慰安婦問題 「日本の心こめた謝罪が完全な解決」=文大統領
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は10日、青瓦台(大統領府)で開いた新年の記者会見で、韓国政府が旧日本軍の慰安婦問題を巡る日本との合意の破棄や再交渉を求めない方針を発表したことに関する質問を受け、「日本が真実を認め、被害者に真の謝罪をし、それを教訓に国際社会と努力することが慰安婦問題の解決だと思う」と述べた。
文大統領は「日本が心をこめて謝罪してこそ(被害者の)おばあさんたちも日本を許すことができ、それが完全な慰安婦問題の解決だと思う」と指摘。その上で「政府が被害者を排除し、条件と条件をやり取りして解決できる問題ではない」として、「前政権で両国政府が条件をやり取りする方法で被害者を排除し、解決を図ったこと自体が間違った方法だった」と強調した。また、「従来の合意を破棄し、再交渉を求めて解決できる問題ではない」との考えを示した。
10億円、日本に返還を=「慰安婦合意はごみ箱へ」―韓国団体
「10億円、直ちに(日本に)返還せよ」。
日韓両政府間の慰安婦合意に反対している民間団体「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)」などは10日、ソウルの日本大使館前の少女像脇で水曜恒例の抗議集会を開き、学生ら数百人が気勢を上げた。
マイクを握って演壇に立った挺対協の尹美香常任代表は、韓国外務省作業部会による合意の検証結果発表で、「『不可逆的な謝罪』ではなく『不可逆的な解決』という日本側の主張をそのまま受け入れたことが分かった」と指摘。「少女像の撤去を裏合意に盛り込み、『挺対協が反対したら、説得する』という約束までしていた」と非難した。その上で、「今や、合意の行き先はごみ箱だ」と破棄を改めて主張した。
対北朝鮮、制裁緩和せず=慰安婦問題「日本は謝罪を」-韓国大統領の新年会見
韓国の文在寅大統領は10日、新年の記者会見を行った。この中で、「韓国が独自に対北朝鮮制裁を緩和する考えは、今は持っていない」と述べ、北朝鮮の核問題解決に向け、圧力をかけている国際社会と歩調を合わせる考えを強調した。南北閣僚級会談が開かれ、北朝鮮に対する圧力のほころびが指摘される中、国際連携を重視する姿勢を打ち出し、各国政府の懸念を払拭(ふっしょく)する狙いとみられる。
北朝鮮は韓国との関係改善について、「『わが民族同士』の原則で、対話と交渉を通じて解決していく」として、米国など他国の干渉を拒否する姿勢を強めている。平昌冬季五輪を契機とする南北対話が核問題の解決につながるか各国が注視する中、韓国政府は難しい判断を迫られる。
韓国は南北経済協力事業である開城工業団地の操業や金剛山観光を中断している。文大統領はこうした中断事業について「(国連安全保障理事会の)決議の制裁の枠組みで判断せざるを得ない。独自に解除することは難しい」と述べ、早期再開に否定的な見方を示した。
また、9日に板門店で行われた閣僚級会談で北朝鮮が表明した五輪参加をめぐり、文大統領は「五輪を南北関係改善と朝鮮半島の平和の転機としなければならない」と強調。環境が整い、成果が期待できるという条件付きで、金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談に臨む用意があるとの考えを明らかにした。
一方、慰安婦問題をめぐる日韓合意については、「間違った結び目はほどかなければならない」と非難。その一方で、「日本が真実を認定し、被害者に心を尽くした謝罪」をすることなどで、「元慰安婦も日本を許すことができ、完全な解決となる」との見方を示した。
合意に基づいて日本政府が拠出した10億円については、「少し時間をかけて日本と協議し、元慰安婦を含め、関連団体と話し合っていく」と表明した。
慰安婦拠出金協議を拒否=菅官房長官
菅義偉官房長官は12日の記者会見で、慰安婦問題の日韓合意に基づき日本政府が拠出した10億円の扱いをめぐり、韓国の文在寅大統領が日本側と協議する意向を示したことに関し、「全く受け入れることはできない」と述べ、拒否する姿勢を示した。菅氏は「日韓で慰安婦問題は最終的で不可逆的な解決を確認している」と重ねて強調した。
