米国「スマホ中毒」に懸念=IT企業に対応迫る、ネット依存症、予防するには 費やした時間の記録から

「スマホ中毒」に懸念=IT企業に対応迫る―米

米国でスマートフォンやタブレット型端末などの過剰な利用が子どもの精神衛生や発育に悪影響を及ぼすとの懸念が広がっている。

 インターネット交流サイト(SNS)やゲームに対する若年層の「中毒症状」は、家庭や教育現場の深刻な課題。IT企業には社会的責任として対策を求める声が上がっている。

 「多くのスマホはスロットマシンのように設計されている」。IT大手アップルの本社があるカリフォルニア州クパチーノの中学で4月下旬、公立学校運営組織が開いた講演会。電子機器依存の防止に取り組む団体センター・フォー・ヒューメイン・テクノロジーのマックス・ストッセルさんは、熱心に耳を傾ける保護者らにスマホ中毒への対処を訴えた。

 SNSは利用が長時間に及ぶほど広告媒体としての価値が高まるため、利用者がスマホを頻繁に閲覧するよう通知を送り続ける。ストッセルさんは「広告ビジネスを展開する企業はサービス利用者を売り物とみている」と警告する。

 一方、アップル株主のカリフォルニア州教職員退職年金基金は1月、子どものスマホ使用について保護者による管理機能強化を求める書簡を投資ファンドと連名でアップルに送った。スマホ中毒対策が企業価値の向上につながるとの提案だ。

 書簡は、電子機器に依存する若年層は睡眠不足に陥りやすく、うつや自殺のリスクが高いという研究を引用。iPhone(アイフォーン)を世に送り出したアップルに「年端もいかない顧客に対する責務を負うことで再び先駆者の役割を果たせる」と迫った。

ネット依存症、予防するには 費やした時間の記録から

 ネット依存症は、オンラインゲームやSNSなどのやり過ぎを自分でコントロールできない状態だ。心身の健康悪化、遅刻や不登校、家庭内暴力などの問題が起きている場合に依存症と判断する。厚生労働省研究斑の2012年度の推計では、ネット依存症の恐れがある中高生は52万人に上った。ネット依存症のうち最も多いのはオンラインゲームへの依存だ。

 世界保健機関(WHO)は今年6月に公表する疾病分類の改訂案で初めて、ゲーム依存症を「ゲーム障害」として疾患名に入れる。

 WHOの定義は、ゲームをする時間などを自分でコントロールできず、他の関心事や日常の活動よりもゲームを選ぶほど優先度が高く、様々な問題が起きてもゲームを続けたり、より多くゲームをしたりする状態。原則としてはそういった状態が12カ月以上続くとゲーム依存症と診断されるが、症状や問題が深刻な場合にはもっと短期間でも診断できるとしている。

 治療は、医師や臨床心理士らによるカウンセリングが主体となる。全国で初めて専門外来を開設した国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長は「意志が弱いからゲームやネットをやめられないのではなく、依存症という病気。依存症の状態に陥ったら個人や家族の努力だけで治すのは困難なので、専門機関の治療を受けてほしい」と話す。

 依存症まではいかなくても、依存の恐れがある場合はどうしたらいいか。樋口院長が勧めるのは、まずは自分がどれぐらいゲームなどをしているのか実態を把握することだ。毎日、何時から何分間、ゲームやネットをしたかを記す。

 実態を把握したら、今度は「食事中はゲームをしない」「ベッドに入ったらゲームをしない」など、短時間でいいのでスマートフォンなどをいじらない時間帯を決める。次の段階で、ゲームも含めてネットをいじる上限時間を決める。

 「目標を立てる時に大切なのは、実現可能な内容にすること」と樋口院長はいう。例えば「通学中にゲームをしない」という目標を立てても、何年にもわたって通学中にゲームをしていた人が、周りにゲームをしている人が大勢いる電車の中で我慢するのは難しい。ゲームをする時間を減らす分、音楽鑑賞やスポーツなど、別の楽しみを見つけると目標を達成しやすいという。

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