋肉をよく動かすことで、筋力が維持されるばかりでなく、目の血流も改善して酸素や栄養が目全体に十分に行き渡るようになります。

 具体的なセルフエクササイズは、3つあります。(1)視線を同じにして、近いところと遠いところを繰り返し見てください。10回程度繰り返すと、目の周囲の筋肉がストレッチングされて疲労回復にもなります。また、(2)目を大きく見開いて眼球をぐるぐる回したり、上下左右を見たりするのを30秒程度行うのも血流回復に非常に役立つようです。(3)単にまばたきするだけではなく、顔全体の筋肉を使うように大きく目を見開いてその後急激に思いっきり強く目をつぶる、これを何度か繰り返すのも目の機能維持に大きく役立ちます。

 能動的に筋肉を動かし、目のアンチエイジングに取り組みましょう。

(北青山Dクリニック院長 阿保義久)

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