AIの権威が率いる自動運転「Drive.ai」米国で公道テスト開始
自動運転スタートアップの「Drive.ai」は、本社のあるシリコンバレーから遠く離れたテキサス州で初の公道テストを開始する。ダラス郊外の住民に対して自動運転車による配車サービスを提供する予定だ。
テストは7月から6カ月間に渡ってフリスコ市で行われ、多くのオフィスビルが集まる地域と「The Star」(レストラン、エンターテイメント、店舗のほか、ダラス・カウボーイズの室内トレーニングセンターなどが入居する商業施設)の間を車両が走行する。テストには、Drive.aiのテクノロジーを搭載した日産のミニバン「NV200」が4台使われ、車体は明るいオレンジ色に塗装されている。ユーザーは、専用アプリをダウンロードすれば無料で利用することができる。
Drive.ai の副社長で事業戦略を担当するConway Chen によると、同社がダラス近郊を選んだのは「多様な地域性と、交通問題への取り組みに熱心であること」が理由だという。
「フリスコ市の交通局は、地域住民に対する新たな交通サービスの提供を模索しており、土地開発業者も交通問題を重視している」とChenは話す。
競合他社では、2016年にウーバーがピッツバーグで公道テストを開始したのを皮切りに、アルファベット傘下のウェイモがアリゾナ州フェニックス郊外で「Early Rider」プログラムを実施しており、自動運転技術を手掛ける「Aptiv」も配車サービスの「リフト(Lyft)」と共同で自動運転タクシーの運行を行っている。
個々のテストは小規模だが、テクノロジーを改善すると同時に、自動運転車を一般のユーザーに体験してもらう上で貴重な機会となっている。特にウーバーの実験車両がアリゾナ州テンピで死亡事故を起こした後だけに、安全性のアピールは各社にとって重要な課題だ。
Drive.aiは、この2年間で総額7700万ドル(約85億円)を投資家から調達し、自動運転車向けのソフトウェアやマッピング技術を開発してきた。同社は、既存車両を自動運転車化するためのアドオンキットも開発している。Drive.aiの自動運転技術がユニークなのは、車両にカメラやレーター、レーザー、LiDARセンサーを搭載するだけでなく、デジタルサインで周辺の人に車両の動きを知らせることができる点だ。
Drive.aiは、スタンフォード大学のAI研究所出身の科学者らによって設立された。自動運転技術の開発レースは、ウェイモやGM傘下のクルーズオートメーション(Cruise Automation)、ウーバー、テスラなどの大手がしのぎを削っており、Drive.aiは苦戦を強いられている。
「歩行者と会話する」自動運転車両
Drive.aiにはウーバーのライバルであるシンガポールの配車サービス「グラブ(Grab)」が出資しているが、取締役会メンバーで”AIの権威”と呼ばれるアンドリュー・エン(Andrew Ng)によると、同社は単独で競争を勝ち抜くつもりだという。エンはスタンフォード大学コンピュータサイエンス学部の教授で、これまでにバイドゥ(百度)やグーグルでAIプロジェクトを率いた経歴を持つ。
「今は、我々が取るべき戦略を練るのことに注力している」とエンは話す。彼の言う戦略には、安全性への取組みも含まれる。「車内の安全確保はもちろん、周辺への配慮も重要だ」と彼が話す通り、同社はテスト車両が目立つように明るいオレンジ色で塗装し、通常の車両とは異なることをアピールしている。
「我々は、車両の外面にパネルを取り付けて、歩行者らとコミュニケーションをとっている。例えば、あなたが横断歩道を渡っているときに無人車両が停止していたら、あなたのことを認識しているか不安に思うだろう。そこで、我々はパネルに”横断歩道を渡り終えるまで待機します”などと表示させている」とエンは話す。
Drive.aiは完全無人化を実現するまでに3つのフェーズを用意している。最初は運転席に人間のドライバーが座り、問題が発生した場合に運転を行う。その後は、助手席にのみ監視係が乗車して乗客に自動運転車について説明を行う。そして最終フェーズでは人間は誰も乗車せず、ロボットが運転を行う。
このプロジェクトはデントン郡交通局が管轄し、運営は「Hall Group」、「Frisco Station Partners」、「The Star」が行う予定だ。
