完全無線イヤホン:高級モデル6機種、音質か操作性か、世代で違うベスト

完全無線イヤホン 音質か操作性か、世代で違うベスト

 最近、左右の耳に装着するパーツが離れている「完全ワイヤレスイヤホン」の人気が高まっている。だが、また登場して間もないだけに製品によって何が違うのか、何を基準に選べばいいかわからないという人も多いだろう。そこで、昭和生まれと平成生まれ、世代の異なる2人に、これまで試聴した完全ワイヤレスイヤホンの高級モデル6機種から、ほしいと思うモデルを選んでもらった。音質を重視する50代と、使い勝手は譲れないという20代。それぞれが選んだのは何か。

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 昭和生まれのオーディオ評論家と平成生まれのライター、30歳の年齢差の2人によるこの連載では、2018年に入ってからこれまで複数の完全ワイヤレスイヤホンを聞き比べてきた。ソニーの「WF-1000X」とBOSE「Soundsport Free」、JBL「JBL FREE」、EARIN「EARIN M-1」と「EARIN M-2」の5機種だ。記事では取り上げていなかったが、Apple 「AirPods」もそれぞれ試聴している。

これまで完全ワイヤレスイヤホンを取り上げた記事

■全無線イヤホン対決 音質はBOSE、機能はソニー 

■JBL初の完全無線イヤホン 音質高評価、難点は音切れ 

■完全無線イヤホン先駆者 EARIN新機種の進化と変化

 GfKジャパンの調査によれば、完全ワイヤレスイヤホンは1万円台後半がボリュームゾーン。JBL FREEとAirPodsを除くと、どれも2万円台半ば~3万円台で、完全ワイヤレスイヤホンの中では高級路線だ。今回は、この計6機種の中から「欲しい」と思う製品をそれぞれ2機種挙げ、さらに実際に使って見えてきた完全ワイヤレスイヤホンの長所や短所を話し合った。

■重さや再生時間にばらつきあり

小原(54歳のオーディオ・ビジュアル評論家) 今回のテーマは、これまで試聴した6機種の完全ワイヤレスイヤホンの中から、それぞれが欲しいモデルを選ぶんですね。

小沼(26歳のライター) そうです。まず、6機種のスペックをまとめたものを見てみましょう。

小原 こうしてまとめてみると、重さや再生時間などにかなりばらつきがあることがわかりますね。

小沼 音質だけではなく、こういった要素も完全ワイヤレスを選ぶ上では重要になってきそうです。

■平成世代は製品の使いやすさでセレクト

小沼 まず、僕が選んだのは「EARIN M-2」です。選んだ基準は第一に製品としての使いやすさ。ケースが小型で持ち運びやすく、ペアリングも安定していました。単体4時間、ケース併用で14時間という再生時間も満足できる範囲です。

小原 EARIN M-2は今回の6機種のうち、唯一の3万円超えと、一番高価ですが。

小沼 高価ですが、それに見合った音の良さだと感じています。細かな音の描写力に優れていて、音作りもポップスをよく聴く自分好みです。製品としての完成度も高いので、使い勝手と音質の両方をこだわりたいならM-2がベストだと思いました。

小原 もう一機種選ぶとしたら?

小沼 「AirPods」ですね。EARIN M-2と同じで、ケースが小型で持ち運びやすく、ペアリングも安定していますから。バッテリーもケース併用で24時間再生と大容量です。

小原 AirPodsの音質はどうでしたか? 僕が音楽プレーヤーとして使っているAstell&Kernの「A&Ultima SP1000」では、ボリュームをマックスまで上げても十分な音量を確保できず、評価できなかったんですよ。

小沼 インイヤータイプなので遮音性も低いですし、細かな音も聞こえづらいので音質は他に劣ります。ただ、僕が音楽を聴いているiPhone Xに最適化されて作られているので、すごく使い勝手が良いんです。ペアリングのトラブルが圧倒的に少ないうえ、充電ケーブルがLightningなのでiPhoneと共用できるのも便利。価格も抑えられていますし、総合力で優れていると感じました。

小原 iPhoneとあわせて使うのであれば、やはり良いんですね。

■「情報量」を重視した昭和世代

小原 僕の場合、オーディオのクオリティーが一番の判断材料になります。音のバランスや情報量、再現性などですね。その基準で僕が欲しいと思ったのはJBL「JBL FREE」。そして次点がBOSE「SoundSport Free」でした。「EARIN M-1」の音も好感が持てたのですが、生産完了のようなので。

小沼 どちらも音がプレーンで、情報量の多さが魅力でした。

小原 小沼さんとは違って、操作性は評価軸には入っていません。それでも、JBL FREEは音切れが多いなどの難点を差し引いても素晴らしい音だと感じましたが。

小沼 音切れが多発するのは、僕としては一番避けたい問題です。でも、細かな音がしっかり聞こえるのは僕も好きなので、音質だけで判断するならこの評価は納得です。

小原 情報量が多いと、新しい発見がありますからね。他のイヤホンで気づかなかった音に、JBL FREEとEARINシリーズでは気づくことができる。細かいニュアンスを重視するというポイントでは、僕も小沼さんも同じ評価軸なのでしょう。一方、ヒップホップなど低音重視の音楽を聴きたい人であればソニーの「WF-1000X」も選択肢に入ってくると思いますよ。

■平成世代「ワイヤードには戻れない」

小原 これまでいろいろな製品を比べてきましたが、小沼さんはしばらく完全ワイヤレスイヤホンを使ってみてどうですか。

小沼 僕はもう、ワイヤードには戻れないです。

小沼 満員電車に乗るときもケーブルの心配をしなくていいですし、家の中で少しスマホを置いて行動できるのが便利です。アルバムがあと1、2曲で聴き終わるというタイミングで家に着いてしまっても、イヤホンをつけたままシャツを脱いで部屋着に着替えられるのも楽ですね(笑)。

小原 そこまでして聴き続けますか(笑)。ネックバンドタイプなど、左右がつながっているBluetoothイヤホンと比較するとどうです?

小沼 左右のペアリングが途切れる心配がないのはうれしいですが、全般的な使い勝手は完全ワイヤレスのほうが楽ではないでしょうか。ランニングなどスポーツをするときは特にそうですし、持ち運びもスマートです。

小原 完全ワイヤレスは小さすぎて、装着時に落としてしまわないか不安になることがあるんだよなあ。若者からすると格好良いのはわかるけど、僕くらいの年齢になると、ここまでの小ささは必要ないとも思う。

小沼 実際に落としたことはなく、落とした例を聞いたこともないですが、装着時は少しだけ気をつけているかもしれません。安心感では、ネックバンドタイプにも需要がありそうですね。

■音質、ペアリングには改善の余地あり

小沼 小原さんにとって、完全ワイヤレスは「使いたい」と思える製品ですか?

小原 気軽に外出するときなど、選択肢の一つには入ってきていますね。ただ、まだ高音質のコーデックには対応していませんし、ペアリングが途切れるというのもネックです。この点が改善されてきたら、自分としても主力になってくると思います。

小沼 ハイレゾ音源に対応している製品もまだほとんどないですしね。ペアリングの安定度合いは製品によってばらつきがあるとも感じます。

小原 ペアリングの技術は外注することが多く、自社で改善するのが難しいという話をメーカーから聞きました。そのメーカーも完全ワイヤレスイヤホンを出しているんだけど、ペアリングに苦戦して、しばらくは次回作を出さないと言っていました。

小沼 完全ワイヤレスは先駆けのEARINでもつい最近2作目を出したばかり。どこもまだ手探りなのかもしれませんね。

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 事前に別の機種を選ぼうと打ち合わせたわけではないが、小沼は操作性や製品の完成度、小原氏は音質という観点から評価したことで、それぞれ異なる製品を選ぶことになった。ただ完全ワイヤレスイヤホンが魅力的な可能性を持つという点では一致している。大手メーカーでもまだ1作目を出してから日が浅く、需要が高まるにつれ、趣向を凝らした製品が登場してくるだろう。引き続き、今後の動向に注目したい。

小原由夫

 1964年生まれのオーディオ・ビジュアル評論家。自宅の30畳の視聴室に200インチのスクリーンを設置する一方で、6000枚以上のレコードを所持、アナログオーディオ再生にもこだわる。現在メインで使っているイヤホンは「FitEar Air2」(須山補聴器)。最近のヘビーローテーションは『シェイプ・オブ・ウォーター(オリジナル・サウンドトラック)』。

小沼理

 1992年生まれのライター・編集者。最近はSpotifyのプレイリストで新しい音楽を探し、Apple Musicで気に入ったアーティストを聴く二刀流。最近のヘビーローテーションは『Geography』(トム・ミッシュ)。

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