東京電力福島第1原発事故、対策担当東電社員...津波「切迫性なかった」原発事故強制起訴

対策担当東電社員...津波「切迫性なかった」 原発事故強制起訴

 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された勝俣恒久元会長(78)ら旧経営陣3人の第7回公判が17日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれた。事故前に第1原発の津波対策に携わった東電の男性社員が、本県沖では津波の発生頻度を計算するのに必要な過去の大地震の記録がなかったとして、「津波対策は必要と思っていたが、原子炉を止めるほどの切迫性は感じていなかった」と証言した。弁護側の尋問に答えた。

 社員の証人尋問は10日の第5回公判から3度目。社員は事故前に東電の新潟県中越沖地震対策センターに所属し、本県沖の津波高を試算する部署の課長などを務めた。

 社員は2008(平成20)年6月、津波地震に関する政府見解(長期評価)に基づけば、最大15.7メートルの津波が第1原発の敷地南側を襲うとの計算結果を被告の一人、武藤栄元副社長(67)に報告していた。

 社員はこの日の尋問で、長期評価が想定する日本海溝沿いの大地震について〈1〉本県沖では前例がなく、発生確率が計算できない〈2〉東日本大震災級の巨大地震が起きるとの知見はなかった―などとして、「(大地震の発生確率は)時間をかけて計算できる(余裕がある)と思っていた」と述べた。

東電社員が作成証言「津波対策は不可避」 原発事故強制起訴公判

 東京電力福島第1原発事故の約3年前の2008(平成20)年9月、東電内で「津波対策は不可避」との社内資料が作成されていたことが11日、分かった。東京地裁で同日、業務上過失致死傷の罪で強制起訴された東電の旧経営陣3人の第6回公判が開かれ、08年当時から事故まで津波対策を担当した現役社員が証言した。この社員によると、被告の一人の武藤栄元副社長(67)から津波対策の保留を指示された後も現場レベルで対策を検討していた。

 東電が少なくとも事故の3年前には津波の危険性を認識していたことを示す資料。地裁はこの資料を証拠採用しており、判決の事実認定に影響する可能性がある。旧経営陣の「大津波は予測も対策も不可能だった」との主張と大きく食い違う証言で、この社員から津波対策の必要性について報告を受けていた武藤氏の認識が今後の公判の焦点となりそうだ。

 証言したのは事故前に同社の新潟県中越沖地震対策センターの土木グループで課長を務めた男性社員。証言や公判で示された作成資料によると、この社員は08年6月、津波地震に関する政府見解(長期評価)を基に、最大15.7メートルの津波が第1原発の敷地を襲うとした試算を武藤氏に報告した。

 武藤氏は翌7月、長期評価に基づく津波対策について保留を指示。しかし、この社員らは「長期評価を完全に否定するのは難しい」「津波対策は不可避」などと記した資料を作成し同年9月、第1原発で説明会を開催。長期評価を採用した場合に想定される津波高などを当時の第1原発所長らに説明した。

 津波に関する検討状況の部分には「機微情報のため資料は回収。議事メモには記載しない」と津波対策を保留した上層部を意識したとみられる記述もあった。

 この社員は一方で、第1原発を襲った津波は「想定(15.7メートル)を超えていた」とも述べた。

 次回公判は17日午前10時から。引き続きこの社員の証人尋問を行う。

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