iPadとMacで、生徒たちは自分のペースで学習し成果を実現

iPadとMacで、生徒たちは自分のペースで学習し成果を実現

ワイルダー小学校の生徒、Kahlilia MarkさんがiPadで授業のプロジェクト用にビデオを撮影しています。

ワイルダー小学校(アイダホ州ボイシ市郊外)に一歩足を踏み入れると、ほかの学校とは違って、普通よく耳にする「何か」が聞こえないことに気づくでしょう。

この学校には、授業と授業の間に生徒たちに教室を移動するよう告げるチャイムがありません。黒板の前に立ち、30名ほどの生徒たちに向かって授業を行う教師もいません。実際、この学校には、大きな声でおしゃべりしている光景も、教師が叱っている光景も、騒がしい音もありません。

でも、この静けさに惑わされてはいけません。この静かな教室では、今まさに教育革命が起こっているのです。

ワイルダー小学校とその姉妹校の中高一貫校は、米国で初めてApple ConnectED支援の対象校に認定された114校のうちの2校です。オバマ政権下で立ち上げられたこのプログラムは、全米中で体制が十分に整えられていなかった学校に、数億ドル規模の財政支援を行い、教師と生徒がテクノロジーにアクセスできるよう支援しています。ワイルダー小学校がある学区の家庭の年間平均所得は約2万ドルで、生徒たちの100パーセントが無料給食支援の対象となっています。インターネットを使っている家庭は半数もありません。

しかし、生徒たちは学校でまったく違う体験をしています。すべての生徒が自分専用のiPadを持ち、すべての教師がMacBookとiPad miniを持っています。さらに、すべての教室にはApple TVが設置され、テクニカルサポートを受けることができます。これは、教師のみなさんがテクノロジーを活用して今日の生徒たちが明日のリーダーとなれるように、Appleが支援しているプログラムの一つです。

このプログラムは、ワイルダー小学校で、教師が生徒たちとやり取りする方法を変え、教室のあるべき姿、目にする光景、耳にする音など、従来のモデルをまったく別のものに変えています。それは、テクノロジーによって、すべての生徒が学習内容とスケジュールを自分で選び、自分のペースで学ぶことができるからです。生徒たちは教室を移動することもなく、iPad上で学習しているプログラムを切り替えるだけです。

5年生の担当教師、Stephanie Bauer氏にとって、それは、生徒一人ひとりに注意を向けられるようになったという意味でもあります。生徒たちが取り組んでいる学習内容が対象学年より上のレベルであっても下のレベルであっても、生徒たちには一人ひとりに合った指導が必要であり、そのような指導を受ける権利があります。Bauer氏は、以前よりも生徒たちを理解できるようになったのもテクノロジーのおかげだと思っています。

「パーソナルな学習を実現することは非常に重要です。生徒たちは自分自身のペースで、学習成果を達成できるからです。以前は、教室の前に立って、『今から先生がやり方を見せるので、一緒にやってみましょう』と言っていました。しかし、生徒の半数は自分が何をやっているのか理解しておらず、残りの半数は退屈しているという状態でした」と、Bauer氏は述べています。

今では、すべての生徒が自分専用のiPadを使って自分のペースで学習を進められるようになったので、Bauer氏は教室の中を歩き回り、それぞれの生徒の席で、その生徒に必要な指導を行っています。これにより、Bauer氏が担当している5年生クラスのMarco AraujoさんとKahlilia Markさんは、5年生より上のレベルの学習内容に取り組み、創造力を広げています。

Marcoさんは数人のクラスメートと一緒に、Spheroアプリケーションを使ってプログラミングを学習しています。iPadにコマンドを入力して、Spheroロボットを戦艦ゲームの大きなボード上を飛行させます。作家の卵であるKahliliaさん(通称Lillyさん)は、Book Creatorアプリケーションで小説を執筆中です。今年はもう4作も書き上げました。

実際の学年より下のレベルの内容に取り組んでいるクラスメートたちも、補講のために選別されて毎日教室を出る必要はありません。生徒たちは自分専用のiPadを使って自分のペースで学習を進めることができるので、Bauer氏はこのような生徒たち一人ひとりに、それぞれの席で注意を向けることができます。Bauer氏は、これによって生徒たちの自信と学習成果に大きな効果があったと語っています。

校長のJeff Dillon氏は、10年前から、このような「習熟度ベース」の学習に移行したいと思っていましたが、同校がConnectED支援を受けるまで、このようなパーソナルな指導は実現できませんでした。今では毎日のように、その成果を目と耳で実感しています。

「生徒たちは自分ができるようになったことや、これからの計画、何に成功したか、次はどのレベルに挑戦するかなど、いろんなことを毎日私に話してくれます。3年生の生徒が4年生または2年生の学習内容に取り組んでいても、生徒たちは笑顔でいきいきと取り組み、毎日学校に来て翌日も勉強するのを楽しみにしている様子です」と、Dillon氏は述べています。

同校は、教師のみなさんがAppleのテクノロジーを活用して生徒たちにより高度で、より創造力に富み、よりパーソナルな学習方法を実現している何千という学校の一つです。

Kasia Derza氏が教鞭を執っているシカゴ南西部にあるマリアノ·アスエラ小学校では、テクノロジーのパワーによって、担当のSTEMクラスの学習意欲があふれるほど高まったと同時に、生徒たちの自信も押し上げられました。Derza氏が昨年担当していた7年生(中学1年生相当)には、Carmen Mora-Nietoさんという非常に内気な生徒がいました。Carmenさんはテクノロジーについて何も知識がありませんでしたが、Everyone Can Codeのカリキュラムのおかげで大きく変わったとDerza氏は語っています。

「Carmenさんは、まさに殻を破ったという感じです。今では、私が顧問をしているテクノロジークラブのリーダーとして女子生徒のグループを率いて、我が校のためのアプリケーションをデザインしています。このカリキュラムの大きな部分を占めていた『チームでの共同作業』に取り組むことによって、大きな自信をつけたのだと思います」と、Derza氏は述べています。

日本の埼玉県立熊谷特別支援学校では、美術を教える内田考洋氏が、iPadを使って生徒たちが自分を表現できるよう支援しています。内田氏が床に広げた大きな画用紙に、生徒たちが絵の具をつけたロボットをiPadで操作して絵を描きます。完成した巨大な抽象画アートは、すべての人の創造力を後押しする大作です。内田氏は、テクノロジーのおかげで、これまで見たことがないほど、生徒たちが自分を表現するようになったと語っています。

再び、アイダホ州のワイルダー小学校に戻ってみると、もうすぐ一日の授業が終わろうとしています。Bauer氏は、帰宅する前に身の回りの物や使った物を片付けるよう、生徒たちに指導しています。ただし、ここが従来の教室ではないことを思い出させることが一つあります。生徒たちは自分のiPadを充電するために、カートにしまうのです。すると、あたかも魔法を解くかのようにチャイムが鳴り、生徒たちは静かに教室を出て行きます。

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