「沖縄そばって何?」中華圏観光客の9割知らず・・・ 那覇のラーメン店で行列の100人に聞いた
同じ「麺」文化を持つ中華圏からの観光客が、沖縄で行列をなして豚骨ラーメンを食べる姿をよく見掛ける。高い人気はなぜなのか。特に行列ができる那覇市の「ラーメン暖暮(だんぼ)」牧志店前で約2カ月かけて外国人観光客100人に話を聞くと、ネットや口コミで人気が広がっていることが分かった。暖暮は、中国の旅サイトにある沖縄の美食ランキングで常に上位にランクインしている。一方、9割近くが沖縄そばの存在を知らなかった。もっとアピールする必要がありそうだ。(政経部・徐潮)
◆豚骨ラーメン、ネットで評判「日本の味」求める
豚骨ラーメンは中国や台湾にはない日本のオリジナル。18日、牧志店には中国語や韓国語などを話す外国人客が長い列をつくっていた。暖暮の日常の光景だ。
台湾新竹から来た範鍬菊さん(43)は「最近、日本の豚骨ラーメン店が地元に進出し大人気だが、値段は暖暮の約1・5倍。沖縄に来る前にネットでここを知った」と説明。
上海からの30代カップルは「観光サイトでおいしいと知って、沖縄に来たら必ず行くと決めていた」という。大半がネット情報を頼りに来ていた。そのほか、「ホテルに近い」との理由などで訪れる人もいた。
牧志店の店員によると、列ができるようになったのは3~4年前から。福岡県の暖暮本店で統括を務める平田亮太さんは「海外向けの広告などは特に出していないのに、来てくれるのはありがたい」と話す。
一方、暖暮に並ぶ観光客に「沖縄そばを食べないのか」と尋ねると、「沖縄そばって何。どこにあるのか」との答えが。9割近い87人は、沖縄そばの存在を知らなかった。観光地に近い食堂では外国人客が沖縄そばを食べる姿も見られるが、豚骨ラーメンほどの認知度はまだないようだ。
沖縄コンベンションビューロー海外プロモーション課の照喜名朝人主事は「外国人観光客は沖縄というより、日本という感覚で来ている人がほとんど。沖縄独自の食べ物も知ってもらうため、そばなど食文化の情報発信を強化していきたい」と語った。
県によると昨年、来沖した外国人観光客は過去最高の254万2200人に達し、県の総人口の約1・7倍を上回った。県産品の伸びしろはまだありそうだ。
外国人観光客が好む沖縄の人気ラーメン店は…? アクセスデータで判明
那覇市とNTTグループが外国人観光客に関するWi‐Fiアクセスデータの分析を進めている。ツイッターに投稿された観光客の生の声とセットで分析し、何時ごろ、どこにどんな言語圏の人が集まっていたかを把握。例えば同じラーメン店でも、中国人が那覇市牧志の「暖暮(だんぼ)」を好む一方、台湾・香港人は同市金城の「通堂(とんどう)」を好んでいることが分かった。Wi‐Fiデータは将来的に民間へ有償提供してビジネスに役立ててもらい、那覇市が設置しているWi‐Fiアクセスポイントの維持管理費(年間約1900万円)に充てたい考え。(政経部・平島夏実)
調査では、昨年4月から8月、コンビニや店舗を含めた那覇市内のアクセスポイント約1千カ所で把握した計1万7500アクセスについて言語別の傾向を分析した。
英語、台湾・香港語(繁体字)、中国語(簡体字)のアクセスとも国際通りに集中。免税店や大型商業施設のあるおもろまちエリアの訪問も目立った。
台湾・香港語は、ゆいレール小禄駅周辺にも多く、アクセスと同時期に同エリアから投稿されたツイッターを分析すると、ラーメン店「通堂」の記載が相次いでいることが分かったという。
一方、中国語は沖映通りで、美栄橋寄りの部分は空白に近く、ラーメン店「暖暮」とむつみ橋の間に偏っていた。那覇市は、首里城周辺のラーメン店をPRすることで、首里城の近隣にも足をのばしてもらえる可能性があるとみている。
また、泊いゆまち付近ではインドネシア語によるアクセスが多く、まぐろ漁船に乗る技能実習生にインドネシア人が多いとみられることも分かった。泊いゆまちが営業していない午後7時以降、同エリアで英語のアクセスが増えることについては背景を調査中だという。
那覇市は分析結果を施策に生かすだけでなく、民間事業者からの需要を見極めた上で有償提供も検討する考え。同市観光課の長瀬達也主事は「Wi‐Fiデータで数量を把握し、SNSで生の声を拾うと、従来のアンケートでは分からなかったリアルな現状分析ができる。ビッグデータの分析結果を市民にしっかり還元していきたい」と話している。
範鍬菊さん?
台湾では「範」っていう名前の人はいないと思う。
正しい名前は「范」だと思う。![]()
